↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染に愛を込めたお弁当を〜隠し味は私で絡めて〜  作者: 花月アイコ
あなたといつまでもおかわりを

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/35

最終話

「ごめんくださーい! 絹(きぬ)ちゃん居る?」


 去年に引き続き、今年の夏も暑い。今日はお父様が車を出してくれたから助かるが、高校も三年生になったし、移動するためにも車の免許は欲しいものだ。


 祖父母(そふぼ)の家の中から、慌(あわ)ただしい足音が玄関にまで聞こえ、頬(ほほ)も少し緩(ゆる)む。外は体が溶けそうなほど暑いが、こうした、元気が伝わってくる姿に癒(い)やされる。


「すみません糸ねぇ! おまたせしまし……あっ、マカナもいたんですか」

「アハハ、荷物係(にもつがかり)だよ。ちょっと家にお邪魔(じゃま)するね。糸の作ったお惣菜(そうざい)を冷蔵庫に入れないといけないし」


 お惣菜といっても、揚(あ)げた夏かぼちゃと油揚(あぶらあ)げを醤油(しょうゆ)で煮たものに、ゴーヤのピクルス。


 二品とも、おじいちゃんとおばあちゃんの両方が好きな料理らしい。かぼちゃの揚げ煮は絹ちゃんも食べられると思うが、ゴーヤのピクルスのほうが……


 箸休(はしやす)めとしては最適なのだけど、ゴーヤの苦さとピクルスの酸っぱさで癖があるので、マカナですら食べづらそうにしていた。


 う〜ん、次作るときはごま油を入れたら中和(ちゅうわ)できるか? それだと、味が変わり過ぎて、おじいちゃんとおばあちゃんの二人は納得してくれなそう。


 う〜む……ゴーヤは奥が深い。


「こっちの袋には手作りのお菓子が入っているよ」

「いろいろとありがとうございます。おかしも糸ねぇの手づくり?」

「残念でした! アウの手作りになります」


 爆速(ばくそく)で冷蔵庫にお惣菜を入れ終えたマカナが玄関まで戻ってきた。


「えっ!? マカナが……おかし作ったの? バレーボールのほかにもできることがあるんだ……」


 実はねマカナは、バレー以外で、繊細(せんさい)な力加減ができないだけで高スペックなんだよ。バレーに関しても、今年は県大会を優勝して、全国大会まで駒(こま)を進めたし。

 

「これでも全国大会に出場するチームのエースなので……いやー、作ってきたお菓子はアウの第二のふるさとの味、バター餅だよ。絹ちゃん……これでアウのことをお姉ちゃん呼びしても……いいんだよ?」

「えーー」


 絹ちゃんは露骨(ほこつ)に嫌そうな顔をマカナへする。じゃれあう二人の仲が良さそうで、なんだか私も嬉しくなってしまう。


 前の私なら、マカナのことで絹ちゃんにも嫉妬していたかもしれないが、今は湧いてこない。私がマカナを信じて、マカナも私の信頼に応え続けているからね。

 

「マカナの他に、私とお菓子作りが得意な高校の同級生も、そのバター餅作りを手伝ってくれたから……味については大丈夫だよ」


 麦島(むぎしま)さんはお菓子作りの腕をメキメキと上達させており、その独創的な感覚で、味と見た目が華(はな)やかなお菓子を作りあげている。


 キッカケは、日本式とハワイ式の二つバター餅を作り、当校の卒業生から頂いた陶器皿(とうきざら)に上手く盛り付けできたときだろうね。


 あの経験を基に、本人なりに自信がついたのだろう。それと、私にも外せなかった用事があって、ここ二ヶ月は麦島さんに同好会の活動を任せてしまっていた。


「それなら……だいじょうぶそう。マカナ、作ってくれてありがとう。たいかいもガンバってね」

「おうよ! 糸と一緒に頑張ってくるぜ」

「帰ってきたら、絹ちゃんへお土産(みやげ)を渡しにまた来るからね」


 気付いたら……マカナと米沢(よねざわ)さんの手によって、バレーボール部のマネージャーを臨時でさせられていることもある。


 期間中、麦島さんに同好会の活動を任せてしまったのは申し訳ないが……おかげで、県予選は観客席よりも近い場所でマカナを応援できた。


 さらに、バレー部から全国大会にも帯同して欲しいとお願いされ、堂々とマカナに付いていける。


「今日のところは……この辺でおいとまかな。お父様も車で待たせているし、行くための準備もしないと」

「準備しないといけものがいっぱいあるからね。試合に勝てば勝つほど、滞在する日数も増えていくし」


 明日から、全国大会の会場に向けて旅立つ予定。


 マカナ達が全力を尽くせるために、私もできる限りサポートをしてあげたい。


「それじゃ……ふたりとも、またね」

「またね」


 手を振る絹ちゃんに、私達は手を振り返して祖父母の家を後にした。



 お父様が運転する車の後部座席に並んで座る。車内は、冷房が効いているはずなのに、夏の暑さも厳しいけど……自然と、マカナと手を繋ぐ。


 そのままマカナは、私の肩にもたれ掛かり、耳元に口を寄せる。私だけに聞こえるようにして——


「こんな日がいつまでも、当たり前のように続くからね」

「うん、私達は家族(オハナ)だもの」

 今回の更新をもちまして、本作『幼馴染に愛を込めたお弁当を〜隠し味は私で絡めて〜』は最終話となります。


 一度は、二ヶ月半以上も更新が途絶えてしまった本作ですが、ここまで読んで下った皆様のおかげで、最後まで書ききることができました。


 もしよろしければ、感想も頂けると幸いです。


 それでは、次の作品でも皆様とお会いできますように。

 ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。