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BOX・FORCE  作者: hime
第1章 NAMELESS編-序編-
14/82

[第14話:Lantana]

[第14話:Lantana]



ジャッキーが、真剣な表情で話し始めた。


「各部隊の、それぞれの戦闘データを見て、統計的なそれぞれの戦闘パターンを割り出しタ。まずは…"リコリス"かラ。」


「は、はいっ…」


ジャッキーがそう言うと、樫間が返事をした。


「"リコリス"は、やっぱ他の隊に比べて特殊だよネ。基本的に、樫間、白峰、迅雷寺の順番で攻撃する事が多イ。ヒロキ。君のやり方、ボクは好きヨ。隊長自ら率先して攻撃すル。最近の風潮にしては珍しいやり方ダ。ヒロキの力なら、1人で1体消す事も可能なはズ。けど、あえてそこを部下の2人に仕留めさせル。いいんだけどサ。それじゃ2人が成長しなイ。実際、ヒロキがいない時の2人は、無駄な動きが多イ。それは多分、初期戦闘の経験が少ないから、どこから攻めるべきかまだわからないんじゃないカ?」


ジャッキーは、冷静に第1部隊の戦闘パターンを解説した。


「そこで、うちの戦闘隊長、チャンからアドバイスだヨ。正直、ボクは最適な戦術を瞬時に判断する能力は低イ。だからボクは、それに長けているチャンに、戦術の全てを委ねていル。だから、そこんとこ詳しい事はチャンが教えてくれるヨ♪」


ジャッキーは、そう言うと急に笑顔でチャンを見た。

チャンは、少し引き気味な表情を見せて話し始めた。


「…リ、"リコリス"。君らの能力を最大限発揮する為に、フォーメーション"リコリス"を伝授する。」


そう言うと、チャンは鋭い目付きで第1部隊を見た。


「…フォーメーション…"リコリス"…」


チャンの気迫に圧倒されながら、白峰が呟いた。


「君らの場合、接近戦有利な2人が突っ込む方が効率がいい。相手が近距離でも長距離でも、それは言える。樫間。君は銃だろ?中距離、長距離も可能なんだから、それを活かせばいい。君は、隊員の事を1番に思ってるかもしれないが、君の戦術は、自分が1番と思ってるようにしか見えない。仲間を知り、仲間を生かす事が君には必要だ。」


チャンは、真っ直ぐ樫間を見ながら言った。


「…仲間を…知る…」


樫間は、思っても見なかった言葉に、不安な表情を見せた。


「そうだ。そして、BOX・FORCEをもっと知る必要がある。 樫間、お前は何の為に戦う?仲間達は、何の為に戦っている?それが分かれば、お前は今よりも強くなる。」


チャンがそう言うと、樫間は、すこし考えて言った。


「…俺は…もう仲間を傷つけたくない。仲間を、人類を守る為に…」


樫間は白峰を見てそう言った。

続けて何かを言いかけたが、チャンがそれに割り込むように言った。


「そうか。仲間を守る。仲間を守りたければ仲間を知る事だ。仲間を知らずして、生かす事はできない。まあ、それは君らで話せ。…ん、じゃあ次は"リリィ"だ。」


「お、おす。」


チャンがそう言うと、蒼松は何を言われる覚悟をした表情で、反応した。


「…まあ、さすがと言ったところか。各自の状況判断能力と適応力は高い。」


チャンがそう言うと、蒼松は褒められると思ってなかったのか、少し照れた表情を見せた。

が、次のチャンの言葉により、それは一変した。


「それでも、まだ甘いな。蒼松、君の戦術は仲間を庇う事が主になりすぎている。もっと仲間を信じろ。君らは、全員で動く事によって成り立つ。ポジションは今まで通りでいい。しかし、それに拘るな。蒼松、君の武器はそういうもんだろ?ポジションに拘らず、3人で連携して動く事こそ、敵を1番惑わす事ができる。それを生かすんだ。」


「ポジションに拘らず、連携…」


チャンの言葉に、沫梨はそう呟いた。


「…確かに、今までの私たちは、各々の武器に対してどう来るか、冷静に考えれば予想できる戦術だったかも。私たちがそれに拘らなければ、敵に読まれる事もない…相手が人型なら尚更ね。」


