第十二話 衝突の音
〜前回のあらすじ〜
バーベキューを抜け出して、どこかへ歩き出す貴子と啓一。思い出の部屋には、かつて自分が愛用していた宅録機材と編集機材が昔のまま眠っていた。
消えない過去。苦しみ。
誰にも言えない本音に啓一は、無責任に慰めることしかできない。
家庭事情をよく知る彼に、貴子は遂に留めていた疑念をぶつける。
険悪になる雰囲気を目撃してしまった菫。
不穏な温度を残したまま、六人の合宿は最終日を迎える。
♫♫♫
強いフィルが、記憶を途切らせる。
最後の曲のサビを、貴子はまっすぐに歌っていた。
——あなたのように 歌いたい
——まだ素直じゃない 私だけど
——ここにいるから ちゃんと見ていてよ
——夏が揺れている
香織と二人で作った言葉を、
貴子は一人で歌い続けている。
サビ終わりの間奏を、南の鍵盤が壮大に彩る。
透き通る空のように。
包み込むそよ風のように。
貴子のストロークが、強まる。
白田のベースと隆志のアルペジオが、その中に溶け込む。
蝉の声と、波の音。
ステージの五人の音は、旧体制での合宿の日々によく似ている。
賑やかで、鮮やかで、少しだけ儚げで。
——彼女の痛烈な叫びに、もっと耳を傾けていれば。
——その後の彼の意図を、受け入れる強さがあれば。
——今でも私は、そこにいられたのだろうか。
客席の香織と菫は、静かに涙を浮かべた。
好恵のシンバルが、力強く響き渡る。
白田のベースラインが、それに答えるようにフロアを駆け回る。
隆志のギターが、大きな風を描いて、リフへと切り替わり空気をふわりと囲んでいく。
貴子と隆志が穏やかな表情で見つめ合う。
その曲は次のBメロへと進んでいく。
ブリッジミュートを刻みながら歌う表情には、
凛とした強さを、ひしひしと感じた。
なのに、消えない何かを押し殺しているような。
そんな目だった。
——それは合宿最終日の面影に、あまりにも似すぎていた。
♫♫♫
窓の外では、波の音が昨日と変わらず穏やかに響いていた。
ダイニングに流れる空気は、冷房のせいか少しだけ冷たい。
「パン焼けたよ〜」
南がトーストを大皿に乗せる声だけが、やたらと軽かった。
何とかこの空気を変えたい——そんな意図も、きっと含まれているのだろう。
隆志と菫は米派で、鯵の開きと味噌汁に箸を伸ばしている。
菫の前には、生野菜をたっぷり盛ったサラダが二皿分並んでいた。
「……菫。大丈夫?」
全員分のお茶とオレンジジュースを運びながら、香織がそっと顔を覗き込む。
「……大丈夫よ。少し目眩がしたから、早めに寝ただけ」
「……なら、いいけど」
香織はそう言って向かいの椅子を引き、クロワッサンへ手を伸ばした。
「貴子も大丈夫?
あの後、はしゃぎすぎて寝ちゃったって、啓一から聞いたけど」
南が何気なく尋ねる。
「……ええ。心配かけたわね」
フルーツを口にしながら、貴子は自然に答える。
そのあと——ほんの一瞬だけ、南と目を合わせた。
短く、確かめるように。
昨夜、啓一にも同じ説明をしておいた。
余計なことは言わなくていい、と。
それでもなお、その視線はどこか張り詰めていて。
——まるで、今この場でも口裏を確かめ合っているようだった。
その微かな違和感を、菫は見逃さなかった。
「……片付けも、全部任せてしまって悪かったわね」
スイカの種をスプーンで避けながら、貴子が笑顔を向ける。
香織と南も、優しく笑い返した。
「いいよいいよ。片付けも楽しかったし」
「家族でバーベキューしたときのこと、覚えてたから、なんとかなったよ〜」
「火を消すのも、案外簡単だったよな」
「隆志は何もやってないでしょ!」
「残り物食べるのも片付けのうちだ!!」
賑やかな声が飛び交う。
——昨夜、何が起きたのかも知らずに。
啓一は気まずそうにスクランブルエッグを口に運びながら、とりあえず相槌だけを打つ。
向かいに座る彼女は、頑なに目を合わせようとしない。
気丈に振る舞う貴子の姿に、啓一は初めて胸の奥が痛むのを感じた。
「今日は最終日ね。みんな、気合い入れていくわよ」
貴子の掛け声が飛ぶ。
その明るさが、かえって痛々しい。
啓一だけは、何も言えなかった。
「隆志、ご飯粒ついてる」
香織が、自分に近い側の口元を指差す。
意識しないようにするみたいに、無言でティッシュを投げるように差し出した。
「ヒューヒュー」
南が茶化す。
貴子は小さく笑った。
菫も、それに合わせるように口元だけを緩める。
啓一もいつもの調子で声を乗せる。
だが、その瞬間——
貴子はふっと笑みを消し、静かに立ち上がり、コーヒーを淹れる。
それだけで、食卓の空気が少し冷えた気がした。
こんなとき、美羽ならなんて声をかけるのだろう。
南と菫の脳裏に、同じ問いが浮かぶ。けれど、その答えを知る者は、ここにはいなかった。
♫♫♫
食器を片付け終えると、六人は地下室へと向かった。
行く直前、貴子だけが昨日の部屋の前で足を止めていた。
閉じられた扉を、ほんの数秒見つめる。
また過去と向き合っていたのだろうか。
その背中を気にしながらも、菫は何も言わず、ゆっくりと歩き出した。
セッティングを終えると、菫のカウントで合わせが始まった。
この空間での、最後の音合わせ。
