38.クランシステム
本日2話目です。前話を見ていない方は注意してください。
クラン。一般的には氏族という意味だが、ここではゲームでよく使われるチームという意味だろう。同じ目的に向かって進むというなら普通はギルドという名前になるはずなのだが、ダンジョン会館がギルドと呼ばれているためクランという呼び方になったようだ。
「単刀直入にいうと、クランというシステムには賛成です。しかし、今のままだとただ集まるだけの無意味な集団になってしまうため、さまざまな制度を追加する必要があると思います」
「そうだ、相談したいことというものがその追加するものについてで…ちょっと待っていてくれ」
そう言って、菅原隊長は手帳のようなものをめくり始めた。その中に聞く予定の内容などが書いてあるのだろうか。
「…っと、あった。すまないな、このようなファンタジーな世界になっていながら、私自体こういう事に詳しくなくてね…サブカルチャーというか、ファンタジーのようなものが好きなメンバーに、もしもクランという制度を作成するならば必要そうなことを教えてもらったのだよ」
「まずは大前提となるのだが、ステータスカードに機能を追加することは可能か?」
「兄さん、多分クレジットカードとかキャッシュカードのような役割だと思いますよ」
「あー…そういうことか!雫はよく気づいたな!…えっと、魔素と電気は反発しますが磁気は反発しないので可能ですね。ただ、電子マネーのように非接触型にする事は不可能だと思います」
「本当か!磁気で大丈夫だから、これなら最低でもクランというシステムを作れそうだ。おっとすまない。今の会話から察するに、私たちが考えていることをだいたい理解したかもしれないが、一応最初から説明させてくれ」
「認識の齟齬は無くした方が良いのでぜひお願いします」
「まず、冒険者専用の国営の銀行を設立することになった。設立理由は、装備品の値段が高い事による影響だ。冒険者には収入が安定しないという欠点があるため、クレジットカード会社からの使用可能金額が上がらない上に、高い装備を買うと一瞬で使用可能金額まで到達してしまう」
「兄さん、クランに関してだと、クラン用の口座を作成できるシステムをとることで共同財産のような口座を作れますよね?」
「もしくは、例えば北海道取り返し隊とかいうクランを作成したらそこに寄付を募ることも可能だな」
「さすがだな。そう言った義援金詐欺が流行り始める前に作り出したいと考えている」
菅原隊長が言った事を簡単に説明すると、例えば会社員兼冒険者がクレジットカードで使える金額が月に50万円だった時、クレジットカード会社では、会社員の収入しか認められず使用可能金額が50万円から上がらないという事だ。50万円以上の装備品にはクレジットカードを使えないから現金を持ち歩くという事も不便だ。それならば、もういっそのこと国で新しく銀行を作ってしまおうという事だ。
雫が言ったのは、クラン名義で口座を作れるようにすることで、その口座に活動資金を貯めることができるという利点もあるということだ。
「クランに少しだけ関連するが、パーティ登録というものも作ろうと思っている。これは記者などからの要望が多いが、せっかくパーティリングがあるのだからパーティというシステムがあっても良いんじゃないかとね」
「それはいい考えですね!パーティ名はどうしましょう兄さん!魔法王姫?アブソリュートマジック…?」
「雫落ち着け。まだシステムすらできていない」
「はっ…すみません…」
パーティ名を考えるのは良いが、もしかしたら雫はパーティ名を考えるセンスを持っていないのかもしれない…。それと、意外と二つ名を気に入っている可能性も浮上した。それに、怜としては神獣組とラビリスを現す意味も含めたパーティ名を付けたいと考えている。
「…と、とりあえず次で最後なのだが、強さの指標ととしてランク分けをしてはどうかという意見が出ているのだが…2人の意見はどうかね?」
怜は、うまく菅原隊長が話を戻してくれたことに感謝した。それに、この制度は創作を読んだことがある人ならば一度は想像したのではないだろうか?実際、ランキング形式でネットにおいて非公式で投票もされていた。
「…俺は賛成ですね。このランクを目指すという目標にもなりますし、ダンジョンに推奨ランクを決めることとか、もしもスタンピードが起きた時にランクで招集できる利点もありますね」
「…私も賛成です。ランクで身の丈にあった装備を販売する事もできますし…少し手間ですが、今からステータスカードを全て交換するよりは、ランクが変わるごとに磁気機能付きの新しいカードに交換するのはどうでしょう?一目でランクが分かった方が便利ですし」
「お!それはいいな。すぐに大臣に進言してみるとしよう。一応これで相談は終わりなのだが、何か他に言いたいことなどは無いか?」
ギルドにパーティに銀行と、特に問題は無い気がしたが…一つだけ思いついたものがあった。
「ランクの分け方ともし俺たちをランク付けするとしたらどうなりますか?」
「ランクは数字で細分化するよりも色で分けようと考えている。最高がプラチナでスタートが鉄、今回アラクネを倒したもの達は金にしようと考えている」
「その基準で行くならば最上級ダンジョンに通用する者がプラチナ、上級深層が金みたいな分け方をした方がいいと思います。もしアップさせるにしても、俺たちのようなアラクネを倒してレベルアップした人は初級ダンジョン攻略可能と考えて、銅ランクくらいがいいと思います」
「ふーむ…なるほど、確かにそうかもしれんな…その意見も出してみるとするよ」
「お願いします。他には俺からはありません」
「私も特にありません」
「そうか、相談に乗ってくれてありがとう。話が通ったらまた連絡させてもらいたい」
「わかりました。失礼しました」
怜と雫は、今回の内容は2人がこれから行う商業において重大な役割を持つことを予想していた。
早急に決めなければいけないことが増えたため、2人は帰路を急ぐ。今この時は雫が抱えていた明日の学校への心配も消えていた。




