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異世界ハーレムはただしイケメンに限る  作者: 日暮キルハ
一章 手放せない日常

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Eクラス依頼:迷子のミニャ探し

 この世界に来てから今日でちょうど一週間だ。


 いつも朝はレブルのなかでも最後まで寝てることが多いのだが今日は違う。

 一週間分買ったはずの食材だったが、思ったより早くなくなってしまったので王都まで買いに行かなければいけないのだ。

 

 というわけで重力と眠気に負けそうなまぶたを無理矢理開いてなんとか起きる。


「朝は……新鮮な……ふぁあぁ……食材が揃ってる……とかヘレナさん言ってたっけ? ……眠い」


 時刻は朝五時。

 ちなみに俺はいつも九時まで寝ている。

 若干言い方が違ったりすることはあっても大概生きてた時と時間や月の数え方は同じなのでそこで苦労しないのはありがたいな。


「あ、頭おはようございます。今日は随分と早いですね?」


 あくびを噛み殺しながらそんなことを考えていると家事班の一人に声をかけられる。

 名はソフィ。

 輝くような金髪でおとなしい印象の女性だ。


「昨日で買い込んだ食材が全部なくなったらしくてさ。ヘレナさんに昨日買ってきてって頼まれたんだ」


 ヘレナさんいわく、朝はいい食材が揃っているらしい。

 正直起きるのはきついがそれであの美味しい料理が更に美味しくなるならなんの問題もない。


「すみません……私達が買いに行くことができれば頭の手を煩わせることもなかったのですが……」


「いやいや、俺らは仲間なんだからそんなこと気にすることないって。それにそんなこと言い出したらこの一週間の収入はほとんどグレン達が稼いだ訳だし……」


 申し訳なさそうに頭を下げるソフィの言葉を慌てて否定する。

 むしろ手を煩わせているのは俺の方だ。

 ソフィやヘレナさん達の家事班は掃除洗濯料理と完璧にこなしている。

 グレン達戦闘班は俺が冒険者になってから今日までで魔獣を四十体討伐して銀貨四十枚も稼いだ。

 よく働いてくれている。

 そのおかげで心なしかアジトは以前にも増して綺麗になったような気がするし、全員分の新しい服や買えていない調理器具を買ってもまだ銀貨三枚も残っている。


 それに比べて俺のこの一週間の成果は……


 薬草採取 770個

 マヤの実採取 130個


 ……植物としか関わってない。

 ちなみにマヤの実は『魔力玉』という魔力を回復する冒険者などの戦う者御用達の品の材料でそのまま食べても少しなら魔力が回復する果物だ。

 ……実のままだと味はいまいちだけど。


 話が逸れたな。

 結局、この一週間で俺が稼いだ額は銀貨三枚と銅貨六枚。

 グレンたちが稼いだ額とは比べるのがバカらしくなるほどの差がある。


 昨日、ランクがEに昇格したから多少は稼げるようになるだろうがそれだけではどうしようもないだろう。

 やっぱり魔物を討伐しないと……


 この一週間で魔物の死体を見ても吐き気を催さないほどにはこの状況にも慣れた。

 それでもやはりいざナイフを握り魔物を殺そうとすると手が震え視界が狭くなる。


 ……そもそも俺に殺す資格などあるのだろうか。

 

 貰い物の力を振るうことしかできない俺に……


「頭? どうかしましたか?」


「ん? あ、いや、何でもないよ」


「大丈夫ですか? 顔色が良くないように見えるのですが…」


「大丈夫大丈夫! 気にしないで!」


「……ならいいのですが……体調管理には気を付けてくださいね?」


 ……あぁ、まただ。

 また、心配をかけた。

 また、余計な手間をかけさせた。


「……うん、それじゃあ行ってくるよ……」


 俺には一体……何ができるのだろうか……


★★★★★



 買い物は三十分もかからずに終わった。

 これはこの一週間で成長したことと言えることかもしれない。

 はじめは同じ量の買い物を済ませるのに五時間かかってたわけだからな。

 王都の地形はかなり覚えられたと思う。


「さて、帰るか……」


 買い物は済ませた。

 この両手いっぱいの荷物を抱えたままギルドに行くのは得策とは言えないだろう。

 食材が傷む前にさっさとアジトのヘレナさん特製の食材保管所に運んでしまおう。


★★★★★



「ごちそうさま」


「アキ君」


「ん? なに?」


「今日もギルドに行くんだよね?」


「そのつもりだけど、どうかした?」


 朝食を食べ終えそろそろギルドへ行こうかと考えているところをレイに話しかけられる。

 なんだろうか……?


