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異世界ハーレムはただしイケメンに限る  作者: 日暮キルハ
一章 手放せない日常

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クロノス編・思いがけない出会い(それが良いものかはまた別の話)

「おらぁあああっ!!!」


 現在絶賛戦闘中だ。

 というか屋敷に忍び込むとか無理。

 レイナさんの話だと二十人って話だったけどこれ明らかに三十人超えてるぞ!?


 レイナさんが嘘をつくとも考えられないしそうなるとこれはザンクが俺が来るのを見越して更に数を増やしたってとこか?

 そんなことするくらいなら大人しく俺達に関わらないでいてくれればいいのに……

 そこまで奴隷を売りたいのか?


 けど、そうなるとなおさら兵と一人も出会わなかったのはおかしな話だな……

 これだけ戦力を増強しておいて兵には遊ばせてるなんて事あるわけないし……


 まぁなんでもいいや。

 今はこの冒険者達を倒して先に進むことだけを考えよう。


「少しでもヤバいと思ったらすぐに下がれよ?」


「アキ君前見て!」


 ……怒られてしまった。


「このくそがっ!!」


「死ね!」


 よそ見をしている間に距離を詰められたらしい。

 右からアックス、左から剣が迫ってくる。

 ご丁寧に狙いは首だ。

 殺す気満々だな全く……


「なめんな」


 その場で全力跳躍。

 その一瞬あと、俺のいた場所をアックスと剣が通り過ぎる。

 振り切った後の一瞬の隙、俺は体を全力で捻りアックスを持った冒険者の脳天めがけて渾身の踵落としを繰り出す。

 そして、着地と同時に再び迫り来る剣を黒檀で受け流し体制を崩したところを鞘で鳩尾に一撃与え昏倒させる。 


「マギ達に比べるとやっぱり大したことないな」


 崩れ落ちる二人に一瞥を向け俺はそう呟く。


 別に弱い訳ではないんだろうけどマギ達に比べるとどうしても見劣りする。


「『クロスフレイム』!!」


「む、『アースウォール』」


 杖を装備した冒険者から放たれた俺を燃やそうと迫る十字型の炎を大地の壁で防ぐ。


「『ウォーターバレット』」


「――ガッ!?」


 そして、俺に気をとられていたその冒険者は背後からのレイによる狙撃に一切の反撃を許されることなく倒れた。


「『サンドチェーン』」


「――ッ」


「ありがと、アキ君!」


「う、うん……」


 その後ろでレイに刃を突き立てようとしていた奴がいたのでサンドチェーンで拘束したらレイに回し蹴りで昏倒させられていた。

 めちゃくちゃ綺麗に顎に入ってたけどあれ大丈夫か?

 なんか歯とかとんでたような気がするけど……


「それにしてもやはり数が多いですね……」


 グレンが心底鬱陶しそうにそう呟く。


「けど、もうはじめの半分もいないだろ。さっさと終わらせて中に入ろう」


 とは言いつつも正直俺ももううんざりだ。

 あと、十人。

 そろそろ終わりにさせてもらおう。


「『無より生まれし水よ 連なりし源水よ 渦巻く水は暴威 その力荒れ狂え アクアトルネード』!」


 詠唱を終えた瞬間、どこからともなく巨大な水の竜巻が現れ残っていた冒険者に襲いかかる。


「――ッ!グァアッ!」


 残っていたうち八人が竜巻から逃れられずその凶悪なまでの渦に飲まれる。

 そして、なんとか逃れた二人も……


「『ウォーターバレット』」


「『クロスフレイム』」


 レイとグレンの水と炎による攻撃に意識を刈り取られた。


「よし、全員軽い怪我だけっぽいな。治しておくから集まって」


 思っていた以上に皆が強くてちょっと驚いた。

 特に、グレン、レイ、カイ、辺りは本当に強い。


「『無より生まれし光よ 連なりし癒しよ 命ある者に癒しの祝福を ハイヒール』」


 光が俺を含めた全員を包む。

 正直この程度の傷ならヒールで十分だけど一応ね。


「全員、魔力とかは大丈夫?」


「回復薬も魔力玉も毒消しも使ってないです」


「そもそも魔力に関しては上級魔法使ってたアキ君の方が心配なんだけど……」


 ふむ、大丈夫そうだな。

 念のために多めに回復役やら何やら持ってもらったけど結局一つも使ってないみたいだし……


「ほんとに皆強いな……」


「俺が直々に鍛えたんです、このくらいは当然ですよ」


「そう言いながらもちらちら様子見たりサポートに入ったりしてただろうが。この過保護め」


 ブーメラン?

