+1 ドラゴン討伐
さっき、冒険者に登録してきた。
一応、この世界に留まるつもりはなかったけれど、何かの役に立つかと思って。
最初のうちは、ランク最低なので、薬草などを採取しながらのんびり過ごそうと思っていた。そうしたら、普通の人のようになれると信じていた
が、
目の前に出てきたのは、ドラゴン。
そういえば、登録していたときにギルドの外で大勢の人が集まっていたような気がする。
受付の人にも、今は大変だから街の外に出ない方が良いとも言われたが、出現場所が森よりも北の方でかなり離れていたので、大丈夫と言って出てきた。
受付さんは、何も言わなかったから大丈夫なんだろうと思っていたのに、なぜか森の南側に出現。
「おまえも我を討伐しにきた者か。このまま殺られる訳にはいかない。ここで死ねぃ!」
と、ブレスを吐いてきたので、魔法で激風を起こして、そのブレスをほぼ直角に曲げて、逸らしてみた。
「な、なにぃ!」
びっくりしているな。これくらいは、当たり前だろうに。
そのときに、少し漏れてしまったらしい。魔力が。
ドラゴンは、その抑えていた魔力量に気がついたらしく、見ても分るくらい震え始めた。
「ひぃー。殺さないでください。私には、老いた母親と妻に子供がいるんです。」
いきなり、所帯染みた言葉が返ってきた。
こいつも、大変なんだなと思ってしまった。
「こっちは薬草を採りに来ただけだ。ちょっかいを出さなければ何もしなかったのだが。」
「先ほどの無礼は、お詫びします。私に出来ることがあれば何でもしますので、命だけは取らないでください。」
「じゃあ、薬草がほしい。実でも花でも、効能がある植物ならなんでもいい。」
薬草だけという依頼を受けたけれど、これくらいは当たり前かと思って、要求してみた。
「分りました。すぐに取ってきます。」
そう言うと、ドラゴンはあっという間に飛翔していき、あっという間に点になり消えていった。
「はぁ、はぁ、はぁ…。こ、こちら、こちらの方にド、ドラゴンが来なかったか?」
消えてから、そんなに時間が経たずに息も絶え絶えな戦士を始めとする一団が来た。
「いいえ。何かが森の中から飛んでいくのが分ったけれど。」
「そうか、取り逃がしたか。残念だ。」
そういうと、一団は街の方へ去って行った。
一団が去った後、1時間くらいして、さっきのドラゴンが帰ってきた。
ものすごい量の薬草だったので、体内倉庫に収納。
ベルももらった。
このベル。振るとすぐに来るそうだ。このドラゴンが。
どうしても抜けられない場合は、代わりの者が来るそうで、要件を言えば聞いてもらえるとか。何で、そこまでしてくれるのか聞いたところ。
「その魔力量、私など吹けば消えるくらいの量。肉体だけではなく魂すら消すのに、どうして逆らえましょうか。」
「そんなにある?」
「あります。」
ちょっと心外な話。かなり抑えていたのは事実だけれど。
また何かあれば、と言う言葉を残してドラゴンは去って行った。
街に帰り、ギルドに寄って依頼品ともらった葉っぱを1枚試しに出してみたら、世界樹の葉っぱということが分って、ギルド内が騒然とした。
幻の世界樹、蘇生が可能な超貴重な幻の葉っぱだったらしい。
一躍有名な人になってしまった。
普通って、難しい。
...今回の反省
依頼されたことだけをしましょう。
余計なことをすると、有名になってしまいます。
…良くも悪くも、有名になるのは、”普通”ではありません。
+1というのは、第1章のあとに 足した数ということです。
第1章は、普通ではなくなっていく話
第2章は、普通になろうとして失敗する話
になっており、どちらも話数が増えます。
第2章の次は、第1章の最新話という風に。
第3章が出来たら、*3 とかに成るのかも、未定ですが。
(いまのところ予定なし)