「私もついていっていいかな?」


「え? 別にいいけど……」


「やった!」


「けどなんで?」


 正直、ギルドに来てもそんなに面白いことはない。

 昨日までただひたすら植物を採取してただけだし。


「んー、何となく?」


「……そっか」


 ……何となく、か。

 理由もなくギルドなんかに行きたいと思うのだろうか?

 奴隷の刻印が刻まれていることが知られたら面倒事に巻き込まれるだろうに。

 下手をすれば拐われるかもしれない。

 それなのにギルドに行きたい理由。


 ……やはり毎日の魔獣討伐は負担をかけているのかもしれない。

 そりゃそうだ。

 盗賊とはいってもレイはまだ子供でこうなる前は平和に暮らしていたのだ。

 生きるためとはいえ毎日魔獣を討伐することは大きな負担になっているに違いない。

 俺のせいだ……


「アキ君?」


「……ごめん」


「……なんで謝るの?」


「……いや、行こうか」


「……うん」


 お互いの会話になぜか一瞬の間があく。

 そんななんとも微妙な空気のまま俺とレイは王都へと向かった。


★★★★★



「おはようございますアキさん、レイさん」


「おはようございます」


「おはよー」


 折り目正しく朝の挨拶をするエミリさんに挨拶を返す。


「今日からはEクラスの依頼に挑戦ですか?」


「はい、そのつもりです。けど、その前にこれを」


 そう言って俺がカウンターに置いたのはお馴染みの一品、魔獣の皮だ。


「はい、かしこまりました」


 一番最初は驚いていた様子のエミリさんも今では当たり前のように袋を抱え奥へと入っていく。

 ちなみに今回の報酬は銀貨二枚と20ポイントだった。

 要するに、魔獣を朝からグレンは二体も討伐したらしい。

 グレン以外の戦闘班のメンバーが四、五人でかかってようやく一体倒せるらしいのでグレンの強さがよくわかる。


「迷子のペットの捜索ですか……」


 俺の渡した依頼の紙を見てエミリさんが呟く。

 どうにも浮かない顔のように見える。

 大変そうな依頼には見えないが何か不都合でもあるのだろうか?



Eクラス:ミニャの捜索

依頼内容:ミニャの捜索と保護(ペット捜索)

報酬:銀貨一枚

備考:大切な家族です!どうか見つけてください!



「どうかしました?」


「あ、いえ、その……言いづらいのですが……」


「……?」


 言いづらい?

 やはり不都合でもあるのだろうか?


「捜索の依頼は……あまりいい依頼とは言えないのです」


「……? どういう意味ですか?」


「まず、捜索の依頼の達成条件は今回で言うと迷子のペットを見つけて保護することですが、実はこれが難しいのです」 


「……というと?」


「討伐や採取の依頼ならばそもそもどこに対象がいるか大体の予想がつきます。しかし今回のように捜索することが依頼の場合どこにいるのか全く見当がつかないまま探すしかないのです。そうなるとよほど運が良いか情報網をもっていないとかなりの時間が必要になってしまいます」


 ……なるほどな。

 たしかにこの依頼をこなすくらいなら他の依頼を数こなした方が言いかもしれない。

 情報網なんて俺は持っていないから時間がかかることは間違いないだろうし。


「それに加えて捜索の依頼は意外と危険も多いのです」


「……なんでですか?」


 危険が多い?

 捜索なら討伐と違って闘うこともないだろうしそんなに危ないことはないはずだ。


「捜索対象が危険な地帯にいる可能性があります。いくら戦闘が必要な依頼ではないとはいえ、そういった地帯で襲いかかってきた魔物の相手をすることはあるでしょうし、火山地帯や氷山地帯などで命を落とす危険もあります」


 こちらに闘う意思があろうがなかろうが襲われる危険性はあるってことか。

 さすがにペット探しで火山や氷山に行くことはないだろうが魔物のいる森の中を探し回ることはあるだろう。


「そういうわけであまり捜索の依頼はオススメできないのですが……」


 そう言って俺を見るエミリさんの目は他の依頼を探すように言っていた。

 ……まぁ、たしかにこれだけ条件が悪いと仕方ないかもな。


「分かりました。他の依頼を――」


「お兄ちゃんミニャを探してくれるの!?」


 ――探す、と言おうとした俺に声がかけられる。

 振り向いた先にいたのは一人の少女だった。

 見たところレイ達より年下に見える。八歳くらいだろうか。


「お願いお兄ちゃん! ミニャを見つけて! 誰もミナの家族を探してくれないの!」


 そう言って俺の腕にしがみつく少女。

 名はミナとか言うらしい。

 ……家族、か。

 依頼の紙にも書いてあった。


「お父さんやお母さんは?」


「……お仕事でほとんど家にいないの。いつも一緒にいてくれるのはミニャだけ……」


「……そうか」


 どうしたものか……

 正直、合理的に考えたらこの依頼は受けるべきじゃないのだろう。

 けど、きっとこの依頼は俺が受けなければここまま誰も受けない。

 それはつまりこの子がいつも一緒に……いつも一緒?