咲波は冷静にそう言った。


「後は自分たちでできるはずだ。行き詰まったら言ってくれ。…次は、"ローズ"。」


チャンは第3部隊を見てそう言った。


「「はい。」」


蓮田と菊野が返事をした。獅蘭はどこか不満そうにチャンを見た。


「君たちは…一言で言うなら"自由"。しかし、"リリィ"と一緒だ。獅蘭、菊野の両名が近距離、蓮田が中距離支援。これも読まれやすい。実際、以前の戦闘で蓮田に白峰を守らせ、獅蘭と菊野で戦った。その結果、両名とも負傷。あの時、白峰を守らせた獅蘭の指示は、部隊の垣根を越えてちゃんとその場のメンバーを考えた判断だと思う。しかし、そこまでするなら、樫間と迅雷寺の事ももっと把握する必要がある。」


「…チッ、悪いかよ。…」


チャンの冷静な分析に、獅蘭は舌打ちした。


「別にあれは間違った事じゃない。むしろ当然の事をしたまでだ。あれが彩科院だったら、そこまでしなかったと思う。」


チャンに突然名前を出され、彩科院が反応した。


「なんだと貴様。喧嘩売ってるのか?」


彩科院は、イラつきながらチャンを見た。


「まあいい。それは後で話す。獅蘭、君は状況判断能力と適応能力、そして指示力がかなりある。後は伝え方だ。君は、自分自身の良さに気付いているはずだ。それを、ちゃんと生かせ。君の伝え方は、蓮田と菊野だから分かってもらえていたかもしれない。しかし、これからはそうはいかない。敵があれだけの実力以上、君はこの"BOX・FORCE"全体を有効的に動かす存在であるべきだ。そこを生かせ。」


チャンがそう言うと、獅蘭は褒められたのが意外だったのか、素直に喜べず、少し恥ずかしそうに視線を逸らした。


「さすが、よく見てんすね。俺はそこまで考えられなかった。」


蓮田は、感心したように言った。


「"四神"と我々は、いつか激突する。その時、鍵になるのは、君たち"ローズ"だと俺は思っている。期待してる。」


チャンはそう言うと、第4部隊のいる方を見た。すると、彩科院がチャンに対して詰め寄った。


「貴様、散々偉そうな事を言ってくれたな。我々にも言いたい事があるのだろう?しかし、我々にそれは必要ない。悪いが今は、奴らをいち早く殲滅する為に、奴らを見つけ出し、叩きのめす準備をしなければならない。我々はここで失礼す…」


彩科院は、チャンを睨めつけながらそう言い、退出しようとしたが、矢島がそれを止めた。


「まあまあ、いいじゃないの。それに、彼の言ってることは間違っちゃいない。隊長、俺らに足りないものを知らなきゃ、俺ら強くなれないっすよ?」


矢島は、彩科院の肩に腕を回し、そう言った。

しかし、彩科院はその腕を払い除け、矢島を突き飛ばした。


「ちょ…隊長…!」


桂は、倒れかけた矢島を支え、彩科院に向かって言った。


「我々に足りないもの?そんなの、貴様らが付いてこれていない事だろう?反論してる暇があるなら、もっと強くなれ!我々は、伊達に長くやっているわけじゃない。貴様らが弱いから、いつまで経っても"第4"なんだよ!」


彩科院は、矢島と桂にそう怒鳴りつけ、部屋から出て行った。


「…"ガーベラ"は…言わなくてもいいかもしれないが…あの"傲り"が問題だ。彩科院は、先代からの経験値もある。実際、現状の中では戦闘能力値は飛び抜けてある。それに続いて、あなた達2人も戦闘能力値は高い。しかし、"ガーベラ"の欠点は、あの隊長の絶対支配の状況だ。"四神"は、先代の大戦より遥かに最悪の事態が予想される。彼があのままじゃ…最悪の状況になりかねない…」


