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玉座

更新が遅くなって申し訳ありません。

ゆっくりで申し訳ないですが、更新していきます。


「頭を上げろ。」

「はっ。」

答えたのはブレオベリスだ。

俺の目の前には、本来の姿のままのブレオベリスが膝を突いた体勢で礼を取っている。

そして、その後ろにはデーモンロードやガウェイン達、このダンジョン内で生活して居る者達の殆どが勢揃いしている。


ここは玉座の間。

十七階層と十八階層の間に配置された俺の居室だ。

当然、ダミーだがな。

一定の手順を踏まなければ、十九階層へ進む事は叶わず、こちらへ飛ばされる事になる。


ダミーとは言え、ダンジョンマスターの正式な玉座だ。

その名に恥じないだけの、装飾が施されている。

内装は全てガウェインに任せていたが、ワンフロアを全て使い、ダークファンタジーの定番とも言える様な雰囲気を醸し出している。

…………長閑な田園風景なんかじゃなくて良かったよ。


「さて、呼び出した理由は分かっているな?」

「……はっ。」

「正直な所を言うと、俺は罰を思い付かなかったんだ。そもそもが罪を犯した訳では無いし、俺の命令に背いた訳でもなければ、叛意を抱いた訳でも無い。言うなれば忠誠の裏返しだ。それを咎める程に俺は狭量ではない。」

「……。」


「だが、お前の言う通り確かに失態なのだろう。それは事実だ。」

「皆もよく聞け。全ての者は俺も含めて失敗するのだ。そして、それは神ですら例外ではない。今、俺がここに居るのが良い証拠だ。大切なのは、その失敗から何を学び取り、次に生かせるか。それが出来るのであれば、それは失敗ではない。そうは思わないか?」


「それらを踏まえて、ブレオベリスの件を考えてみた。強者としての油断・傲慢が無かったとは言い切れないだろう。未だこの世界においては、我々は新参者だ。他にも我々の様な存在が居ない、と言い切るには些か調査不足だろう。それについては俺にも油断があった。いくら生身ではないとは言え、正体を隠す以上不用意な行動は避けるべきだった。この点については謝罪しよう。」


慌てた様にガウェインが一歩前に進み出て来る。

「あるじが謝罪を口にする必要は御座いません。全てはあるじの御心に沿うように行動するのが我々の役目。ブレオベリスはその点を怠ったのです。その責は取るべきかと。」


「そう。次はそこだ。強者としての驕り、それは皆にもあったんじゃないか?勿論、直接関わったのはブレオベリスだろう。そして、俺だ。だが、皆も少し考えてほしい。外界での責任者はブレオベリスだが、それは外界全てで起こりうる事をブレオベリスだけが(・・・)担う物だったのか?」


「誤解を恐れずに言うなら、このタイミングで良かったとも言えるんだよ。今の様に、殆どの者ははっとした顔をしていたな。それが傲慢であり、油断なんだ。」

「……。」

「先日の会議の時の様に、各々が自分の受け持ちの事だけ報告するのであれば、そんな席は不要だろう。それぞれの立場を超え、如何にこのダンジョンの事を考えるか。俺も含めて、もう一度考え直す必要があると思う。」

「「「「「はっ。」」」」


「そして、ブレオベリス。」

「はっ。」

「今の件とは別に、お前には言っておきたい事がある。先日、俺の前に枷を嵌めた姿で現れたな。あれは、俺に対する侮辱だ。俺はお前を何よりも信頼しているし、お前の事を考えている。その俺の前にあのような姿で現れるなぞ、俺の事をわかっていない証拠でもある。皆にも言っておくぞ。俺は何よりも、全員の事を、そしてダンジョンの事を考えているつもりだ。」


「その姿を見せた事に対しては罰を与える。良いか?」

「はっ。どのような罰であろうとも喜んで受け入れます。」

「良し。では聞け。ブレオベリス、お前はアヴァロン商会をこの大陸随一の商会へと成長させよ。そして、今後は今回の様な甘い事はないと思え。二度と同じ事が無いように、善後策を講じリヴィアス女王を即位させる案を推し進めよ。」

「はっ。必ずや、あるじが満足する結果を御覧にいれます。」

「では、これで今回の件を終了とする。何か不満がある者は居るか?…………、居ないようだな。では、今後とも励む様に。」

一度、ゆっくりと全員の顔を見回してから転移を開始する。


あるじの居なくなった空間に、残っていた者達もそれぞれの持ち場や仕事へと戻って行った。

「女王の件……、報告したのはガウェインか?」

「えぇ。良い考えだと思いましたので、前もってご報告をさせて頂きました。」

「そうか……。礼を言う。」

「礼には及びませんよ。私が何かを言わなくても、我らがあるじは貴方をお許しになられたでしょうから。」


「我の存在ごと消える覚悟は出来ていた……。あっさりと指先一つで消される事を……。なぁ、ガウェインよ……。」

「何でしょう?」

「我らがあるじは……、誠に慈悲深きお方よな……。」

「えぇ。誠に……。」


「さて、これから忙しくなるな。色々と相談したい事や手伝ってもらいたい事もある。ガウェインの考えを聞かせてくれ。」

「喜んで。この形こそがあるじがお求めになっている姿でもありましょうし。」


転移が終わると、自室の床に崩れ落ちていた。

残された者達を見ると、どうにか上手く行った事がわかる。

「はぁ……、何とかなったか……。無理矢理に連帯責任と言う形に持って行って、別の件で罰とも言えない罰で押し切る。誤魔化せてよかった……。」

これが、ただの大学生でしかなかった俺に出来る精一杯だった。


ブレオベリスをただ消すだけでも構わないんだが、あいつの仕事量は膨大だ。

それを他の者に、新たに任せるとなるとリヴィアス王家の事や商会の事など問題が多すぎるからな……。


「こんなの、もう二度としたくない…………。」

そんな呟きがぽつりと漏れた。






読んで頂いてありがとうございます。


感想や意見などすべて読ませて頂いています。

評価なども、大変励みになっており、嬉しく思います。


誤字や脱字・矛盾点などありましたら、教えて頂けるとありがたいです。


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