先が見える(第2版)
高校に入学してから2~3か月くらいたった頃のこと。同じクラスになった違う中学出身者のカワイイ女子から、昼休みにあることを頼まれた。
「アイツへの伝言をしてくれない」
やはり違う中学出身の髪型が不良カットの男のことを指さしている。ご存じのとおり高校の生徒は、いくつかの中学からの出身者から成り立っている。最初の頃は同じ中学校の出身者以外はヨソ者認定をして簡単に声をかける訳にいかない。
「あの男に同じ中学でもないオレがなんで話しかけないといけないんだよ?」
「まあ、人助けとでも思ってさ。お願いだから」
その女子の頼み言葉には悪びれもない。オレは半分断るつもりで冗談交じりの交換条件を持ち出した。
「じゃあ、今日学校が終わったらオレと一緒に帰る、っていうことならOKするよ」
「な~んだ、そんなことでいいんだ」
その女子は拍子抜けした顔をした。
「それはわかったけど、まずワタシのお願いをしてくれてからね。 …でも、今日は一緒に帰るの無理かも知れない」
その女子は少し考えてから返事をするとオレに伝言を覚えさせた。
「…簡単でしょ? 今からすぐに伝言して来てね! じゃあ、ちょっと用事があるから行ってくる」
そう言うと教室から廊下へ向かって出て行った。
あの女子が放課後にオレの席のところにやって来た。
「伝言をアイツに話したら何って言っていた?」
「君からの伝言、って伝えたら喜んでいたけど、話の内容を伝えたら『なんで俺が帰り道の指図されるんだ』ってキレられて参った」
「ワタシの方も同じだった。B組の子は『今日は初めての部活だから絶対出る』って。せっかくワザワザ教えてあげているのにね… あっ、ちょっとゴメン」
その女子はチラッとスマホを見て時間を確認したようだった。
ワァー ワァー ワァー
その時、下校する生徒達や校庭を行き来する部活の生徒達をかき分けるように、大声を出しながら多くの生徒たちが塊となって逆流してきた。
パニックになった同じクラスの生徒の一人がオレたちのいる教室へ飛び込んで来て、興奮しながら叫んだ。
「踏切で前を走っていた子を追いかけて、B組の1年生の女子が下りている遮断機をくぐって線路に入って電車に… なんでも今日初めてクラブに参加したらしいんだ…」
カンカンカン
オレは呆然としてしまい、頭の中には踏切の音が鳴り響いていた。
教室で叫ぶ生徒の話は続く。
「その時に遮断機の前で待っていたこのクラスの不良カット頭のヤツ、アイツの髪の上にそのB組の女子の肩の肉が飛んできて乗っかったんだって…」
「やっぱり今日はキミと一緒に帰ることはできないみたいね」
「こっちも… ちょっと無理だわ…」
オレもその女子のコトバに即答した。
今回のコンテストを通じて私の応募作品をお読みいただき、どうもありがとうございました。
投稿締め切りの時間ギリギリまで入力していたので、見直し部分の入力の追加・校正をして第2版としました。
なお、アクシデントに巻き込まれた不良は、丸坊主にして翌日登校してきた、との話を聞きました。




