内 魅子 00:30 裏山
「う…ん……」
気付いた時にはどこかの森にいた
周りは真っ暗…いや、下にぽつぽつと明かりが見える
ともなるとここはなの山だろう
「だけど…なんで……?」
そう、わからない
なぜ自分がこんな所に居るのか
とりあえず思い出してみようとすると
「…………ッ!」
鈍痛
思い出せない、思い出そうとすると頭に鈍い痛みが走る
「あぁ…もうっ!」
これ以上やると余計イライラするのでとりあえず思い出すのをやめる
というかその内思い出すだろう
まずは、場所の把握から始めよう…
下にぽつぽつ見える明かりは恐らく、民家か何かだろう
となればここは山?もしくは丘だろう
ひとまず下るべきか?
いや、明かりがない、ライトなどは生憎持ち合わせて居なかった
「どうしよう…」
目的もなくさまようのも危ない、とりあえず人に会えれば…
途端
カラカラカラカラカラ
「な…何!!」
突然の木の鳴る音
いきなりの事で驚いたがよく見てみると、細いワイヤーを踏んでいてそのワイヤーの先には木材が一定の感覚でぶら下がっておりそれが鳴っていた
「驚かさないでよ…」
だが、よくよく考えて見るとこれは狩猟用の罠
人間が居ることは確かなのだ
すると、ぼんやりとした光が近付いてきた
きっと、罠を仕掛けた人だろう
「よかった…」
ホッと胸を撫で下ろした
とりあえず何とか言ってどこかに泊めてもらおう
そして、朝になったら帰り道を教えて貰おう
……どこに帰るかなんてわからないけど…そのうち思い出す事を願おう…
そうしている内にぼんやりとした光は目の前に見えてきた
「すいません!!」
呼んでみるが、返答は無い
「あの…!!」
少し大きな声で呼んでみる
やはり返答は無い
「聞こえてないのかな…?」
きっと、耳が遠いのだろう、そう思いもう一度呼んでみる
その時、全身に悪寒が走った
近付いてきた、人影には“一部が足りなかった”
「え……ぇ…?」
身体が凍り付き、全身を襲っていた悪寒は吐き気を催す
そう…この人影には声が聞こえて無かったのだろう。
恐らく、徘徊していたら偶然ここに付いたのだろう。
その、人影には“頭”が無かった
下顎から上がごっそり、まるで元から無かったかのように
――逃げろ
人影は鎌を振り上げ向かってくる
――逃げろ
剥き出しの気管からはヒューヒューと空気が漏れている
――逃げろ
その鎌は身体を引き裂かんと振り下ろされようとしている
――逃げろ
ようやく防衛本能が働いた
「いやッ!」
振り下ろされた鎌を避けて走り出す
逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ
どこへ?そんなのはわからない
とりあえず遠くに逃げろ
途中、木に何度もぶつかったがそんなの関係なかった
ひたすら遠くへ
「はあっ…はぁっ…」
気が付けば明かりすら見えなくなっていた
更に深い所に来てしまったのだろう
だが、あの怪物から逃げられただけ良かっただろう
「ここは小屋?」
目の前には暗くてよくわからないけど、小屋がある
人の気配は無い、幸いにも使われなくなった物だろう
良かった、とりあえずこれで一晩を明かせる
「よいしょっと」
小屋に入り隅の方にうずくまる
多少肌寒いが、走った疲れからか眠気が襲ってきた
ここなら、安心だろうとゆっくりと眠りにつく
何も聞こえない
静かな夜
その中ですぅすぅと可愛らしい寝息を立てて眠る少女
その前に佇む人物
ゆっくりと振り上げた鋤は容易く少女を穿つ
そして、少女は静寂の闇の中で静かに息を引き取った
「これで、また繋がる…「永遠の輪廻」…神の遊戯が…」
そして、その人物は静かに小屋から立ち去った
03:22 内 魅子――死亡