チャンは、去って行った彩科院の方を見ながら、そう言った。


「…だよな。俺も、同意見だ。…ってぇ…あの鬼隊長、脳みそがあの時から止まったままだ。あの古い考え方じゃ、これから先の未知の敵に勝てねぇ…」


矢島は、腰を押さえながら、ゆっくり立ち上がり、そう言った。


「ああなってしまったのも、元はと言えば私たちにも責任がある。…先代の菊野隊長の死は、私たち2人が弱かったせいだ。そして、隊長はそれを目の当たりにしている。自分も、菊野隊長と同じ末路になるかもしれないと思ったら、ああなってしまうのも無理はない…」


桂がそう言うと、菊野が近づいて言った。


「…あの…菊野隊長…いや、父の末路って、どう言うことですか…?」


菊野は、不安そうな顔で、2人を見た。


「里海ちゃん…謙、あの事を彼女は知らないのか?」


矢島は、少し焦りながら、桂に聞いた。


「里海くん。お父様…華路(はなみち)さんの事は、いずれ君に全て話すべきだと思っている。しかし、それは今ではない。すまないが、時間をもらえないか…」


桂は、物悲しそうに、そして申し訳なさそうに聞くのに言った。


「わかりました…」


菊野は、少し悲しそうにそう答えた。



『…皆…さん!!…大…変です…!!』


すると、一同のいる特別訓練室に、けたましいサイレン音と共に、ノイズの酷い通信が入った。


「こちら"デイジー"のジャック。ほぼ全員揃っていル。どうしタ!?」


ジャッキーは、落ち着いてその通信に答えた。


『…ほ…ん…本部がっ!!…襲撃…されています…っ!!』


その通信に、一同に緊張が走った。


「どう言う事だ!」


獅蘭は、通信に向かって叫んだ。


『…人…型NAME…LESS…数は…3人…!…現在…とてつもない…銃撃を…受けて…きゃぁっ!』


すると、通信が途絶えた。


「…おいおい、銃撃ってまさか!」


矢島が慌てた表情で言った。


「とにかく!全員、本部へ向かうぞ!」


蒼松は一同にそう叫んだ。




一同が本部に到着すると、そこは悲惨な姿になっていた。

BOX・FORCE本部の存在する、千代田区にあるビルの上階はほぼ壊滅。そして、周辺のビルから多数の火災が発生していた。


BOX・FORCEの本部階辺りの上空に、3人の人影があった。


「…BOX・FORCE。」


そのうちの1人、ウルセウスが一同を見下ろし、そう呟いた。


「おぉ?おぉ?ガン首揃ったんじゃねぇか。あぁん?」


すると、一緒にいたヴァリアルがそう言った。


「…やれやれ。待ちくたびれましたよ。」


2人の間にいる、少し長身の男。左右の髪が黒と白に分かれ、それに交差するように、左右の白と黒の目を光らせたその男が、そう言った。


すると、3人は地上に舞い降りた。


「初めましての方が多いですかね。私は"バキオラ"。以後、お見知り置きを…。」


その男が、そう言いかけた時、3人の人影に複数の銃弾が撃ち込まれ、3人は煙に包まれた。


「…おい、樫間っ!」


チャンは、樫間を見てそう叫んだ。


「水系の"箱装"の方は、消火活動支援っ!それ以外の方は、俺と奴らをっ!」


樫間は、鬼の形相で一同にそう叫んだ。

が、獅蘭がそれを止め、言った。


「…落ち着け紘紀っ!いいか?焦る気持ちは分かるが、焦ってもどうにもならねぇ。」


獅蘭はそう言うと、一同を向いて言った。


「蒼松、咲波、矢島各員は、消火支援!蓮田、菊野、桂各員は、桂さん先導の元、あのガキ、ヴァリアルを。白峰、沫梨両員は、俺とウルセウスを。樫間と支援部隊で、真ん中のやつをやる。いいな!」


