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好きな人からの告白。そして失恋

怒鳴り声。皿の割れる音。

悲鳴と鈍い音。


それが普通。


「好きです! 良ければ僕と付き合ってください!」

あっ。これ一応言っておくけど隣にいる舞香に対して向けられた言葉ね。これが私に向けての言葉と気持ちだったらなー。


「相沢くん……。ごめんなさいっ! でも、お友達として仲良くしてくれたらうれしい……」

どんまい相沢くん。私は好きだよ。私だったらOKだよ!



はぁ。なんで好きな人が自分とは違う人に告白するのを見なきゃならんのか……。

舞香も舞香だ。毎回告白で呼び出される度に私に「一人じゃ嫌だから一緒に来て!」だもん。


まあ別に最初の内は女子としては人の恋バナ(おもしろい事)は嫌いではないし、一人で心細い気持ちも分からんでもないから同行していたら……だ。ねえ。入学して四か月で八人目って!

どんだけ告白されればいいんだ舞香は。

たまには私にも告白する奴が表れてもよさそうなもんじゃない?


「おう……。浅野……。俺も変わらず仲良くしてくれたらうれしいよ……」

あーあ。可哀そうに相沢くん若干涙目だよ……。



「はい! これからもお友達で仲良くしましょ! 約束ですよ!」

そう言いながら、少し相沢くんに近寄り小指を差し出す。


「ん……?」

相沢くんは少し戸惑いながら舞香を真似て小指を出した。


「ゆーびきりげんまん。嘘ついたらはーりせんぼんのーます! 指切った!」

そう言うと舞香はえへへ……と、少し照れながら「今度の野球の試合の応援行くからねー」と小さな子供が友達にさよならの挨拶をするように手を振りながら声をかけた。

手を振り終わると私の方に向き直りこちらへ駆け寄ってくる。


「ねー。相沢くんに告白されちゃったー」

と少し顔を赤らめながら私に報告してくる。聞こえてるっーの。

 たぶん誰かほかの人がこの舞香のセリフと言葉だけみると相沢くんの勇気を振り絞った告白は成功に終わったのだと思うだろうがそうではない。

 失恋したのだ。相沢くんは(ついでに私も)。




一応言っておくと舞香は悪気はない。

もう一つ言っておくと馬鹿なのだ。舞香は。学力的にも馬鹿だが、人間的にも馬鹿。適した言葉で表すのは難しいが、天然キャラという所で表すのが適切だろうか……。

そんな天然さにあきれる時も多々あるが、私たちは友達だ。


「そーかそーか、舞香も罪な女よのー。野球部期待の新人。そして坊主頭なのに謎のイケメン。坊主王子こと相沢くんを振るとねー」

駆け寄ってきた舞香の頭をわしゃわしゃと撫でる。


「イケメンだよねーー! あの坊主頭の手触りはもう病みつきだよ! 相沢くんの頭触ってジョリジョリってなるの私好きなのー!!」

舞香が触っている時に「ねーねー。まーちゃん! 相沢くんの頭ジョっりジョりだよ! まーちゃんも触ってみなよ!」と言われ、一度だけ触らせてもらった事があるがあれは確かに癖になる人は癖になるのかもしれない。


「なんかお父さんの髭剃ってないときみたいだよねーアレ。舞香は相沢くんの頭好きだもんなー」

わしゃわしゃしながら何も考えず適当に答える。


「んー。わかんないや。私お父さんの髭ジョリジョリしたことないしー」

そう言いながらわしゃわしゃに対して必死に抵抗してくる。わしゃわしゃ戦争勃発。もちろん戦勝国は私。髪をぼさぼさにして、その後こちょこちょまでしてやった。


「また……負けた」

先ほどまでの照れて赤くなった顔から、こちょこちょによって笑い、苦しそうに頬を上気させている様へと一変させた。


「んふふー。舞香はかわいいーのー」

そういいながらギュっとする。ささやかな意趣返しくらい許してほしい。


「はっ!? そうだ! わかったよまーちゃん!」

私の腕の中でいきなり大きな声をあげる!


「な、なにが! 今日の数学の宿題でも分かったの!?」

ちなみに私は分からなかったので、舞香にわかるはずがないと思う。仮に分かったのだとしたら、「こちょこちょ」もしくは、「わしゃわしゃ」のどちらかに脳細胞を活性化させる機能があるはずだ。



「イノシシだ!」

「へ……?」

ほんとに何が?


「この前初めて動物園行ったんだけどね」

ほうほう。はじめていったんだー。

「なんか動物のおさわりショーみたいのやっててね」

あー。あるある。ちびっ子と動物が触れ合えるようなかんじのなー。

「イノシシの赤ちゃんがいてね」

うりぼーはくっそかわいいよねー。

「その毛の手触りが相沢くんの頭に似てた!」



 ……もう一度言うけど、悪気はないんだよ? この子。


 フられた上にうりぼーの毛と似てるって言われる相沢くん……。ホントドンマイ!



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