 ……なんかこれ……知ってる?

 ……懐かしい?


「アキさん?」


「――ッ!? あ、や、どうかしました?」


「あ、いえ、何か考え込んでいるようでしたので……」


「えっと……あれ? 俺、何考えてたんだっけ?」


 えっと……たしか……そうだ、俺が受けないと多分この子は永遠に家族と離れることになるかもしれないってことだよな。


 ……けど、仮に俺が受けたとして本当に見つけられるのだろうか。

 期待だけさせて裏切ることになってしまうんじゃないだろうか……


「お兄ちゃん、お願い……」


「ちょっ……」


 ……気づけばミナが泣いていた。

 その二つの瞳から大粒の涙をこぼしていた。

 

 不安がらせたのかもしれない。

 今思えば彼女はこの一週間毎日ギルドに来ていた。

 Eクラスの依頼なので俺には関係のない話だったが、冒険者に何かを頼んでは断られているようだった。


 依頼をだしても誰も受けてくれない。

 頼んでも誰も引き受けてくれない。

 そんななか俺が依頼を受けようとしていた。

 希望だったのかもしれない。

 それがやっぱりやめてしまうかもしれない。

 それは彼女に大きな不安を与えたのではないだろうか。

 ……だとしたら俺はどうするべきなのだろうか。


「……ミニャは大事?」


「……うん」


 俺の問いに対してミナは小さい声で、しかしはっきりとそう答えた。

 ……なら、それに俺もそれに応えよう。


「……分かった。じゃあミニャの特徴とか教えてくれるか? この紙に書いてあるだけだとなんの動物かも分からないんだけど?」


「アキさん!?」


 エミリさんが驚いたように俺を呼ぶ。

 分かってはいる。

 間違いなくこれは冒険者としても人を率いる人間としても間違った答えだ。

 けど、俺はこの依頼を受けたいと思ったし受けるべきだとも思った。


 そんな俺をレイが笑みを浮かべながら見ている。

 ……だったらきっと大丈夫なんだと思う。

 間違った答えではあっても幻滅させる答えではないのだ。

 だったら、今はそれでいい。


「えっとね、ミニャは黒くてね、えっと、ふわふわで大きいの」


「ふむふむ、他には?」


 どのみち正解は分からない。

 まぁ、これは間違ってるけど。

 それを分かったうえでこの答えを俺は選んだのだ。

 だったら俺ができるのはこれをできるだけ正解に近づけることだけ。

 その事だけを考えよう。


「目が赤いよ。あとは……」


「……魔獣ってペットになるのか?」


「お兄ちゃん! ミニャは魔獣じゃないよ! 犬だよ!」


 俺の言葉に反論するミナ。

 けど、今までの条件だと完全に魔獣だ。

 本当に犬なのか?魔獣と犬を間違えているという可能性は……


「……あっ!」


 本当に犬なのかと俺が思っていると今まで沈黙を守っていたレイが突然声をあげる。

 どこか納得したような表情をしている気がする。


「どうかした?」


「昨日森で見たかも……」


「え?」


「ミニャを見たかも」


「それほんと!?」


 レイの衝撃発言に食いつくミナ。

 にしても昨日森で見た、か。

 ……まさかとは思うが……


「と、とりあえず出ようか! ここだと邪魔になるだろうし! エミリさん印鑑お願いします!」


 印鑑を押された紙を持って二人の手をとりギルドの外に出る。


