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おやぢ的 不思議ばなし【鶴亀奇譚】  作者: OKKUN
島太郎 北風の吹く街で
16/31




「あー、寒い 寒いなぁ」


 島太郎は コートの襟をたて、街角を とぼとぼと とぼとぼと、さまようように歩いています。


 島太郎が意気揚々と 放浪の旅に出てから、いくつの季節が巡ったのでしょうか。季節は今 冬です。

 首都に来て数ヵ月、今日もまた 島太郎の就職活動は 徒労に終わりました。



 この日の朝、泊まっていた宿も引き払い これから新しい宿を探さなくてはなりません。


 残りの所持金も百万円と少し、島太郎の感覚からすると、最早 破産状態です。


 焦りと この先への心配と今までへの後悔が、足取りを一層重くしています。


 薄汚れたビル群、沈みゆく夕日、冷たく吹きさす風。

 何もかもが、島太郎の心を締め付けていきます。



「あれほどあった金も 残りわずかか。百万くらいじゃ 二三日しか もたないなぁ。本当にどうにかしなくっちゃ」


 この期におよんで尚、こんな金銭感覚の島太郎なのでした。


 沈みゆく夕日に向かって、とぼとぼと とぼとぼと重い足取りで歩く島太郎。



 旅行カバンも今はなく、セカンドバックに所持金の全てを入れ歩いています。


 このお金が底をつけば、島太郎はホームレスになってしまうのです。



「ハーッ」


 思わずため息がもれます。



 夕日に向かって なお、とぼとぼと とぼとぼと歩き続ける島太郎。


 その夕日の方向に 人影が現れました。

 夕日を背にして 島太郎に近づいてくる人影。

 どうやら 女性のようです。


 かなりの急ぎ足で 歩いているようです。



 『! !』


 今までふさぎ込んでいた島太郎の心が、いきなり ときめきました。


 なんと その女性の顔は島太郎が大好きな ユニークなおかめ顔。


 亡くなった島太郎の母親の若い頃に 生き写しです。



 島太郎は思わず立ち止まり 彼女を見つめます。

 女性は それに気付いたのか、島太郎に軽く会釈をしてすれ違い、なおも急ぎ足で去っていきます。



 島太郎は その後ろ姿を目で追っていたのですが……



 

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