5.実技テスト
投稿日 2025/9/17
***1時間後***
実技テストが順調に進み、Fグループは残り数人で全員がテストを終了の所まで来ていた。
「因みに私は、まだ呼ばれていない…なぜ?」
試験官への愚痴は心の中でしか言ってないのだが…目をつけられた? 何故?
「オイオイ~ 今年の新入生は出来が悪いですねぇ。 このくらいの距離にある人形も狙えないなんて…w 私が学院にいたときはこの距離の的を狙えない奴は皆退学していくような腰抜しかいなかったような? お前たちもそうなる前に自主退学しておくことを進めますよww 残りの腰抜けは…お!これは期待できそうな2人が残っていますねぇ。 まずは…『ニーナ・ニルヴァレン』嬢実力テストお願いします。 『あの』ニルヴァレン伯爵のご令嬢とはさぞ素晴らし『炎魔法』を見せてくれるのでしょう。 中級魔法とか見せてくれるのでしょうか? 楽しみにしていますよ。」
試験官は、不敵な笑みを見せながらニーナと呼ばれた少女を実技テストの場所に立たせた。
あの笑みの正体は分からないが、呼ばれた少女の足取りが悪い?気がした。 私が知る限りでは、『ニルヴァレン伯爵』の情報は、セレスティア王国の中でも指折りの実力派貴族であり、一族通して『炎魔法』に強い適性をもっているらしい。 数々の実績を出し、この国では強い武力を持った貴族の一人だとか。
そのご令嬢さんが私の前に魔法を披露するのか… 次にテストを受ける私のハードルを上げすぎる魔法はやらないでほしいな〜 と、考えながらニルヴァレン嬢を見守っていたが… 彼女から放たれた魔法は別の意味で私を裏切ってきた。
彼女の使おうとした魔法は『炎魔法』で間違いなく、彼女が作った魔法陣を見ても『炎魔法』であり、初級魔法の『ファイヤーボール』であることは理解できた…が、放たれた魔法は私の知るファイヤーボールでは無かった。彼女の突き出した指先には初級魔法のファイヤーボールとは思えない大きさの炎の球が現れたと思ったら、数メートル進み、的に当たらず空中に霧散してしまった。
今回のテストとしては『人形に魔法を当てる』であって、いくら凄い魔法を見せたところで人形に命中していないとテストの評価は必然的に落ちてしまう。 それもそうだろう…コントロール出来ない強い力は評価対象ではなくただの危険対象だ。
故に…彼女は一度しか無いチャンスをものにできなかった1人となった。 彼女にのしかかるプレッシャーは他の誰よりも強く彼女に伸し掛かっていたのだと思う。
皆が黙り込み、私達の周りは沈黙に包まれた。
こう言う時に声をかけてあげることができないのなら、前世と一緒じゃないか… 私は『変わる!!』
「あ…あの、魔法陣は……」
慰めの言葉をかけようとニルヴァレン嬢に近寄ろうとした時。
「ハハハハッハ… すまない、噂通りすぎて思わず吹き出してしまったよ。 ニルヴァレン家始まって以来の汚点『ニーナ・ニルヴァレン』噂は本当だったとは、実に滑稽。 ニルヴァレン家の英才教育を受けても初級炎魔法のファイヤーボールもまともに使えるようにならなかったとかw この学院に通って身につけようとしても意味あるのか?w お前には魔法の才能が無いw 魔法陣を作れているのに魔法が発動しないのがいい証拠だろうw 学院側から退学届けを出される前に自己退学したほうがいいだろw 俺の受け持つクラスには絶対来てほしくないですねww」
試験官の一言が静かだった空間を最悪の空間へと変えた。
「失礼ですが、1回の魔法を見ただけで原因は特定できないと思います。 魔法の失敗理由は様々です。最近では…」
ニルヴァレン嬢を擁護しようと声を出そうとしたが…また遮られた。
「もう…いいから… 私にかまわないので…」
私の言葉を遮ったのは、ニルヴァレン嬢だった。
頑張っている者を笑った試験官に対しての反論…彼女を擁護しようと発した言葉は、逆に彼女を惨めにするとは、思わなかった。
しかし…このまま彼女が塞ぎ込んでしまったら、一生魔法を使えないのではないかと考えてしまったら、私は言葉を続けたかったが…彼女の顔を見て再び言葉が詰まった。
今にも泣き出しそうな目をみて察した、私のお節介は、時に誰かを傷つけるということを。
「こういうところが…ダメなのかな…」前世での失敗…私はまた繰り返そうとした… 無自覚な言葉の刃はどれ程人を傷つけるのかを理解していなかった訳では無い…のにも関わらず…私のしようとしたことは彼女にとって刃になり得るものだと考えもしなかった…
自身の過ちを理解し、感情が揺れ動いている時。
