魔の神
俺は魔力装置を見て周りの白マントに聞く。
「これは…なにをするための装置なんだ?」
俺が言葉を発した瞬間、周りの奴らは俺に魔法陣を向ける。なにか飛ばしてくるつもりだろう。
「なに、戦いたいわけじゃない。目的が似ていると思ってな…俺もその魔神?についてなにか教えてくれないか」
白マント達はコソコソと話し合ってなにかを結託したかのように頷く。
すると、真ん中に居た赤い魔法陣を描いた白マントが俺の前へと出てくる。恐らく、リーダー的ななにかだろう。
「失礼。私はレフィアと言う。魔神復活の話を聞きたいか」
相変わらず顔は見せてくれないが、なにかの強い意志は感じる。声色からして女性。
「気になる。聞かせてくれ」
「魔神は…かつて、人間と魔族が起こした終末戦争で起きた時に誕生したものだ。人間の最大勢力の神。アマテラスと、魔族側の魔王…ディアボロスが大技を放った際、魔力同士の衝突で産まれてしまった、意思の無い破壊し尽くすだけの怪物だ」
「ん?人間の最高勢力は概念系の神では無かったのか?」
この世には概念を操る神がたくさんいる。特に、一番強いとされているのが森羅万象の神と全知全能の神だ。この二人がビッグバンを起こし、宇宙を誕生させたとされている。噂程度だし、神話の話だから本当に居るかは知らんけど。
「それは正解であり、不正解でもある。魔王ディアボロスは、概念神に敵わないからアマテラスを取り込んで魔神ディアマテとなり、強制的に戦争を終わらせた…と」
「そんなことはこの世界のどこの伝承にも語り継がれていない。そもそも、魔神ディアマテなんて初めて聞いた」
「それはそうです!だって魔神ディアマテの存在はあくまで創り出した存在!歴史上に残るわけがありません」
なんとなく分かってはいたが、これが宗教というやつか…なんとも面倒くさい。
「存在しないものを作ろうとしてなにをしているんだ…病院行こうか?」
「いえ、存在はしていたはずです。実際、ディアボロスとアマテラスが戦っていた記録自体はあるんですから、不可能では無いはずです。二人の魔力を再現出来れば…」
他人の魔力を再現するだなんて本当は出来ない。それぞれの個に、違う魔力が与えられる。かつてのラグナロク中に戻って、ディアボロスとアマテラスの魔力を手に入れない限りは無理だ。
「再現はどうやって?」
「時間遡行魔法を使います」
時間遡行魔法。俺が一度やろうと思って失敗したやつだ。時間の流れに逆らおうとしたら逆に弾き返された覚えがある。
「無理だな。そんなくだらん野望さっさと捨ててしまえ」
俺がそう言い洞窟を出ようとすると後ろから弾幕が一発飛んでくる。
「撤回しろ。この作戦を外部に漏らすことは許されない」
周りの白マントも再び魔法陣を俺に向ける。
「誰が情報を漏らすって言った。それにこんな話。誰に言ったって信じてもらえねーっつーの。それに、俺は俺だけの力で全てを服従させる…。あっ出来るってんなら、その魔神ディアマテってのも復活させてみろ。ソイツ含めお前ら全員服従させてやる」
白マントは完全に怒ったようで、全員が一斉に俺に向けて、炎魔法を放つ。
「あなたは私達を侮辱しました!必ず!あなたを殺します!先にディアマテがこの世界を支配するということを…」
俺は炎の弾幕を剣だけで全て弾き返す。
「それは楽しみなものだ…」
俺は学園へと空を飛んで戻る。
「すみません。トイレ行ってましたー」
俺は教室へ何気ない顔で戻る。
「あっ!マルスくん…よかった。急に消えたから皆で探そうかと…」
教室には既に模擬戦を終えた生徒達が教室へと戻っていた。
「あっマルス…お前、めちゃくちゃ強えじゃねぇかよ…一部の地域での剣大会で自慢してた俺が馬鹿みたいだったぜ…」
カナリが冷や汗をかいて俺の前に来る。
「そうか?カナリも中々凄いんじゃないか。これからも友達としてよろしく頼む」
いざとなったら切り捨てるか。
「おぉ…よろしく」
レオルはなにかを言いたげに俺を見るが、まぁ別に気にしない。
そんなに、勇者になることが偉いものなのか…俺にはよく分からない。
エクスの辛そうな顔。俺はそんな責任とかっていう重いもんは背負いたくないから、勇者には絶対ならない。それに、勇者になっても服従させることが出来ないからな。
「ねぇねぇ!先生ー!マルスくんと勇者様ってどっちが強いー?」
メノンがレオルに聞く。
「んー。様々な可能性を考えても勇者様の方が百倍は強いかなー」
レオルは俺に張り合うかのように言う。
確かに、俺も絶対に勝てるとは思ってないし、未知数なことはまだある。百倍は誇張しすぎな気がするが。
「出来ないだろうけどいつか勇者様と手合わせしてみたいな」
近頃することになるからな〜勇者。覚えとけよ。
放課後――。
俺は魔王城へ行く。昼は学園。夜は魔王城と決めている。
「どう?サラム」
俺はサナの格好となり、サラムに声をかける。
「とりあえず魔王城周辺に何人か武器を持たせた人間を置いて人間が喧嘩を売っていると思わせてます」
「なるほど…確かにそれなら戦争の火種になりそう」
すると、前からロッドが歩いてくる。
「あっサナじゃ〜ん。どう?二日目の魔王城はぁ〜。結構いい所でしょお〜?」
魔族のくせに相変わらずふわふわとした雰囲気の奴だ。
「実はさぁ〜最近、魔神ディアマテがどうのこうの言ってる人間がたまにここに来てさぁ〜。なんとか宥めてるんだけどぉ…そろそろ面倒くさくなってきたからぁ…どうしようか迷っててぇ」
あの白マントの奴らの事だ。
「その話、良ければ私が解決してもいいですか?ロッドさんの負担は背負わせたく無いんで」
ロッドは黒い目を輝かせる。
「えぇ〜!?いいのぉ〜?じゃあ、サナに頼もうかなぁ〜。サラムはいつも通りぃ。僕の雑用ねぇ」
「えっ…またですかぁ…?」
ロッドはサラムを連れて向こうへと行く。
「んじゃ、よろしくぅ〜」
「あいつら…ここまで来てなにをするつもりだ」
既に、白マント達の計画は進まれつつあるようだった――。




