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異世界ハーレムはただしイケメンに限る  作者: 日暮キルハ
一章 手放せない日常

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クロノス編・開けられた門と不気味なほどの静けさ

 当然、反対は出た。

 カイと共に行動する機会が多かったグレン達戦闘班、ヘレナさん達家事班からももう我慢の限界だと言われた。

 ザンクを倒すべきだと言われた。


 グレンからは胸ぐらを掴まれ見損なったとさえ言われた。


 だとしても俺は誰にも傷ついてほしくない。

 だから、何度もあと少しだけ待ってくれるように頼んだ。


 明日の朝、皆が起きた頃には全てが終わっているようにするために。


「よし……」


 夜は深まり皆が寝静まった頃アジトをでて俺は呟く。


 不満ありげな反応をされながらもなんとかあと少しだけ待ってもらうように説得した。

 明日の朝までの時間が稼げればそれでいいので何ら問題はない。


「行くか……」


 できればザンクとやらが話が通じる人間であってほしい。

 まぁこれまでのことからとてもそんな人間には思えないが……


「行くってどこに?」


「クロノスだよ、これ以上好き勝手させるわけにはいかないから」


「へぇ、私達にはあと少し待ってとか言ってたのに?」


「そりゃ誰も巻き込みたくないから……ん?」


 ……おかしい。

 俺、誰と喋ってるんだ?


 そう思い俺は声のした方、つまりは横を見て思わず頭を抱えた。


「……なんでここにいるんだ?レイ」


「アキ君こそ今の話はどういうことかな?」


「水くさいですよ頭!もっと俺達を頼ってください!」


 いや、というかレイだけじゃない。

 グレン率いる戦闘班の面々が勢揃いしていた。


「いや頼るって……とりあえずお前は帰って寝ろよカイ」


「嫌に決まってんだろ!せっかくアキ兄に治してもらったんだから俺だって行くよ!」


「そんなことさせるために治したんじゃないっての……」


「とにかく俺は行くよ!」


「ダメだ。これは頭としての命令、今すぐ自分の部屋に戻って寝ろ」


 こうなるのが分かってたからこんな夜中に抜け出したってのに……


「嫌だ」


「……嫌だって……俺一応レブルで一番偉いんだぞ?」


「……え?……アキ兄が……偉い……?」


「その本気で理解できないって表情やめて!」


 分かっていたことだが俺に威厳などというものは全く無かったらしい。

 ……なんでこれから敵陣に乗り込むって時に精神的なダメージ受けるはめになってんだ?


「つーかどのみちお前らはもう寝る時間だろ!早く自分の部屋で寝ろ!明日起きられないぞ!?」


「アキ君をいつも起こしに行ってるのって誰だっけ?」


「ごめんなさい、レイさんです!いつも感謝してます!」


 説得しようとするたびに墓穴が掘られていく…

 理不尽だ……


「そもそもアキ君はね――」


「よし、その話は今度にしよう!」


 腕を組んでそう切り出したレイに対して俺は慌てて話題の切り替えを図る。

 このままだと十中八九お説教が始まるからだ。


「……アキ君?」


「……はい」


 しかし、お説教は回避できなかった。

 威厳とか以前に自分より年下の女の子に説教されてる俺って…

 どこで道を間違えたのやら……


「アキ君、レブルの掟を一つずつ言ってくれる?」


 いや、ほんと笑顔が怖いっすよレイさん。 


「えーっと……命を大事に……」


「それでアキ君は命を大事に考えた結果私達は足手まといだって判断したのかな?そういうことなのかな?」


「いや、滅相もございません!ほんと調子乗ってました!」


 いつもとうって変わった冷たい声と目に何も言われてないのに俺は既に正座だ。

 心なしか体が震えているような気がする。

 マギに真正面から殺気あてられても全然大丈夫だったのに……


「それで?他には?」


「えっと……一人では闘わないようにする……」


「あれ~?おかしいなぁ?」


「いやほんとマジすいませんでした!!」


 額に青筋を浮かべなぜか右手でナイフをもてあそんでいるレイに俺は誠心誠意土下座で謝罪をさせていただいた。


 殺される……

 ここで謝っとかないとザンクに会う前に殺される…


「俺……二度とレイ姉には逆らわないよ……」


「そうだな。ヘレナにも気を付けよう」


 死んだ魚のような目をしてそう結論付けるカイとグレン。

 というかお前ら助けろよ。


「なんだろ……もう闘う前から疲れたし今日行くのやめない?」


「そう言いながら私達が居なくなった後に一人で行ったりしたら……ふふっ」


「俺何されるの!?」


 ダメだ……

 完全に思考回路が読まれてる……


 ……一緒に行くしかないのか?