「最後はお前だ『リース・ヘルエスタ』 私はお前を知っているぞ〜 あの出来損ないラッキー男の娘だろ。
対して魔法の腕も無いのに一度行った魔法師団の遠征で男爵位を授与されるという運の良さに加え、魔法師団内で自身の娘に関することをずっと話す能天気な性格を持った父から生まれた娘。 ラッキー男の話によれば〜 魔法の天才〜と良く話していたな〜 魔法師団に所属している者が『天才』と認めた娘は、今日どんな魔法を見せてくれるのかな? ニルヴァレン嬢の用に面白い見世物となってくれることを心から期待しているよww」
そう言い終わると、テストを受ける場所を指差し催促してきた。
私は、転生者…子供ではない。 私のことをいくら馬鹿にしても軽く受け流すことぐらいできる。 安い挑発に乗せられ派手なことをするほど…子供ではない… でも、お父さんを馬鹿にするのは頭にきた。
「お前は…私のお父さんを馬鹿にできるほど、魔法が使えるのか?」
思ったことをそのまま口に出してしまった。
私は…子供ではない。感情のコントーロールを誤るほど子供ではない。今のは少し口を滑らせてしまっただけであって、感情をコントロールできていないわけではない。
「貴方にこの魔法を理解することができますか? 『炎帝「龍炎火・弱」』」
突き出した指先の前に小さな青い炎の球ができ、ゆっくりと飛翔し人形に命中し消えた。
「は? 「何が理解できますか?」だ?w 炎の球は確かに青く一般的なものとは違いましたが…魔法の威力、速度どれをとっても初級魔法『ファイヤーボール』じゃないですか。 私はてっきり中級魔法『メガフレア』が見られると思って期待していたのにガッカリですよ。
これで、Fグループの実技テストを終わります。今日の結果に基づいてクラス分けされるので今日はこれで解散です。最後まで中級魔法を見られず実技テストが終わりましたね。毎年何人かは挑戦する人を見かけていたのですが…残念ですよ。」
試験官の人は最後まででかい態度そう言い残しそそくさと帰っていった。
「……………結局二回目のテスト受けれなかったね」
「最後の子の魔法少し期待したのに私達と同じ『ファイヤーボール』だったね。 なんか私もガッカリしちゃったな~。」
「いやいや、青い炎な時点で十分凄いだろ? お前は青い炎出せるのか?」
「青いから何?意味あるの? 今回のテストはそういうのは関係ないって説明されたでしょ?」
「まあまあ、少なくてもFグループの皆魔法の実力は横並びってことがわかったからいいでしょ。だいたい他のグループも同じ実力でしょ? 他の人の魔法を見れたのはいいことじゃん?」
「そんなことより…なんか暑くない?」
「言われてみれば? 試験官の人は解散って言ってたから…帰る?」
「帰ろ帰ろ~」
話したいことを話し切ったのか…暑いからなのか実技テストを受けていた生徒はぞろぞろと実技テスト会場をあとにした。
はぁ~… 私は…まだまだ子供だ…最終的に感情をコントロール出来ず魔法を使ってしまった。
二年間成果…私は魔法制御だけを磨き、『炎魔法』の上級魔法を研究して生み出した魔法。自分自信が炎となることで、炎魔法の制御をこなす『炎帝』により制御した螺旋状の高出力な青い炎を生み出す魔法『龍炎火』の威力を落した魔法『炎帝「龍炎火・弱」』見た目は初級魔法の『ファイヤーボール』と大差ない威力を見せる一方、『ファイヤーボール』と違う点もあるのだが…私のテストが終わり、皆そそくさと会場から出て行ったので恐らく気づかれずに済みそうだ。
はあ~ 私も疲れた。 1時間程度のテストを受け、たった1回の魔法を使っただけだけれど…普段と違う1日というものは、体に大きな負担となり、疲労となった。
「今日はもう帰って休もうかな。」
実技テストで少し異質なことしてしまったけど、あの反応からして誰も気がついてはいないようだったから助かった。しかし、まだまだあの魔法は制御が完璧ではない。
何と言っても、「私自身がゼロから編み出した『超級魔法』なのだから。」
あの人形大丈夫かな? 威力はファイヤーボールと同じだから恐らく心配は要らないと思うけど…ちょっと心配。 あの時の精神状態を考えるとミスがあったかもしれないという不安が積もるばかりだ。
お疲れ様です。 杯の魔女です
今回はリースの実技テスト。 一回限りのテストは、リースにとってはうれしい誤算となったが、同じグループになった人からすると、最悪な実技テストとなった今回のテスト。リースはどのクラスに分けられるのでしょうか? 次回はクラス分け会議リースの視点で書かないのでその点だけ気をつけてください。
次回もお楽しみに~




