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しょっぱい能力で滅ぼせ異世界  作者: 池金啓太
十七話「課題は多く、しかし先行きは明るく」

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0677:気づけぬ力

 ユニステラは土砂崩れのある方へ、和平は迂回路として使われると思われる街道へ。


 土砂崩れの方はさらなる土砂崩れを誘発するべく、そして迂回路の方はどういう形でちょっかいをかけるか和平は悩んでいた。


「さてどうしようかな……このあたり別に何の変哲もない街道なんだけど」


 元々土砂崩れのある方が山を越える形で存在している街道なのに対して、迂回路の方は比較的平地が多いために何かしらのアクションを起こすことが難しい。


 逆に言えば昼でも夜でも仕込み自体はしやすいのだが、具体的にどのような仕込みをするのかという部分で悩んでしまう。


「単純に魔物を配置するだけでは不十分でしょうか?確かにすぐにやられてしまうとは思いますが」


「うーん……戦わせるとかそういう事じゃなくて、他の行動を知りたいんだよな。戦いの部分で勝負をするつもりは毛頭ないから違うところのアクションが見たいんだ。問題に対する解決能力っていうのかな?そういう部分」


 もちろん戦闘面で押しつぶすことができるのであれば和平だってその方法を使った。しかし実際問題、勇者を戦闘面で倒すことはほぼ不可能だ。それは直接戦闘を見た和平自身よくわかっている。


「あの勇者の戦い、クーランはどう思った?」


「どう、とは?」


「単純に、手間取ってると思わなかったか?ちゃんと戦ってるっていったほうがいいかな?俺からすれば普通に戦ってる感じだった」


 普通に戦うというのはあくまで戦闘の素人としての認識だ。クーランからすれば別の感想を抱いただろう。和平はそれが知りたかった。


「確かにちゃんと戦っていました。兵士たちも魔導師たちも、全力であったと考えます。少なくとも手を抜いているような様子は」


「そう。全力で戦ってたんだ。勇者の力を使えば、あのデカいのが何体いたって瞬殺できるはずなんだ。魔王を殺せるだけの力、それを使えば」


 勇者を前に亜巨人が複数体立ち向かったところで意味がない。勇者の力を振るわれれば十中八九瞬殺される。


 つまり、あの勇者は自分が保有している加護の詳細を理解していない。もしあの勇者が自らに宿る加護の内容を理解できていたなら、亜巨人だろうとなんだろうと、その力を持って瞬殺できていたはずだ。

 だがそうしなかった。そうできなかった。その理由。


「勇者はまだ、自分の加護の内容を理解できてない」


 勇者は、自分の真の力を理解していない。


 自身に宿る力を理解できないなどと、そんなことがあるのだろうかと思えてしまう。少なくともクーランはそう感じたようだった。


「そのようなことあるでしょうか?もう既に勇者が生まれて十年。試す機会はいくらでもあったのでは?」


「あれが王子だとしたら、外に出ることもなかっただろうよ。あれだけ動けるってことは訓練はしてたんだろうけども……魔物との実戦は経験してないと見た。実戦を経験してたら、自分の力について気づくことがあってもいいはずだ。たぶん、俺の権能と違って、神様に何の説明もされてないと見える」


 勇者の加護の欠点の一つといってもいい。それは勇者自身が自らの力を理解できていないところだ。


 和平の得た魔王の権能のようにある程度説明されてから使いこなそうとして使いこなせる類のものではないのだろう。


「力の存在そのものを理解把握できなきゃ使おうなんて発想にも至らない。存在を知らないと調べられないとの一緒だ。オーナーの話を聞く限り、勇者の加護は俺たちの権能と違って、コントロールできる類のものでもないみたいだしな」


 勇者自身あの力を制御できない。そもそも制御する類のものではない。


 強すぎるが故に制御不能。自動発動するが故に自らも意識できない。どういう理屈でそれが発生しているかもわからないからそもそも把握が難しい。


 気づくきっかけはあるだろう。気づけるだけの状況を作れれば。


 逆に言えば、そのきっかけを作らなければ、勇者はその力に気づけない。


 強大な力を持っていたとしても、使うだけの条件に気づけないのであればそれは意味がない。


「魔物を向かわせる行動は、勇者に加護の力を気づかせるきっかけにもなりえるということでしょうか?」


「うん。イルス王国の勇者はあまり外に出ないタイプっぽい……というかまぁ子供をそんなに外に出せる世界でもないからな。そういう意味ではこれからが勝負ってところか」


 むやみに魔物をけしかければそのきっかけを与えかねない。ここは魔物以外の部分で勝負をしたかった。

 力に気づかれれば、魔物相手ははっきり言って作業のようなものになってしまう。


 それは避けたい。今はまだ力に気づいていないからこそ守られることに徹している。


 しかしその力に気づけば、魔物の中心地で雑に魔法を使ったり攻撃するだけで魔物たちがただの肉塊になり果てる。


 そんなのはごめんだ。そんなことになったら目も当てられない。


「しかし若様、認識していない今だからこそ攻めるのもありなのではないでしょうか?力を理解していないうちに倒すことができたのなら」


「攻撃の方は良くても防御の方を抜くことが難しいからな。そっちは戦い以外の方法で攻略しなきゃいけない。となると、やっぱり戦うのには準備が必要なんだ。まだ、準備不足が否めない。まだ、まだ無理だ」


 勇者への攻撃が通じない以上、別方向での攻略を考えなければいけない。その方法はまだ完成していない。ここで無理に攻めるのは逆効果なのだ。


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