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向日葵の檻ー死にたい俺が君を探し当てるまでー  作者: みい


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42/42

Epilogue

 御守りを2つ並べるようにリュックへ付けた。

 仲良く手を取るかのように揺れている。


 ずっと一緒だからな……。


 リュックを肩に掛け、俺は最後の目的地へと向かった。


 通りゆく子供たちが元気な声ではしゃいでいる。


 夏休みか……。 

 思い出したのは今日のように蒸し暑かったあの日。

 祐希と食べた棒付きアイス。

 どちらが早く食べきれるかを勝負した。急いで食べていたから、俺は最後の一口を地面へ落としてしまった。結果、祐希の勝ち。悔しがる俺に「蟻さんが喜んでるから、優しい律の勝ちだよ」って慰めてくれたな。


 祐希はそうやっていつも優しさをくれた。

 また笑顔が蘇る。

 前よりもずっと鮮明に見える気がした。

 祐希を"ちゃんと"知れたから。

 不思議と足取りも軽かった。


 真夏の墓参り。

 盆前だから人はごく僅か。

 俺は手桶に水を汲んでから祐希の墓へと向かった。


「あ……」


 水を入れ終えた時、供える花を忘れていたことに気付いた。

 大きな溜め息が溢れる。

 やっぱり俺はダメだな。

 呆れていると、墓前にしゃがみ込む人影が見えた。


「え、律くん……」


 千歳くんは驚いた顔を見せたが、すぐに柔らかな表情へと変わった。


「"今回は"偶然だね」


 笑顔が切なく見える。


「あれから毎日、祐希に会いにここへ来てるんだ。それに、もしかしたら君に会えるかもって」


 少し痩せたように感じた。


「あの、すいません。連絡もせずに、俺……」


 千歳くんはゆっくり首を振り、ふっと笑みを浮かべた。


「これからの事、少しは見えてきた?」


『ツナグ』は事実上辞めている。

 あそこで働く事はもう無理な気がして。

 だからといっていつまでも職無しじゃ、生活出来ないのも分かっている。

 この先をしっかり歩むと決めた。

 だからちゃんと考えなければならない。


「あれ? 御守り2つになってるね」


 千歳くんはゆっくり立ち上がり、並ぶ御守りへと顔を近づけた。


「色褪せてるこっちは祐希のだね。片方は新しく買った、律くんのってとこかな?」


「あ、はい。さっき買ってきたんです」


「ふふ、祐希喜ぶよ」


「あの、この御守りなんですけど……」


 俺は中に入っていた手作りの切符を、千歳くんに見せることにした。


「へぇ……知らなかったな。でも、すごく祐希らしいね」


「はい。俺もそう思います」


 この時の俺は、子供の頃のように柔らかく微笑んだんだと思う。

 千歳くんは嬉しそうに俺の頭を撫でた。


「僕はいつでもあそこに居るから」


 そう言っていつものように手を振って去っていった。

 その細い背中は、あの夜よりも確かに真っすぐ伸びていた。


 なぁ、祐希。


 俺……ここから始めるよ。


 今度は過去を償う為じゃない。


 君がくれた優しさを胸に、生きていく。



 だからそこで




 ちゃんと見ててよ。


『向日葵の檻ー死にたい俺が君を探し当てるまでー』を最後までお読み頂き、本当にありがとうございました。


この作品は私にとって何度も何度も推敲を重ね、大切に育ててきた物語です。

そして、完結まで描き切ることができた初めての作品でもあります。


まだまだ至らない点も多いですが、読んで下さった皆様の心に、ほんの少しでも何かを残せていたなら、これほど嬉しいことはありません。


最後まで見届けて下さり、本当にありがとうございました❀

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― 新着の感想 ―
律くんが向かった先に、今度は偶然に出会えた千歳くん。 これからの律くんがどうなるかが少しわかった気がします。 とてもとても辛くなった時もあって。 すごく怖くなって疑心暗鬼になってしまうこともあって…
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