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異世界ハーレムはただしイケメンに限る  作者: 日暮キルハ
二章 守るためなら何をしてもいいのか?

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神隠し編・依存に限りなく近い親愛

「……やあ、さっきぶりだねアキ」


 一瞬の間の後、ハクトは何事もなかったかのように微笑を浮かべた。


「……何が……やあ、だよ……お前……」


 頭がおかしくなりそうだ。

 今ここに来た奴はきっとここでさっき俺が見た惨状が広がっていたなんて一切思わないだろう。

 だって、それを示すものはもうどこにもないのだから。

 けど、それは確かにあったことでハクトの表情はそれを起こした張本人がしていい表情じゃない。

 なのに……なんでこいつはあんなことをしておいて笑えるんだよ……


「そんな顔しないで欲しいな」


 少し困ったように愛想笑いを浮かべるハクト。


「……お前……自分のしたこと分かってんのか?」


 もしかしたらさっきのは俺が見た悪い夢でほんとはそんなこと起こってなかったんじゃないかと思ってしまうほどのハクトの表情。

 俺は……こいつが分からない。


「……僕のしたこと、か」


 ポツリと呟くハクト。

 やはりその声に感情なんてものは一切ない。


 俺とハクトの間を沈黙が満たす。


「……僕はただ……ルカに笑って欲しいだけなんだけどね……」


 そして、数秒間の沈黙のあと先ほどと同じように誰に言うわけでもなくただポツリとそうハクトは呟いた。

 

「……じゃあお前は……そのために殺したのか?」


「うん。ルカには笑っていて欲しいんだ」


 俺の問いに対して一瞬の間も開けずハクトはそう返す。

 今まで何の感情も見えなかったその目には先程までとは違った確固たる信念のようなものが見て取れた。


「僕はそのためならなんだってするよ。ルカを泣かせる奴はこの世界にいらないし、この世界がルカを泣かせるならそんな世界は存在する価値がない」


 そして、それが俺の勘違いでないことを証明するようにそう続けるハクト。

 第三者が見ればまず間違いなくイカれてると思われるだろう。

 実際、俺もハクトの依存ともとれる発言に薄ら寒いものを背中に感じた。


 けれど、俺は同時に知っているのだ。

 そうやって自分の中にブレないものを持ってる奴は良くも悪くもひたすらにまっすぐで一切迷いがない。


「まぁ……ルカが大事だってのは分かったけどさ……それでもそのために誰かを殺すなんてことは許されることじゃないと思うけど?」


「どうでもいいよそんなの。それよりアキは僕を捕まえるつもり?それとも殺すつもり?それとも……見逃してくれるつもり?」


 ……ほらな。俺の言葉なんて聞く耳も持たない。


「……生憎、俺の仕事はお前を捕まえることなんでな。お前が間違ってるなんて偉そうなこと言うつもりはないけどひとまず牢屋には入ってもらう」


「そっか……なら消えてもらうしかないね」


 瞬間、場を満たす異常なまでに濃密な殺気。

 宿屋でゾノアが見せた物なんて比較対象にすらならないほどの濃密な殺気。

 それを放ちながらハクトはおもむろに右手を前に突き出す。


「『虚無縹渺』」


 詠唱の終わりと共にこちらに向かって飛んでくる一つの小さな白い球体。

 だが、その速度は決して見切れないものではない。

 むしろ遅いくらいだ。


 なのでそのまま前進、飛来する球体をぎりぎりで躱してハクト本人を捕らえようと一歩前に踏み出した瞬間、強烈な悪寒に襲われる。


 所謂第六感とでもいう奴だろうか?

