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町田君を好きな僕は異世界に行く。  作者: 三愛 紫月


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2/2

2話 何だ?これは?

ーーえっ?

 


 いったいどうなってるんだ?

 体を動かすとさっきより反応があった。

 動けるってことは、助かったってことなのだろうか?

 さっきとは違って、意識も感覚もハッキリとしている。

 ただ、視界は何だか少しボヤけていて。



「あーー、これでコンプリートなのに」

「マーチは、本当に好きだねーー。これ」

「まーーね。でも、本当に欲しいんだよ」

「だけどさ、動くのをどうやって掴まえてるわけ?」

「それはだね。寝てる時に、このアームで取るんだよ」



 誰か人がいるのか?

 目を凝らして見つめる。


 目の前にいる人物は、何かの説明をしているようだ。

 僕は、目をゴシゴシ擦りながらさらによく見る。



ーーえっ?



 何で?さっきは、いなかったよね。



 視界がクリアになった瞬間、目に映った人物、それはどう見たって町田君だ。

 でも何でここにいるんだ?


 目の前にいる町田君をよく見てみると制服じゃないようなものを着ている。

 これが、町田君の私服なのか?

 マントを巻いてるのか?


 あれ?

 でも、何か違う。

 何だろう?

 何が違うんだろう。

 どこがおかしいんだろう?



「コンプリートしたら願いが叶うんだろう?」

「まあね。それに、俺達人族はみんなを守るのが正義なわけじゃん。だからさ。やっぱり必要なんだよ」

「まあ、頑張って。俺は剣とってくるから」

「そっちも頑張って!俺は、この子を絶対に取るから」

「はいよーー」


 

 えっ?

 町田君だよね?

 でも、何だろうこの違和感。

 やっぱり、何かがおかしい。

 一度は死んだ身だ!

 町田君に話しかけてみよう。

 

 僕は、町田君に話しかけようと試みる。


「町田くーーん」




ーーゴンッ







 って、何?

 これ?

 ガラス?


「大丈夫?」



 いたっ。




「大丈夫?鏡がいるよね、見たいよね?」



 そう言いながら、町田君は鏡を僕に向けた。



ーーって?!!


「えっ!?えええええええーー」



 驚き過ぎている僕を見ながら、町田君は嬉しそうに笑っている。

 いやいや、って何。

 これ?

 僕が全身を触っていると。


「やっぱりここより、俺の家の方がいいでしょ?」


 町田君は、キラースマイルを浮かべながら僕を見ている。


ーー家?

 行ってみたいかも。


ーーって、違う、違う。

 そんなんじゃない。


 さっきから引っ掛かっているのは、そこじゃなくて。

 ガラスにおでこをぶつけて赤くなった頭を優しく撫でながら、僕はもう一度体がどうなっているのかを確認する。


 何故かわからないが、耳が頭から生えている。

 形は、三角形のようだ。

 で、手には手袋?をつけて、足にはブーツを入ってるのか?


ーーって、それだけじゃない。

 明るい茶色と金色の混ざりあった髪の色に。

 くりくりした大きな目は緑色をしている。

 何だ、これ?

 まるで、これは……。



「大人しくしててね!あとは、君だけなんだよ」


 僕の思考を奪うように町田君が話しかけてくる。



 いやいや、怖いよ。

 怖すぎるって。

 町田君が嬉しそうに操作すると、上からUFOキャッチャーのアームのようなものが降りてきた。


ーーガシャン


 いやいや、怖すぎだから。

 僕は、慌てて逃げる。


「やっぱり動くと難しいのかな?大丈夫!頑張るから」


 町田君は、何やらブツブツと話ながらまたアームを操作する。



ーーうわっ。


ーーガシャン








  





 セーフ。

 まだ、頭の中が整理ついてないのに、やめてよ。

 それ。

 

 それに、僕の見た目は、何て言うか、その。



















 誰がどう見たって、僕は猫のコスプレをしているんだよ!!

 それに、町田君の違和感の正体は服装だけじゃない。

 そう!大きさなんだ。

 どう見たって、僕より大きいのがわかるんだ。

 もしかして、UFOキャッチャーの景品ってこんな気持ちを毎回味わっているのか?


 だとしたら、めちゃくちゃ怖すぎだよ。



「お願いだよ!君達は本当に最強の魔法使いなんだから。だから、お願い」


 

ーー魔法使い?えっ?何言ってんの?


 さっきから町田君は、変なことを僕に向かって言ってくる。



「君たち一族をコンプリートしたら、最強の装備を手に入れられるんだよ!だから、お願い。俺の家に来てよ」


ーー装備?

 何だ、それは?


 僕を見ながら、町田君は両手を必死で合わせている。

 変だけど、やっぱり顔は町田君で。

 僕の小さな胸は張り裂けそうなほどに鼓動を叩くのがわかる。


 町田君といれるなら、行ってもいいのかな?

 行こうかなーー。



「行かなくていいよ」


 突然、声がして僕は立ち止まった。

 キョロキョロと辺りを見ると後ろに誰かが立っている。


「だ、誰?」

「誰って、あんたと同じ。獣人族の小人でしょうが」

「じゅう……こびと?何にそれ」

「はあ?もうかれこれ半世紀も一緒にここにいるのに忘れたわけーー」

「は、は、半世紀も?」

「もう仕方ないなーー。取り敢えずこれね」



 彼女は、僕の額に手を当てる。

 ブワーーと頭の中を映像が駆け巡っていく。


ーー何か、納得した。


 おかしいと思っていたこの世界は、どうやら異世界と呼ばれる世界らしい。

 それでこの世界には、魔族、巨人族、小人族、人族、獣人族などあらゆる生命体が生活しているのだとか。

 エリアごとに別れているらしい。 

 いわゆるテリトリーってやつだ。



 そして、このエリアに住むのは人族である勇者一族と獣人族の小人一族だけなのだとか。


 ちなみに、獣人族の中でも小人である僕たち一族は、小さいけれど能力が高いらしい。

 だから、あらゆる生命体が僕達の能力を欲しがってやってきたのだとか。


 そのせいでたくさんの獣人族の小人達が連れ去られてしまい、今では絶滅危惧種になっているらしい。


 そんな僕達一族を守るために、獣人族達の小人ではない方々がこのシェルターを見つけてきていれてくれたらしい。

 

 シェルターというか、どうみてもUFOキャッチャーなんだけど。 

 まあ、獣人族がそれを知っているわけないか。

 ってか、この世界の住人は知るわけないか。

 話がそれてしまったけれど。


 まあ、ここに入って暫くはよかったらしい。

 だけど、隔りされた空間で、敵もいない。

 そんな安全な世界で生き始めた僕達は増えたのだとか。

 元々、繁殖力が強いので。

 僕達は、いっきに増え。

 あっという間に、このシェルターだけで住むのは無理になってしまったらしい。

 

 そこで、獣人族の小人は人族の勇者達と共存することにしてもらうことになったのだとか。


 ただ、それを、僕達一族は酷く嫌がったという。

 そこで、獣人族はこの奇妙な機械を動かすように設定したのだとか。


 それで、みんな連れて行かれて。


 今残っているのは僕と彼女だけになってしまったわけだ。


 でも、そんなに嫌がるほどヤバいとは思えないんだけれど。

 だって、見た目は、町田君だし。


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