第七話 道化師と私
side:水樹
しばらくサーカスを見ていた私、天宮水樹。
いやぁ、ほんとにすごいね!
私だったら…やばいかもなぁ。 (白目)色んな意味で。
そして、サーカスが一段落つき、休憩タイムへ。
「葵羽、私、トイレ行ってくるね」
「うん、いってらっしゃい」
にこっと笑って手を振る葵羽。
レンくんはちょっとおつかれですな。
トイレから帰り、また席に着く。
さっきの道化師さんがライター (しかもチャッカマン)を持って舞台裏に…
ん?ライター?
待って待って。ライターを何で舞台裏に持ってくの?
明らかにおかしいし、怪しいよね。
……火事?
私の頭には緊急警報のサイレンが鳴る。
私はそっと立ち、女の人を尾行する。
「…あなた!何し、て、っ!?」
あれ、さっきまであそこにいたのに!
「あら、尾行はもっと、上手くやらないとね?」
いつの間にか背後を取られていたようで首を絞められる。
「がっ…ぁ、っ」
待って、この人の力、尋常じゃない。
強い、私よりも。
「中々しぶといわね、貴方」
この人、ほんとに人間なのか…?
狂ってる…
遂に私の身体にも限界がきたらしい。
いや、だって身体が宙に浮いてるんだもん。
段々と視界が闇に染まっていく。
「……………じゃあ、おやすみなさい。天宮水樹ちゃん」
道化師は水樹を床に寝かせ、そう言う。
その言葉を、水樹が聞くことはなかった。