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おやぢ的 不思議ばなし【鶴亀奇譚】  作者: OKKUN
島太郎 就活する
15/31



 ご察しの通り、島太郎の就職活動は ことごとく失敗に終わりました。



 事前連絡もなく、突然職場に押し掛け面接を申し出る無礼さ。


 履歴書の存在すら知らず、持参もしない 非常識さ。


 人を見下したような 傲慢な態度。


 この年齢まで 一度も働いたことのないという不思議さ。



 面接官は腹を立て また いぶかしりながらも、人材確保のため仕方なく面接を始めます。


 ところが、島太郎は勘違いをしていました。


 大きな 大きな勘違いです。



 求人広告にある『給料 二十五万円』

 もちろん月給ですが、これを日給だと思い込んでいたのです。



「こんな はした金で働けるか!」

 と 島太郎が怒って席を立つか、面接官が島太郎が冷やかしに来たと思い 追い出すか どちらかの結果になるのです。



 こんなことが、何度も 何度もありました。



 そして島太郎は ようやく気付いたのでした。


 自分の金銭感覚があまりにも 世間からかけ離れていることを。



 島太郎は、生活レベルを 徐々に 徐々に落としていきました。


 ホテルのランクを落とし、部屋も少しずつレベルを落としていきます。


 食事やお酒も たまには安い物を食べるようになりました。


 女と戯れるのも 控えるようになりましたが、それでも 一般人から見ると 驚くような贅沢です。



 そして、就職のための面接にも 足繁く通うようになりました。


 履歴書を持参することも覚えました。


 あらかじめ アポを取ることも覚えました。


 しかし、身に付いた性格は 変えられません。


 横柄な態度、傲慢な姿勢に どこも相手にしてくれません。


 せめて、資格や技術があれば 良かったのでしょうが、お坊っちゃま育ちの島太郎には、そんなものは あろうはずもありません。



 しかし、島太郎は それに気付いていません。


 小さな街だから人の心までが小さいのだ。俺のような優秀な人材が働けば 今の社員の無能さが分かってしまうから 雇わないのだ、と 自分勝手な思い込みをしていたのです。



 ……そうだ、首都へ行こう。この国の首都なら 人の心もおおらかなはずだ。俺の実力を分かってくれる人がいるに違いない……


 そんな勝手な思い込から 島太郎は、首都を目指して旅立ちました。



  

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