「それで? どういうことか教えてくれるか?」


「あー、えっと、昨日群れの魔獣に出くわしたんだけどね」


「……うん」


「そのとき一体だけ魔獣にしては小さいうえに逃げ出したのがいたんだよね……」


「……それって……」


「……やっぱりそう思うよね……?」


「どういうこと?」


「……とりあえず行こうか。暗き森」


「ねぇ、どういうこと?」


 一人何のことかよく分からないといった様子のミナを「まぁまぁ」となだめながら森へと引っ張っていく。

 おそらく魔獣と共存しているのではないかと思われるミニャがいるであろう暗き森へと……


★★★★★



「……あれか?」


「あれだね」


「……ミニャ!!」


「あっ、ちょっと待った!」


 結果から言うとミニャはかなりあっさり見つかった。

 問題はミニャが今いる場所だ。

 ミニャは魔獣の群れのなかにいた。

 たしかに他の魔獣に比べたらかなり小柄だと思うが……

 あれどう見ても魔獣だろ。

 魔獣の子供だろ。


「ミナ。一つ俺の質問に答えろ」


「何!? やっとミニャが見つかったんだよ!?」


「お前がミニャと出会ったのはいつだ? というかそのときからあのでかさだったか?」


「……たしかに少しであったときより大きくなってるけどあれは絶対にミニャだよ!」


「分かったから! あれがミニャなのは分かったからとりあえず俺の質問に答えてくれ! ミニャのところに行くのはそれからだ!」


「……分かった……けど、話したらすぐに行くからね!」 


 ミニャと出会ったのは今から二週間前のこと、その時は小型犬サイズだったらしい。

 それが今群れのなかにいるのは大型犬サイズといった感じだ。

 そんな成長早くてたまるか。


「ミナ、あいつは……」


「ミニャ!」


「――ッ! 待てミナ!」


 ミナを魔獣に近づかせないように説得しようとした矢先にミナがミニャの元へと走っていく。

 そして、その姿を見た魔獣が黙って待っているわけもなく。


「グルァ!」


 そう一声唸るとミナに向かって走り出す。


「――ッ! させるか!」


「させない!」


 当然、ミナを魔獣に喰わせるつもりなど俺たちもない。

 全力でミナを追いかける。


 だが。


「ミニャ!」


「クゥン!」


 一番にミナの元にたどり着いたのは、俺達でも血に飢えた魔獣でもなく

 ミニャだった。

 抱き締め合う一人と一匹。


 はっきり言って異常な光景だ。

 魔獣は魔物の中でも知能が低い方だ。

 相対した相手には自分よりも強いかどうかなど関係なく襲いかかる。

 そんな魔物だ。

 それが今、その前足に、その爪に、その牙に、ほんの少しでも力を込めれば簡単に殺せるような少女をこともあろうに抱き締めている。

 まるで生き別れた最愛の人との再開を喜ぶように。


「これ……どういうこと……?」


 俺の呟きに答える者は誰もいない。

 本来そんな知能などあるはずのない魔獣ですら困惑したような様子だ。


「ほらね! ミニャはミニャなんだよ!」


「クウゥン!」


 誇らしげにミニャを撫でながらこちらを見るミナ。

 そんなミナの言葉に「その通りだ!」とでも言いたげに首を上下に振るミニャ。

 魔獣って知能低い方なんだよね……?

