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BOX・FORCE  作者: hime
第1章 NAMELESS編-序編-
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[第15話:Aconite]

[第15話:Aconite]




「あれ?この前の女がいねぇなぁ?…もしかして、俺の刀で死んだか?あはははっ!」


ヴァリアルは、目の前に立ち並ぶ、桂、菊野、蓮田、スミレを見渡し、言った。


「…いい、あんた達。悪いけど、指揮は私が取る。これは戦争。戦場経験のある私についてきなさい。」


スミレはそう言うと、両手に持つヌンチャク"猫乃牙(シャークー)"を振り回しながら3人の前に立った。


「…わかりました。スミレさんの指示で動きましょう。」


桂が、蓮田と菊野を見てそう言った。

しかし、そこに菊野の姿はなかった。


「…冗談じゃない。あいつは私が斬り殺す!」


そう言うと、菊野はスミレの横に並び、"犬刺郎(けんしろう)"を構えた。


「おいおいてめぇら。人の話無視するとはいい度胸だなぁ、ああ?」


ヴァリアルはそう言うと、両手に刀を構えた。


「ふーん、女2人がやる気満々じゃねぇか。そんなに俺に斬り殺されたいなら…」


ヴァリアルは、自分を睨んでいるスミレと菊野を見て言った。

そして、そう言うとヴァリアルの姿が消えた。


次の瞬間、ヴァリアルは2本の刀を振りかぶり、スミレと菊野の目の前に現れた。


「八つ裂きにしてぶっ殺してやるよぉぉ!!」


ヴァリアルはそう叫ぶと、2人目掛けて刀を振った。


「…あまり調子に乗るなよ?ガキが。」


スミレは、2本のヌンチャクの鎖部分で、刀を受け止めた。


「…八つ裂きにされんのは、あんただよっ!」


菊野も、自身の刀でヴァリアルの攻撃を防いだ。


「…今っすよ。桂さん」


蓮田はそう言うと、"子華火(ロッタフィーバー)"を手にした。


「…桂流六の舞、"妖倒(ようとう)"っ!」


桂は、そう言うとヴァリアルに向かって突っ込んだ。


「…ったく、甘いんだよ。ザコが。」


そう言うと、ヴァリアルは菊野とスミレの間から斬りかかる桂の攻撃を、しゃがんで避けた。

それと同時にヴァリアルは、無数の刃を菊野とスミレに突き刺した。


「…なっ…!」


菊野とスミレは、その刃を避けられず、2人の身体の至る所に刃が刺さった。

ヴァリアルは空かさず、クルッと向きを変え、桂に向かって突っ込んだ。

菊野とスミレは、そのまま膝から地面に崩れ落ちた。


「…菊野っ!スミレさんっ!」


蓮田は武器をしまい、2人に駆け寄った。


「…眼帯刀男(がんたいかたなおとこ)。テメェもこいつらのようにしてやるよ…」


そう言うと、ヴァリアルは無数の剣撃を桂に放った。

桂は、"陽羊刀"でそれを防ぐので精一杯だ。


「俺たちはテメェらBOX・FORCEみたいなザコじゃねぇんだよぉ!!!」


ヴァリアルは、高笑いしながら攻撃を続けた。


「「…誰がザコですって?」」


すると、ヴァリアルの下の地面から、勢いよく一本の蔦が生えた。

ヴァリアルは攻撃を辞め、上空に飛んでそれを交わす。


「…何っ?」


すると、上空に飛んだヴァリアル目掛けて、二本のヌンチャクが飛んできた。

ヴァリアルは、そのうちの一本を切り落とすも、もう一本を顔面で食らった。


「…菊野!スミレさん!」


桂が叫ぶ先には、2人が並んで立っていた。

彼女らの身体には、刃の傷跡はなかった。


「残念だったな。貴様が突き刺したのは、あの蔦だ。」


スミレは、ヌンチャクの攻撃によって飛ばされたヴァリアルを見て言った。

2人が刺された後には、二本の蔦が残っていた。


「…刺される寸前、蔦を身代わりにしたのか…やるな。2人とも。」


蓮田は安心した表情で、感心した。


「…ってぇなぁ。テメェら。殺すわ。」


ヴァリアルは、頬を押さえながらゆっくり立ち上がると、全身に黒いオーラを纏った。


「…テメェらは、これには勝てねぇ。死んで悔め。"魔装:カール"…」


ヴァリアルがそう呟くと、その体は黒いオーラで包まれた。

すると、右手に大太刀を持ったヴァリアルが現れた。


「…まずはテメェら。女どもからだ。」


そう言うと、ヴァリアルは菊野とスミレに向かって突っ込んだ。


「…ちっ、させるかよ…"蜂火(はちび)"っ!」


蓮田は、2人に突っ込むヴァリアルに向けて、無数の花火を投げ込んだ。

その花火は、まっすぐヴァリアルに飛び、爆発した。


「…ちょこまかと邪魔くせぇんだよお前。」


そう言うと、爆風から無傷のヴァリアルが現れた。


「…あぁあ。めんどくせぇ。全員まとめてぶっ殺す。」


ヴァリアルはそう呟くと、方向を変え、蓮田に向かって突っ込んだ。


「…"蜂火"っ!」


蓮田は、向かい来るヴァリアルに向けて花火を投げ込むも、ヴァリアルは止まることなく突っ込んだ。


