24 高峰の意外な一面
高峰は生徒会室の備品であるパソコンを取り出した。
「んじゃ、さっそく取り掛かるとするか」
高峰は慣れた手つきで資料を作り始めた。
「何をしているんですか?」
ゆいは横からパソコンの画面を覗いた。
「まずは、臨時で生徒総会を開きたいっていうお手紙作りだ。やるってなったら、どこかの授業時間を使うことになるからな。それなりの計画性と真剣度ってもんを見せねぇと、教師は時間を割けないだろ?」
「でも、時間割はほとんど科目で埋まってますよ?」
「いや、学級活動の時間は空いている」
藤堂は手持ちの時間割表を差し出した。
「そうだ。学級活動は全クラス全学年が金曜日の五時間目にある。だからそこに生徒総会をねじ込んでやる。そうだな、来週の金曜日にでもやるか」
高峰は片手間にカレンダーをちらりと見て言った。
「ら、来週ですか?! 急すぎませんか?」
「いいや、こういうもんはゲリラ的にやっちまったほうがいい」
「そうですね。校則の変更に異を唱えるひとの準備時間を削ぐことができますし」
藤堂は深くうなずいた。
「……なんだか、高峰サン、急に仕事が速くなりましたね……」
ゆいは普段の奔放な様子とは打って変わって、てきぱきと話を進めていく高峰の姿に意外さを感じた。
「ははっ! こう見えて、俺はやるときはやる男だからな!」
高峰がエンターキーを派手に叩くと、窓辺に置いてあるコピー機が動き出した。
「ほぅら、できたできた」
高峰はコピー機から出てきた紙を指でつまんで、インクを乾かした。
「とりあえず、今からコイツを校長に渡して交渉してくるわっ!」
高峰はそう言うと、勢いよくドアを開けて去っていった。
「今日の高峰サン、すごく俊敏だね……」
ゆいは開け放たれたドアをそっと閉めた。
「いつになく。それにしても、高峰先輩の文書作成スキルは高い。ものの十分ほどで話しながら資料を作ってしまうとは」
藤堂は感心したように言った。
「そうだね。ちらっと見たけど、文体も学校から配られるプリントみたいで、体裁も整っていたよ……いつもの高峰サンの雰囲気からは想像できないけど……」
ゆいはふと、先ほどの高峰の様子を思い浮かべた。
長く骨ばった指をせわしなく動かし、パソコンの画面をじっと見めつつ、ゆいの疑問にも答えていた高峰。普段は少し目つきが悪く、瞳に輝きがないようにすら見えるが、先ほどの高峰はとても生き生きとしていた。
粗暴な気質ではありながらも、丁寧な仕事をする高峰を、ゆいは頼もしく思った。
「高峰先輩の素性を知ってしまって以来、すっかりと忘れかけてしまっていたけれど、やはり、高峰先輩は生徒会長なんだ」
藤堂は呟いた。
「そうだね。だって、考えてみたら、高峰サンは素の高峰サンで生徒会長に当選したんだもんね……実はすごいひと、なのかもしれない……」
ゆいは、高峰のことをまだあまり知らないのだな、と気づいた。