 明らかにミナの言葉を理解してるような……


「昨日、ミニャを見たときに逃げ出したのもおかしいと思ったけどもう一つおかしいと思ったことがあったんだけどね……」


 このあり得ない状況を前に唐突に口を開くレイ。


「ふつう魔獣が群れを作るなんてあり得ないことなんだよ……」


「……言われてみれば」


 はじめて遭遇した二体の魔獣も群れを組んでというよりはただ単にエサを探してたらたまたま出会ったというような感じだった。

 そもそも群れを組んでかかってくるような魔物が相手だったら、いくらグレンが強いとはいえそう簡単には討伐できないだろう。


「それにあの魔獣たち……今も襲いかかってきてないなんておかしくない?」


「そう言えば……」


 魔獣の特性を考えればとっくに襲いかかってきていてもおかしくない。

 なのにこちらを警戒する樣は見せても襲ってはこない。

 まるで命令を待っているかのような……


「なぁ、まさかとは思うんだけどさ……」


「多分、私も同じこと考えてるよ」


「ミニャが群れのリーダー?」


「……多分ね」


 あり得ない、とは言えないこの状況。


「グルゥ、グワッ!」


 ミニャが「その通りだ!」といった感じに吠える。

 もはや、驚くまい。


「これ、どうする?」


「一応、依頼は達成?」


「なのか? これ」


 たしかに探していた相手は見つけた。

 けど、ミニャが魔獣である以上もう一緒に暮らすというのは無理だろう。

 それどころかここは暗き森。

 魔物の生息数もなかなかに多く危険な森だ。

 少女が一人で会いに来るなんてことをしたらエサになって終わりだろう。

 そう考えるともはや二度と会うことはできないかもしれない。

 それではこの依頼の本質が達成できていないだろう。

 うーん、それなら……


「なぁ、ミナ」


「……なに?」


「ミニャが魔獣だってことはもう分かってるよな?」


「……うん」


「そんでミニャはどうにもこの群れを率いるリーダーらしいんだ」


「……そうなの? ミニャ?」


「クゥン」


 ミナの問いに答えるように一吠えするミニャ。


「ミニャは魔獣で群れのリーダーだ。もう王都には帰れない」


「――ッ! そんなのイヤだ! ミニャは私と一緒に――」


「王都の中に魔獣がいたら間違いなく殺されると思うぞ? 魔獣は一般的には相対した相手を襲う危険な生物だからな」


「――ッ! でも!」


「クゥウン……」


 目に涙を浮かべ否定の言葉を口にしようとするミナの頭をミニャがその強靭な前足で優しく撫でる。

 その声は悲しげだ。


「……だったら私が毎日会いに来る!」


「ここは暗き森だぞ? お前じゃミニャに会う前に殺されて終わりだ」


「――ッ、なんで!? なんでそんなこと言うの!?」


 俺の言ったことは要するにお前じゃもう二度と会えないというようなことだ。

 意地悪だとは思うがこうでも言っておかないと絶対に無茶をするだろうからな。


「こうでも言わないと無理矢理連れ帰るか会いに来るかするだろ?」


「そんなの! ……当たり前だよ! もう会えないなんて……イヤだぁ……!」


 頬を伝う大粒の涙。

 このくらいでいいかな。

 というかそろそろやめないと周りからの視線が痛い。

 魔獣はともかくミニャとレイからの視線がつらい。

 特にミニャがめっちゃ睨んでる。


 え?その目つきどうやってんの?


「そこで一つ提案だ」


「……うぇ?」


「俺がギルドに行ったときにミナがギルドに居るなら、その時はミニャのところまで案内してあげるよ」


「……ほんと?」


「いつもギルドに居るってわけじゃないからいつも会うのは無理だけどな」


 まぁ、今のところ毎日行ってるけど。


「本当に連れて行ってくれるの? ミニャに会えるの?」


「会える。けど絶対に約束は守れ」


「約束?」


「そう、約束だ」


 一つ目、俺が居ないときに一人で会いに行かない。

 二つ目、絶対にミニャを王都に入れない。

 三つ目、俺以外の奴にミニャまでの案内を頼まない。


「この三つのことを絶対に破らないって約束できるなら俺が会わせてあげるよ」


「……分かった! 絶対に守るよ!」


「ん、良い子だ」


 真剣な表情で頷くミナの頭にできるだけ優しく手をのせる。

 まぁ、こんなものだろう。

 これで無茶をすることはない……と思いたい。

 できることはしたはずなんだけど……


「クウゥン」


「ん?」


 声のした方を向くとミニャがいた。

 両足を前に出して後足を折り畳み頭を垂れたミニャがいた。

 その様子はまるで……


「土下座……?」


 もう、驚くまいと思っていたがこれは……

 人間より人間臭いのではないだろうか……?


「レイ……」


「……何? アキ君?」


「グレンにさ」


「うん」


「こいつらの群れには絶対に手を出すなって言っておいて……」


「……うん」


 人間の言葉を理解(多分だけど)してまるで人間のような行動をとる魔獣。

 こんな奴が率いる群れに手を出せば最悪誰か殺されてしまうかもしれない。

 そんなことは絶対に避けないと……


「はぁ……とりあえずこれに血印でもサインでもいいから依頼達成の証明になるものを頼む」


 ……こうしてEランクに昇格してはじめての依頼はEクラスの依頼にしては多めの銀貨一枚と200ポイント、そして統率がとれた魔獣の群れがあるという勘弁してほしいけど知らないとまずい情報を与えたのだった。



アキ・シンドウ

Lv.10

Next.300exp

ランク:E

Next.2800p

HP.3270/3270  MP.1590/1590

魔法

火属性

【ファイアアロー】MP.5

【ファイアボール】MP.25

水属性

【ウォーターボール】MP.5

風属性

【ウィンドカッター】MP.5

土属性

【ウォール】MP.5

【サンドウォール】MP.25

【サンドチェーン】MP.25

雷属性

【ショックボルト】MP.5

光属性

【ライト】MP.10

【ヒール】MP.50

【リトルリペア】MP.50

【パワーライズ】MP.50

【スピードライズ】MP.50

【ガードライズ】MP.50

【ハイヒール】MP.100

闇属性

【ダーク】MP.10

?

【?????】MP.?

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