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商会


残念な美形吸血鬼の事はさて置き、装備品を回収した事に、特に意味はない。

別に惜しい訳でも何でもないのだが、無償で何かやってやるのも気に入らん。

と、言う訳で多少ボッタクリ価格での提供となった訳だ。


正直な所、あの獣人達が裏切らなかったとしても、人族の二人には死んでもらうつもりだった。

栄えある我がダンジョンの一階層の突破者があんなクズってのは我慢ならないし、なにより同じ様に奴隷を使い捨てにして突破するのが普通になられても困るからだ。


一度はあの二人を奴隷に落として、ゴブリン達の下働きとして使ってやろうとかとも思ったが、どうにも不快な事にしかなりそうになかったので、その考えも捨てた。

彼等からすれば、ここで死んだほうが良かったとも言える。

もしも、奴隷にしたとすれば解放するつもりは無い。つまりは、死ぬまでゴブリンに扱き使われるんだ。プライドの高そうな二人には我慢できなかった事だろう。

むしろ、俺は良い事をしたかもしれん。いや、まぁどうでもいいけどな……。



「これはこれは。この様なむさ苦しい所へテミス王女がお出でになるなど、何か問題でも御座いましたか?」

「そ、その様な事を仰らないで下さいませ。我が国にとっては恩人なのですから。」

「軽々にそういった事を言わぬほうがよろしいかと。それに、私はあるじの命令に従ったまで。恩人と言うのであれば、我があるじこそがそれに相応しいかと。」

「勿論その通りですが、ブレオベリス様にも感謝をしているのです。私達の窮地を直接救って下さったのは貴方なのですから。」


「今の私の名前はランスロットです。お間違えの無いようにお願い致します。それに、あの時もあるじの命によりこの辺りを調査していた、言わば偶然の産物です。そこまで恩に感じる必要は御座いませんよ。」

「そうでした。ランスロット様でしたね。しかし、それでも私は……。」


「それよりも、何かあって来られたのでは御座いませんか?それだけの為に来られた訳では無いのでしょう?」

「は、はい。ルドラス皇国よりさらに大量の追加注文が入りました。さらに、ブラント神教国とアルスロー王国から、又問い合わせが来ております。」

「そうですか。注文の方は、後ほど店の者を伺わせます。それから、ルドラス皇国以外からの要請は、前回同様にルドラス皇国へ相談と言う形で、丸投げしてしまいましょう。」

「承知致しました。」


「時に、兵たちの方はどのような感じですか?」

「はい。始めのうちは、パーシヴァル様達の訓練にも付いて行けず、序盤で息も絶え絶えと言った様子だった者が、今では剣を使っての訓練や、模擬戦などに汗を流しております。それにギースも、まるで若返ったかのように、生き生きと若い兵士達に混ざって訓練に精を出しております。」

「それは重畳。どうしてもこの国は、他国に比べて兵の数が少ないですからな。量よりも質で補いましょう。幸い、土地の開拓などは順調に進んでおります。難民などの受け入れなど、積極的に行って行けば人口も増えて行くでしょう。そちらは我々にお任せください。」


「お願い致します。しかし、本当に宜しいのですか?ほとんどがランスロット様やランスロット様のあるじ様の持ち出しでございます。いくら今後の為とは言え、莫大なお金が掛かってしまいます……。」

「気にすることは御座いません。今後の事を考えると、十分過ぎるほど我々にも利益のある話です。我が主人も今は投資の段階だと仰っておいででした。お互いに利益のある話です。十分に利用して頂けば宜しいかと思われます。」

「承知致しました。今後ともよろしくお願い申し上げます。」



テミス王女がブレオベリス(ランスロット)が店主を務める商店を出て行ってから数刻。

リヴィアス王国の王都バアル、繁華街から一本外れた通りに、豪華な店構えの娼館が開店していた。

そこで働く女性達は、全員がタイプは違うが、控えめに言っても美女と言って良い者達ばかりだった。立派な店構えに高級そうな調度品など、一般人には敷居が高そうに感じるが、料金はかなり良心的な設定だった。


その店の名前は『ヴィヴィアン』。

王都で最近名を売り始めた、ランスロットと言う名の男が経営する『アヴァロン商会』の系列店だった。

営業を開始した当初は、敷居の高さから利用客が少ないのではないか?と心配の声も聞こえたが、低料金で数々の美女や美丈夫と遊べる、と言う事で爆発的な人気を博し、今では人気の娘など三か月以上の予約待ちと言う人気店へと急成長した。


店と言う形態を取ってはいるが、ここも立派なダンジョンだ。

内部へ入り込んだ生命体が発する魔力等を吸収し、サキュバスやインキュバスなど、彼らの維持費など自給自足する為の設備だ。


一先ずは、人手不足も解消されて、順調に人間社会へと溶け込む事が出来た。

難民の受け入れ等、まだまだ問題は山積しているが、土台としては十分なのではないだろうか。


次の段階へ進むのもそろそろだろうか?

まだ実験段階なんだけどな……。

危ない事はしたくない。







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