 本当に危険なんだぞ?

 ……何とか待っていてもらうべきじゃないのか?


「……なぁ、ほんと頼むから待っててくれないか?たぶん今までの比じゃないくらい危ないんだよ……下手すればだれか死ぬかもしれない」


 もう何度下げたかも分からないくらい軽い頭を下げる。

 こんなもので引いてくれるとは思えないけれどそれでも引いて欲しいから。


「それはアキ君も一緒でしょ?アキ君だって人間なんだから死ぬ時は死ぬよ?なのに、アキ君が死ぬかもしれないのに私達には黙って待ってろって言うの?……もし立場が逆だったらアキ君は私の事を待つの?」


 ……それは……ずるいと思う。

 立場が逆だったら?

 そんなの……待つわけない……


「……ずるいぞレイ……」


「……アキ君だって」


 俺は……怖いけど…

 レイを、皆を信じてるなら……


「……勝手に死んだ奴は絶対許さないからな?」


「その言葉そっくりそのまま返すよ」


 ひどい言われようだ。


「行こう」


 これはいいとこ見せて名誉挽回しとかないとな……

______________________ 


「……どう思う?」


「……罠……ですかね?」  


「やっぱりそう思うよな?」


 クロノス前、本来門番がいるはずの場所には誰もおらずなぜか門も無用心にも開いていた。

 正直、怪しさしかない。


「というかあれなんだと思う?」


「……分かりません。何かが燃えてますよね?」


「うん……マジでなんなんだ?」


 そして、門を少し離れたところでは何かが燃やされている。

 本当に意味が分からない。

 何がどうなったらこんなことになるんだ?


「……どうする?」


「……気を付けて入るしかありませんね」


「だよな」


 悩んでいても入らないことには何も始まらない。

 だからこそ俺を先頭に警戒しながら門をくぐる。


「……別に……普通だな……」


「……はい……絶対に待ち伏せだと思ったのですが……」


 特に何も起こらなかった。

 村のなかはただただ暗闇と静けさにつつまれるのみでそれ以上のこともそれ以下のこともない。


「……なんで門開いてたんだ?」


「……さぁ?」


 ……とにかく進むしかないよな?


「ザンクの屋敷ってどこ?こう暗いとよく見えないんだけど?」


「あ、それなら俺が案内させてもらいます」


 グレンが一緒に来てくれて良かった……

 一人だったら絶対に迷子になってた。


 そこからはグレンの先導で迷うことも立ち止まることも邪魔が入ることすらなくザンクの屋敷へとたどり着いた。

 とはいえ屋敷の周りは大勢のCランク冒険者に守られている。

 あれを真正面から突破するのはなかなかにきつそうだな……


「ねえアキ君……やっぱりおかしくない?」


「ん?」


「ここまで兵の一人とも出会わないなんていくら何でもやっぱり……」


「……まぁそれは俺もそう思う。けどだからと言って引き返すわけにもいかないし待ち伏せを仕掛けるつもりならすでに襲ってきてるはずなのにそれすらない。相手の思惑が分からない以上は警戒して進むしかないよ」


「……うん……まぁ、そうだね……」


 たしかにかなりの違和感がある。

 開けられたままの門。

 ここまでただ一人と出会うことのなかった兵。


 けどそれでも今は目の前の冒険者達をどう切り抜けるかだな。

 分からない事ばかり考えて目先の物に足元すくわれたら笑えもしない。


 さて、この人数……どう突破しようか……

読んでいただきありがとうございます。

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