 なんのことだ?


「…………入りましょうか」


「おい待てなんだ今の間は?」


「察しなよ……」


 グレンとレイ、いやなぜか味方全員から冷ややかな視線を浴びながら俺は屋敷のドアへと向かっていった。


 当然ながら鍵は閉まっていた。


「壊しますか?」


「んー、最終的にはそうなりそうだけど、一応他に中にはいれそうなところがないか探そう。あんまり派手に壊して兵やら何やらが湧いてきても鬱陶しいし」 


「今更じゃないですか?」


「……まぁ……そうだけどさ……とりあえずだよとりあえず」


 あれだけ派手に闘ったんだ。

 普通気づくよな……


 だからといって壊していいというわけでも無いだろうし一応探すくらいはしてもいいだろう。

 うっかり裏口閉め忘れたとかあるかもだし。


 ……絶対にないな。


 そして、屋敷の周りを一周した結果。


「……いや、ほんとおかしくない?」


「……わけが分かりませんね」


 ドアがあいていた。

 いや、正しくは裏口のドアがあいていた。

 無用心なんてもんじゃないだろ……


 本当にやってることがちぐはぐすぎる。


 俺達のことを警戒して屋敷の警備をする冒険者の数を増やしたのはまぁ分かる。


 けど、門は開けっ放しで俺達が見た限り一人も見廻りの兵はいない。

 あげくのはてには正面のドアだけ鍵閉めて裏口は閉め忘れている。


 そんなバカなことが本当にあるのか?


 仮にこれが俺達を動揺させるための作戦だとしたらまぁ成功はしているが失うものが多すぎる。

 そんなことするくらいなら数に任せて闘ったほうがよほどましだ。


 ダメだ……さっぱり意図が分からん……


「罠の可能性もあるから俺が一番に行くよ。それで大丈夫そうだったら合図する」


「……まぁたしかに頭なら大概のことには対応できますからね」


「そーゆうこと。それじゃあ入るよ…」


 どんな罠があってもいいように警戒しながらそっと右足を屋敷の中に入れる。


 何も起こらない。


「いきなり床が抜けるとかは無いっぽいな……」


 きちんと床があるのを確認してもう一歩前へと進む。


 何も起こらない。


「とりあえずここには何もない……か」


 けど、待ち伏せがあるかもしれないからな……


「もうちょっとだけ奥まで見てくるから待ってて」


「それなら俺達も……」 


「すぐそこを見るだけだから」


 まぁ、この感じだと本当にただの閉め忘れっぽいよな…

 警戒するのがバカらしくなる。

 もしもがあるから警戒を解く気はないが。


 そして、そのまま真っ直ぐ進み曲がり角のあるところまで進んだところに……


 そいつはいた。


 警戒はしていた。

 もしかしたら何かが起こるかもしれないと思っていた。

 だからその動揺が体に出ることはなかった。


 だが、それでもやっぱりそれはどうしようもないくらい俺を動揺させたらしく……


「……?……頭?どうかしたんですか?」


 グレンのそんな言葉すら俺の脳には届かずただ耳から入ってそのまま通りすぎていった。


「……なんでお前がここにいるんだ?」


 いや、それも気にはなるが今はそれ以上に聞かなければいけないことがある。


「……マギ達を殺ったのはお前か?なんでそいつに刃を向けてる?」


 男は胸ぐらを掴み首に刃を当てていたザンクと思われるおっさんから視線を外しこちらに視線を向ける。

 そして、男はそのまま床に出来た血溜りで靴が汚れることも気にせず一歩だけ俺に近づくとただ一言だけこう答えた。


「……こいつらが、どうしようもない『悪』だからだ」

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