獅蘭は、全員を見ながら指示を出した。


「いや待て。ヴァイオレットは桂さんのところ、俺は獅蘭のところにそれぞれ入る。隊長とリズで、樫間と真ん中を。」


チャンは、冷静に指示を修正した。


「…まあ、何でもいい!とにかく、これ以上被害を広げるな!」


「「「了解!!」」」


獅蘭がそう言うと、全員はそれぞれの持ち場に移った。


「…彼、やるネ。さっきのチャンの言葉、少しは彼の後押しになったんじゃなイ?」


ジャッキーは、チャンに耳打ちした。


「…いや、まだだ。本番はこれから…どうなるかによって、彼が対応できるかどうか…」


チャンがそう答えると、2人も散った。



「ふぅん。仲良くヒーローごっこですね。丁度いい。ウルセウス、ヴァリアル。ここで彼らにとどめを刺しましょう。」


バキオラは、不気味な笑みを浮かべ、2人に言った。


「…元よりそのつもりです。」


ウルセウスは答えた。


「へっ!俺が全部殺してやるってんのによぉ?…まあいい。バキオラがそう言うなら、容赦なくいくぜ!」


ヴァリアルは言った。

すると、3人は瞬時に姿を消した。



「逃さねぇっ!」


獅蘭はそう言うと、ウルセウスを追った。

それに続いて、それぞれの相手を追って分散した。




「ほぉ?これはご丁寧に。刀が揃ったんじゃねぇか!」


ヴァリアルは、袖から伸びる刀の刃をチラつかせながら言った。


「これ以上やらせないっ!」


桂は"陽羊刀"を解放し、構えた。



「…今日は殺すよ。」


ウルセウスは、目の前に並ぶ獅蘭とチャンを見て言った。


「…4人で、絶えず攻撃を続ける。常に奴の周囲を囲う。フォーメーション"Yarrow(イャロー)"だ。」


チャンは、冷静にそう言った。


「…てめぇは俺が、殺すっ!」


獅蘭はそう言うと、ウルセウスに突っ込んだ。



「…やだなぁ、そんな怖い顔で見ないでくださいよ。第1部隊"リコリス"隊長の、樫間君。」


バキオラは、樫間をニヤニヤと見つめ、そう言った。


「…てめぇ、よくもっ…!」


樫間は鋭い目つきで、バキオラを睨み、氷龍の鎧を纏った。


「…落ち着ケ。相手の揺動に乗るナ。まずは様子を…」


ジャッキーがそう言いかけると、樫間はそれを無視して飛び出した。


「あーあ。行っちゃったよ。隊長。どーする?」


後ろから、リズが呆れた顔をしてジャッキーに言った。


「…ごめんだけド。リズ、彼をよろしク。」


ジャッキーも呆れてそう言うと、自身の"箱装"を構えた。


「OK。いつも通り後ろ、頼んだよ。」


そう言うと、リズは一瞬にして姿を消した。




本部地下の病室ー


(…あれ…私…運ばれて…。なんか…激しい音が…。)


複数の管が繋がれた状態で、迅雷寺はベッドに寝ていた。

迅雷寺は、ゆっくりと、薄っすら目を開けて、天井を見つめた。


「…あれ…私…。」


迅雷寺がそう呟くと、そばで慌ただしくしていた実村が迅雷寺に気付いた。


「し、しぃ!…よかったぁ…って、それどころじゃない!しぃ、逃げないと!ここは危ない!今輸送車を用意してるからちょっと待ってね!」


実村は、焦りながらそう言った。


「…危ない…危ないって!?…ったい…」


迅雷寺は、慌てる実村を見てハッとした。

起き上がろうとするも、傷のある腹部が痛み、押さえた。


「待って、しぃ。今は無理して動かないで。だいぶ良くなってきてるけど、まだ体は本調子じゃないから!」


実村は、迅雷寺を支えそう言った。


「今、本部がやられたの。それで、樫間さん達が到着して、今戦ってくれてるみたい。とりあえず、今のところ本部部員は負傷者はかなり多いけど、死者は確認されてない。だから、私達も避難しなきゃ…」


実村がそう言うと、迅雷寺は、無理矢理立ち上がり、フラフラしながら言った。


「…私も…行かなきゃ…」


「ダメ!しぃは今、戦うどころか動く事すらやっとなんだよ?今はみんなに任せて、しぃは私達とここから離れなきゃ!」


戦場に向かおうとする迅雷寺を、必死に食い止め、実村は行った。


(かっしー…みんな…)


迅雷寺は、悔しい気持ちを抑え込みながら、実村と後から来た本部部員に抱えられて病室を後にした。




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