「「…させないっ!」」


スミレと菊野は、蓮田の前に現れ、武器を構えて防ぐ態勢を取った。


「…消えろよ。"ガロー"っ!」


ヴァリアルは、そう言うと右手の大太刀に、黒いオーラを溢れんばかりに纏い、それを思いっきり3人の方向へ撃ち出した。

黒いオーラはたちまち3人に襲いかかった。


「…なっ…」


桂は一歩間に合わず、3人の方を見て立ち尽くした。

攻撃が当たった衝撃で起きた爆風が晴れると、3人は地面に倒れていた。


「大口叩く割には雑魚じゃねぇか。こいつらじゃ話にならねぇ。」


ヴァリアルは倒れる3人を見下ろしてそう呟くと、立ち尽くす桂に鋭い目線を向けた。


「あ?なんだ?怖気付いたか?」


ヴァリアルは嘲笑うように桂に言った。


「…ゅるさない…」


桂は俯いて小さく呟く。


「あぁ?聞こえねぇよ、カスが。」


「私は貴様を許さない。…十三の舞、疾風破神(しっぷうはじん)っ!」


桂はそう言うと、ヴァリアルを睨みつけ、刀に手をかけ突っ込んだ。

ヴァリアルに接近し、桂は刀を抜いた。

すると、無数のかまいたちが発生し、ヴァリアルに襲い掛かる。


「…だから、無駄だっつってんだろ。」


ヴァリアルはそう言うと、襲い掛かるかまいたちに向かって、再び黒いオーラを纏った刀を振るった。


桂のかまいたちと、黒いかまいたちがぶつかり、爆発が起きた。

爆風から、黒いかまいたちだけが、勢い劣らず現れ、桂に襲い掛かる。


「…っつっ。十一の舞、威鬼…(いき…)」


桂は態勢を立て直し、刀を構えるも、背後から恐ろしい程の圧を感じた。


「…"魔装:アーサー。」


そう言いながら、ヴァリアルは桂の背後に現れ、新たな刀を右手に構えた。

その刀を、桂に向けて振るう。


「…十二の舞、離夢遊輪(りむゆうりん)っ…」


桂は咄嗟に振り向き、向かい来るヴァリアルの姿を確認した。

しかし、迫りくる黒いかまいたちと、ヴァリアルに挟まれ、桂は動けない。


(…どうする…。このままでは…)


桂が動揺して立ち尽くすと、不意に通信が入った。


『…桂、攻撃を防げ。ガキは俺がやる。』


その声と共に、ヴァリアルの背後から炎を纏った刀を持って、彩科院が現れた。


「…何っ!?」


桂は、彩科院の姿を確認すると、向きを変え黒いかまいたちに向かった。


「…十の舞、乱覇滅空(らんぱめっくう)…」


桂の刀は緑色のオーラに纏われ、それを迫りくる黒いかまいたちにぶつけた。

攻撃は見事に真っ二つに斬れ、消滅した。


彩科院の振るった刀を、ヴァリアルは間一髪で受け止めた。


「…テメェ…」


ヴァリアルは彩科院を睨みつけた。


「今日という今日は殺すっ!」


彩科院は、ヴァリアルに向けてそう叫ぶと、両足でヴァリアルを蹴り落とした。


「ぐはっ…!」


ヴァリアルは思いっきり地面に叩きつけられた。

彩科院は、空中で態勢を整え、地面に着地する。


「桂っ!攻めるぞ!」


彩科院は桂に向かってそう叫んだ。


「隊長…了解。九の舞、無現(むげん)っ!」


桂は頷くと、ヴァリアルに向けて刀を振るった。

すると、何もない地面から、瞬く間に竜巻が発生した。

それは、ヴァリアルに向かって真っ直ぐ突き進む。


「…くそっ…」


ヴァリアルは、無理矢理起き上がるも、ふらついた。


「…"フレイムホース"」


彩科院も、起き上がるヴァリアルに向かって、刀を振るった。

すると、炎の馬が現れ、素早く真っ直ぐヴァリアルに向かって走った。


ヴァリアルは、2つの攻撃に挟まれ、俯いた。

しかし、次の瞬間顔を上げ、鋭く目を見開いた。


大きな爆発音と共に、彩科院と桂の攻撃はヴァリアルの元に襲い掛かった。


「…勝ったな。」


彩科院は笑みを浮かべ、勝利を確信した。

その瞬間、彩科院の右肩に1本の刀が突き刺さった。


「…な…に…っ」


彩科院は恐る恐る顔を後ろに向けると、そこにはヴァリアルが立っていた。


「…勝利の確信それ即ち"死"だ。甘かったな。クソがっ。」


ヴァリアルはそう言うと、彩科院の右肩に刺さった刀を、勢いよく引き抜いた。

彩科院は、膝から崩れ落ち、地面に倒れた。


「…隊長っ!」


桂が彩科院に向かってそう叫ぶと、桂の左半身に、鋭い斬れ筋が入った。


「…ぐはっ…!」


桂の左目を覆っていた包帯は斬れ、左肩から左足先にかけての斬れ筋から、血が吹き出した。

桂は、仰向けに地面に倒れた。


「…次会う時は、八つ裂きにして、地獄送りにしてやる。」


ヴァリアルは、倒れた桂を見下ろして、そう言った。


すると、ヴァリアルの羽織る黒いローブが、破れ散った。

ヴァリアルの体は、黒く光沢を帯び、まるで全身が刀身のような鋭さを放っていた。


「…俺は''刀神(とうしん)"だ。俺には勝てねぇ。」


そう言うと、ヴァリアルは霧のように姿を消した。




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