表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦略級魔法使いの日常  作者: 氷河久遠
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
61/74

遺跡と聖霊と勇者16

「治療します」

 僕は騎士団長にいった。

「お願いします」

 僕は気絶している騎士の体に触って治癒の魔術を使った。

 騎士の体の新陳代謝が活発になる。しばらくすると、穏やかな息になって寝ていた。

「ありがとうございます」

 騎士団長に頭を下げられた。

「いえ。練習にケガはつきものですから」

 僕は手を振って遠慮した。

「……それより、あの魔術は何ですか? 見たこともありません」

 騎士団長の顔は真剣だった。どこか怖がっているようにも見えた。

「ブレイクブレットですよ。それを動作発動で連発しただけです」

「動作発動? 初めて聞きます」

 騎士団長の顔が近寄った。ちょっと怖い。

「有翼族が使う魔術操作です。詠唱の代わりに仕草で発動できる方法です。ですので、無詠唱より発動は速いですよ」

「そのような使い手は知りません。新しい魔術の方法なのですか?」

 騎士団長は顔は怖い。必死さを感じた。

「さあ? 導師が申請しているか知らないのでわかりません。ですが、有翼族が使っている方法です。過去にも人族がマネて使う人がいても不自然ではありません」

「それは、剣士より速い魔術師がいるということでしょうか?」

 騎士団長の顔は近かった。

「いる確率はあります。導師も練習していますから」

「それは将来には剣士より魔術師の方が強くなるということでしょうか?」

 騎士団長にはまばたきをして欲しい。怖いだけだ。

「可能性はありますが、動作発動を使うには無詠唱を使えないとなりません。導師の話では難しいようです」

「私たちがそのような魔術師に勝つ方法はありますか?」

 顔が怖い。僕は半歩ほど後退った。

「騎士は無意識で身体向上や防御膜の魔術を使っています。それを強化して向上すればいいだけです」

「私は魔術は使えません。なので、身体向上の魔術など使っていません」

 騎士団長は身を引いた。僕の発言に疑問を持ったようだ。

「魔術師の僕から見たら、騎士団の全員は使っています。そうでなければ、人より大きな魔獣を倒せるわけがありません」

「そうなのか?」

 騎士団長は他の団員にきいた。

「魔術師でないのでわかりません。私にきかれても困ります」

 騎士団にしては軽薄そうな騎士団員は答えた。

「だが、子爵様はそういっている。心当たりがある者はいるか?」

 一人の団員が手を挙げた。

「マッテイス。わかるのか?」

「はい。入団当初から騎士団員は、身体向上の魔術を普段から使うと思っていました」

 マッテイスと呼ばれた男はいった。

「それはわかっていて黙っていたのか?」

 騎士団長は思いがけない言葉に疑問を持っているようだ。

「はい。それについては皆が当たり前のようにしていましたので」

「そうなのか?」

 その疑問に答える騎士はいなかった。

 僕から見たら、無詠唱で身体向上の魔術や防御膜を張っている。しかし、騎士には理解できないようだ。


「邪魔するよ」

 そういって宰相が供を連れて練習場に現れた。

 騎士団員は片ひざを着けて頭を下げた。

 僕も習って片ひざを着いて頭を下げる。

「ランプレヒト子爵。君は貴族だ。ひざをつくのは謁見の間だけでいいんだよ」

 宰相に笑われた。

 僕は恥ずかしがりながらも立って、貴族の礼をした。

「うん。それより、先ほどの魔術は何だい? 窓から見ていたがあんな魔術は見たことがない」

 宰相はほがらかにいった。

「ブレイクブレットです。それを連発しました」

 僕は答えた。

「なるほど。これが動作発動と思っていいのかい?」

「はい。そうです」

「これなら、魔術師が台頭できるね。でも、難しいと聞いている。どれぐらい難しんだい?」

「無詠唱ができるのが前提です。ですが、一度体で覚えると、何度でもできます」

「ほう。それなら、魔術師には習って欲しいね。研究者以外の道ができる」

 宰相は感心して喜んでいた。

「そうですね。ですが、近接戦闘の練習が必要だと思います。身体能力が低いと魔術を当てられませんから」

「そうか……。まあ、その件はランプレヒト公爵の話も聞いて考えよう。それより、ドラゴンブレスの威力を見たい。確実に遺物を破壊したいからね」

 宰相の目は本気になった。

「ここで試すのですか? 危険です」

「それは威力があり過ぎるということかな?」

 目を細めた。

「はい。仮にも龍の咆哮です。威力はご存じのはずです」

「そうだね。では、これからその威力を見てみよう。騎士団員も連れてね」

 僕は宰相の本心がわからない。ドラゴンブレスなら龍族の浮島で知っているはずだ。再度、確認する理由がわからない。

「私が実験場へゲートを開ける。付いて来て欲しい。もちろん、騎士団員もだよ」

 そういうと宰相はゲートの魔術を詠唱する。すると、ゲートが現れた。

「行こうか」

 宰相がゲートの闇の中に入った。僕も続いて入る。背後には騎士団長を先頭に騎士団が並んだ。


 出た先は荒野だ。実験といえばこの荒野に決まっているのかもしれない。

 騎士団の皆がゲートをくぐって現れると自然とゲートは閉じた。

「さっそくだが、ランプレヒト子爵。ドラゴンブレスを使って欲しい」

 宰相は大きな岩を指した。

「はい」

 僕は前に出た。そして、動作発動でドラゴンブレスを使う。だが、威力を求めて少しためて放った。

 岩には大穴が開いた。

 ドラゴンブレスでなくとも公級魔術なら砂に変えている。実演にしては大人しい結果だった。

 背後にいる騎士団からどよめいた声が聞こえた。

「あれ喰らったら死ぬぞ」

「杖なしであれか?」

「何であの威力をすぐに出せるんだ?」

「オレ、魔術をなめてたわ」

 色々な声が聞こえた。

 宰相は騎士団に向かった。

「今度、破壊して破棄する遺物は、このドラゴンブレスで破壊する。だが、万全を期すために、騎士団には同行してもらう。その時、ドラゴンブレスでも破壊できなかった場合、君たちの力が必要になる。心して待機していてくれ」

 宰相は微笑んでいるが、求めている力は大きかった。

 導師が放った公級魔術の太陽のような火の球でも破壊しきれていない。それ以上の攻撃力が騎士にあるのかわからなかった。

「はい。わかりました。ご期待に応えるように鍛えています」

 騎士団長は真剣な顔でいった。

「うむ。頼む」

 宰相は満足そうだった。

「では、帰るか」

 宰相はゲートの魔術を唱える。そして、ゲートを開ける。

 僕たちは練習場に帰った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