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大江山の鬼の魔手  作者: 真言☆☆☆
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女の武器

「酷いのね。女にこんなことするなんて。

でも、こんなに激しくされたのは、貴男が初めてよ。」

何という女だ、あの投げに対しても、しっかりと受け身を

とった上に、この余裕。

しかも、地面の上で、体をくねらせて身をよじり、誘う。

並みの男なら、突進しているであろう。

魅鬼の瞳が、怪しく光り、移香斎の瞳を射た。

「痛いわ、ほら見て。胸がこんなに。」

『 かかった。』

魅鬼は、内心、してやったりと、、胸を覆っていた布の

片方だけを外した。

わざと、片方を残して、見せた片方を手で覆うところが憎い。

 今の世で言う催眠術か、並みの男なら、理性がぶっ飛び、

本能のおもむくまま行動するであろう。

 移香斎も男、心身の自由が奪われた。

 視線をはずそうとしても、はずせない。

 視線が釘付けになったまま、必死に耐えていた。

「何と、精神力の強い男、ならば、こうじゃ。」

 魅鬼の瞳が、極限までに妖しく光り、移香斎の瞳を射抜いた。


「何い、鶴姫ではないか。」

 移香斎は、驚愕した。

 魅鬼の妖術は、己を相手の最愛の女に見せる

恐ろしい催眠効果があった。


 催眠術を、馬鹿にしていけない。

 タマネギ大嫌いの人間に、催眠術をかけて、

これはリンゴだと言い聞かせると、その人間は、見事に、

生のタマネギをリンゴのように丸かじりする。

 周りの者が、それはタマネギだよって教えても、

美味しいリンゴだと言い張る。

 実際、脳波を調べると、美味しいリンゴを食べて

満足している時の状態であることが科学的に証明されている。

 

 今の移香斎には、魅鬼が最愛の鶴姫にしか見えなかった。

 我慢できなくなり、ヨロヨロと近寄る。

「 ほれ、胸がこんなに。」

 魅鬼が、そこで片手を外して、片方の美しい胸を見せた。

 移香斎は、地面に片膝をつき、胸に顔を近づけた。

 魅鬼は、勝利を確信した。

 乳首には一口必殺の毒が塗っていたのである。

 しかし、なぜか、移香斎の動きが止まった。

 毒の匂いを本能で、感じ取っていたのであった。


「はよう、権兵衛様。」

 魅鬼は、これでもかっていうくらいの、艶っぽい声で誘った。

 移香斎の顔が、再び、近づいた。

ギャア~

 悲鳴を上げたのは、魅鬼であった。

 移香斎が、乳房に噛みついたのであった。

 その瞬間、、魅鬼の妖術がとけて、移香斎は心身ともに

自由を取り戻した。


「なぜだ。私の術が効かないんて。」

 流石に乳房に歯型がつくほど噛みつかれて、

魅鬼の表情は険しい。

 逆に、ゾクッとする色気を感じる男もいるであろうが、

移香斎は涼しげに言い放った。

「私の名は、権兵衛ではない。

 本物の鶴姫なら、私の名を知っておるわ。」

 

 実は、魅鬼は受け身を取ったものの、殆ど体が

自由に動かせないダメージを負っていたのであった。

「負けたわ。さあ、好きにしていいわよ。」

 最後まで色気で迫る魅鬼に移香斎は、冷たく言い放った。

「女を斬る刀は、持っておらん。」

「 まあ、お優しいこと。

  でも、ここでやらないと、私はまたあなたの命を

 狙いに行きますわよ。」

 ここまで、脅しに色気がある女は、そうざらにおるまい。

「それは、困る。」

 移香斎は、暫し考えた。

「 それでは、そんな気にならないように、体に言うことを

 聞いてもらおうか。」

 移香斎の手が、魅鬼の体に迫った。


『 死中に活あり。

 まだまだ、女の武器はありますわ。』

 毒蜘蛛のような笑みを浮かべる恐ろしい女であった。


 ところがどっこい。

 移香斎は、手を出すよりも恐ろしい術を使った。

 魅鬼の気道に姦淫と快楽の気を送り込み、

七つのチャクラを刺激したから、たまらない。

 魅鬼は体が異常に敏感になり、今まで感じたことのない

快楽の炎に身も心も飲み込まれ、登りつめてしまった。

 一度登りつめても、快楽が快楽を呼び、簡単に官能の炎は消えない。

 益々激しく燃え上がり、息も絶え絶えになり、幾たびも登りつめて、

とうとう失神してしまったのである。


 移香斎の勝利であった。


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