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紫の百合 〜乙女ゲームの世界に転生して、前世で好きだった人と再び出会いました〜  作者: 冬野月子
エピローグ

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33/33

03

「ああ。よく似合っている」


フランツはリリーの姿を見て頬を緩めた。


白いドレスに裾がたっぷりとある紫色のローブを纏い、ティアラをつけた優美なリリーの姿は、まるで花が咲いたようだった。


「…フランツ様も、素敵です」

金糸で刺繍が施された黒いコートに頸飾を掛けた、正装姿のフランツを見るのは初めてだった。



「緊張しているのか?」

「…こんなに大ごとだとは思わなくて」

「七十年ぶりのヴィオレット家復活だからな、仕方ない」


絶えたはずのヴィオレット皇家の血筋が続いていた。

そのニュースはあっという間に帝国中に広まった。


若き当主となったルーカス・ヴィオレット・シュヴァルツと、その姉である紫の姫・リーリエをお披露目する今夜の祝宴には、帝国中の貴族が集まってくるという。


エバンズ侯爵令嬢としてもまだ社交界デビューしておらず、まして知る者のほとんどいない帝国での公式の席で、緊張するなという方が無理だった。



「リリー。君は今日の主役だ。堂々としているだけでいい」

「…はい……」

緊張した表情のままのリリーの手を握ると、フランツは隣へ腰を下ろした。


「まだ君の心の準備もできていないのに、急がせてしまって悪いと思っている」

「いえそれは…」


「私が留学先から見初めた相手を連れて帰って来たという噂が広まっている。…半分は合っているが、他にも色々と君達の情報が錯綜している。早めに正しておかないとな」


しばらく前から、隣国に留学していた皇太子が帰国しており、それと同じ頃から一人の少女が皇太子宮殿に滞在しているという噂が流れていた。

少女の素性を知る者はいなかったが、伝えられるその美しい容姿と佇まいから様々な憶測が広がっていた。



「———まあ、一番の理由は早くリリーが私のものであると公にしたかったからだが」

そう言ってフランツが握っていたリリーの手の甲に口づけを落とすと、リリーの頬が赤く染まった。


祝宴では、合わせてフランツとリリーの婚約も発表される事になっていた。


正式な結婚までには必要な準備や儀式があり、一年以上掛かるらしい。

それまでの間、リリーはルカと共に元々ヴィオレット家のものであった、今は皇帝家の離宮として使われている宮殿で暮らす事になっていた。



「この先、辛い事もあるだろう。だが私はいつでも君の隣にいる。私が君を護る。———〝小百合〟の分も含めて、君を幸せにする」


「———はい」


「愛している」

フランツを見つめてようやく笑顔を見せ頷いたリリーにもう一度口づけを落とした。






大広間に続く扉の前で、お揃いのローブを纏ったルカが待っていた。


「リリー、緊張してる?」

「ええ…でも、大丈夫よ」


これから先も何が起きるか分からないけれど。

この新しい場所で、大切な人達と共に生きていく事だけは確かなのだ。



「行こう」

「ええ」


顔を見合わせて頷くと、リリーは開かれた扉の向こうへと歩き出した。



おわり


最後までお読み頂き、ありがとうございました。


久しぶりに書いた小説。

最初のプロットからじわじわと話がずれていってしまい、どうなる事かと思いましたが無事に書ききる事ができてほっとしています。


色々大変でしたが、創作するのは楽しいです。

読んで頂いた皆様にも、少しでも面白かったと思って頂けたなら幸いです。


ありがとうございました。

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