 何かがそれはいけないと俺の頭の中に警鐘を鳴らした。

 そしてそれに従い後ろに飛び退いた俺は次の瞬間その判断がいかに正しかったかを思い知ることになった。


 音なんてない。

 前置きもない。

 一瞬、ほんの一瞬球体が光ったと思った途端それは急激に膨張をはじめ先ほどまで俺の立っていた場所を包み込み、抉られた地面だけを残し消え去った。


「……初見殺しもいいところだなおい……」


 思わず冷や汗を一滴たらしながら悪態をつく。

 もし突っ込んでいたら俺は死んでいただろう。

 どんだけめちゃくちゃな……


「初めてでこれを躱せるなんて凄いね。絶対終わったと思ってたのに」


「日頃の行いが良いんだろうな」


 軽口叩いてはいるがハクトと違って俺は正直めっちゃビビってる。

 なんだよあれ……いくら何でも規格外すぎるでしょ……

 ここに来るまでの穴の正体も『闇ギルド』の建物が半分持っていかれていた理由も分かった、いや分かってしまった。


 本気で怖い。

 一撃でもくらったらまず終わりだ。

 サテナさんの『鉄之処女』でも十分チートだったけどこいつのはそれ以上だろ……

 くそッ……もし生きて帰れたら俺にこの依頼受けさせた奴に絶対文句言ってやる……


 そもそもなんで俺こんな依頼受けることになったんだっけ?

 ……あぁあれだ。ザンクがこいつに殺され…………ん?


「なぁハクト」


「なに?今更やっぱり見逃すとか言っても信用できないから消すよ?ほんとは消したくないけどさ」


「自分の気持ちには素直になろうな!いや、そうじゃなくて聞きたいことがあるんだけどさ」


「……なに?」


「お前牢屋にいる奴殺した?」


「……?なんで僕がそんなこと……さっきも言ったけど僕はルカに笑っていて欲しいだけだよ?それが牢屋にいるだけでルカが笑えなくなるようなら消すけどそんなこと今のところはないよ」


「……やっぱそうだよな」


 ハクトはザンクを殺していない。

 ルクアの言ったとおりだったな。


「尚更逃げたくなってきた……」


 ほんとに俺にこの依頼持ち込んだ奴覚えとけよ……


「逃がさないよ。『ホーリーレイ』」


「――ッ!光属性まで持ってるのかよ……」


 間一髪、頬をかすめたものの光線を躱しこちらも反撃に転じる。


「『オールエンハンス』『ウォータートルネード』」


 詳しい内容までは知らないけどハクトのユニーク魔法は『消す』魔法なのだろう。

 だとしたらまともに攻撃を仕掛けても消されて終わりだ。

 だからこそ二択を迫る。

 『ウォータートルネード』を消すようなら『オールエンハンス』で身体能力を上げた俺の攻撃が、逆なら全力で躱すのみ。


「――ッ!」


「ッ!?」


 だが、ハクトはそのどちらも選ばなかった。

 強いていうならなにもしないことを選んだ。


 一見わけのわからないハクトの行動。

 しかし、次の瞬間ウォータートルネードがねじ伏せられたことで否応なしに俺にハクトにとって俺の攻撃は消すまでもないものだということを思い知らせた。

 

「――ガハッ!?」


 ハクトの攻撃がそれで終わることなど当然なく気づけばハクトの拳が俺の腹にめり込んでいるところだった。

 そしてその次の瞬間、俺は壁に叩きつけられ体中が軋むような痛みを味わう。


「――ッ『リザレクション』『シャイニング』!!」


 体から痛みがひくのを感じながら俺はサクトの『狂戦士』を思い出していた。

 ハクトの身体能力はそれと同等、下手すればそれ以上かもしれない。


「ハハ……」


 思わず乾いた笑みが浮かぶ。


 ヤバいな……

 ……勝てるビジョンが全く見えない。




ハクト・サクラバ

Lv.1(MAX)

Next. error?

ランク:D

Next.8700

HP. 2300 /2300 MP. 3600/12000

装備

ゼロ~ヴァイス~:なし

魔法

光属性

【ライト】MP.10

【ヒール】MP.50

【リトルリペア】MP.50

【ハイヒール】MP.100

【オールライズ】MP.100

【ホーリーレイ】MP.100

【フルリペア】MP.200

【リフレクション】MP.200

【オールエンハンス】MP.200

【アブソリュートヒール】MP.200

【リザレクション】MP.200

【ホーリージャベリン】MP.200

ユニーク

【生存本能】MP.1000

【虚無縹渺】MP.5000



《生存本能:固有魔法。〔自動発動:生命の危機に陥る〕発動から五秒間、身体能力が爆発的に向上(百倍)する。24時間の間に最大五回まで使用可能》

《虚無縹渺:固有魔法。触れたものを全てを無に返す球体を飛翔させる。球体は10km/hの速さで移動し発動時に最大半径5メートルまで膨張させることが可能》


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