南はいつもより深く息を吸い、
鍵盤に指を乗せる前に、ほんのわずか目を閉じた。
そのせいだろうか。
最初の和音は、いつも以上に柔らかく、
地下室いっぱいに広がっていく。
そこへ、啓一のベースラインが重なった。
けれど——
どこか、不安定だった。
音は合っている。
なのに、迷いがある。
弦を押さえる指先が、
何かを探るように揺れていた。
続いて、菫のリズム。
キックとリムショットが、静かに空気を刻む。
いつもと変わらず冷静で、
俯瞰したような音。
……のはずだった。
けれど今日は違う。
どこか、無理に平静を装っている。
自分はここにいていいのか、
そんなことを問いかけるような音だった。
貴子が歌い出す。
麗しく、大人びた響き。
それでも、
ほんのわずかに息が震えた。
南の表情が、一瞬だけ曇る。
香織のパートに移る。
いつもより、マイク乗りがいい。
言葉が鮮明に輪郭を持ち、
ひとつひとつが空間へ溶けていく。
隆志のアルペジオも、
最後のこの時間を惜しむように丁寧だった。
何度も調整した透明な音色。
ピッキングの直前、
ほんのわずかに溜めを作る癖まで、
今日はやけに繊細に響く。
けれど——
六人の音は、噛み合わない。
奇妙なほどに、
それぞれが別の方向を向いている。
同じ曲を奏でているはずなのに、
ひとつの色にならない。
この六重奏を、
一言で表せる人間はきっといない。
不意に。
菫のストロークが乱れた。
ほんの一拍。
それだけなのに、
その場の全員が気づいた。
隆志と南が、思わず手を止める。
「……ごめん」
菫は視線を逸らし、
気まずそうに水へ手を伸ばした。
啓一は不満げに舌打ちし、
首にかけたタオルを乱暴に掴む。
「……集中しろよ」
低く漏れたその声に、
空気がさらに張り詰めた。
「まぁまぁ。そういうときもあるよ〜」
南が明るく笑う。
けれど、その陽気ささえ、
今日はどこか不自然だった。
そのあと、
南はさりげなく視線だけを貴子へ向ける。
ほんの一瞬。
けれど、貴子には伝わった。
——音に出てるよ。
——ピッチ、乱れてる。
幼馴染みにだけわかる、無言の合図。
貴子は小さく息を吸い、そっとマイクを握り直した。
「……今のところから、もう一回いこうぜ」
啓一が言った。
了解、と声が返る。
けれど——
貴子と菫だけは、何も言わなかった。
香織が、Aメロ最後の四小節を歌い上げる。
菫のフィルは、
今度こそ綺麗に決まった。
南が滑らかなグリッサンドで空気を押し上げ、そのままBメロへ入る。
隆志のオクターブカッティング。
少しだけ歪みを強めたその音で、
空間の色が変わっていく。
貴子の歌に、
香織のコーラスがそっと輪郭を与える。
菫の規則的なスネアが、
その土台を静かに固めていく。
南の軽やかな右手が、
そこへ淡く景色を描き足した。
完全に噛み合っているわけではない。
それでも——
さっきよりは、ずっと形になっていた。
後半。
啓一のベースラインが重なる。
その瞬間だった。
貴子の声が、
ほんのわずかに揺れた。
——外した。
ピッチが、狂う。
同時に、
ぷつり、と。
隆志の三弦が切れた。
真っ先に、
南と菫が演奏を止める。
「……うわぁマジか。悪い。
すぐ張り替える」
隆志は苦笑しながら、
ギターを膝に置いた。
「じゃあ、その間ちょっと休憩しよっか!」
南が明るく言う。
その声だけが、
やけに浮いて聞こえた。
彼女はそのまま、
そっと貴子を手招く。
鍵盤を一つ鳴らし、
音を確かめる。
「……ちょっと低いよ」
小さく、貴子にだけ聞こえる声。
貴子は黙って頷いた。
「隆志が弦切るって珍しいね」
「正確には、切れた、だ。覚えとけ香織」
「いいから早くやって!」
いつもの軽口。
けれど、
どこか義務のようだった。
今朝から続くこの重苦しさに、
どうにか抗おうとしているみたいに。
南は香織も呼び寄せ、
そのまま小さなボイトレ教室を始める。
穏やかな口調。
それでも、音程にはいつも以上に厳しい。
啓一の胸が、
じわりと締めつけられた。
菫はスティックを握り直した。
一度、深く息を吐く。
落ち着け。
そう言い聞かせるように。
けれど視線の先には、一人で床へ座り込む啓一。
昨夜からずっとそうだ。
何かを抱え込んだまま。
何も説明しないまま。
その姿を見るたびに、胸の奥がざわつく。
昨夜の出来事が蘇る。
閉じられた部屋。
聞こえてしまった言葉。
叔父様。
歌い手。
巻き込む。
許さない。
そして——
啓一の沈黙。
昨日からずっと、何一つ答えていない。
「……あのさ」
気づけば低い声が漏れていた。
「啓一。その態度、なんなの?」
啓一が顔を上げる。
「……お前に関係ねぇだろ」
「そうね。関係ない」
菫は即答した。
「だったら、こういう場まで引きずるのやめてくれる?」
空気が冷える。
「音にまで全部出てるの、わからないわけ?」
「……は?」
啓一の眉が寄る。
「お前だってさっきミスったじゃねぇか」
「そうね」
菫は頷く。
「でも私は誤魔化してないから」
「なんだそれ」
「少なくとも、自分が原因なのに他人に当たったりしてない」
啓一の表情が険しくなる。
けれど菫は止まらない。
止まれなかった。
昨夜から積み重なった違和感が、
少しずつ堤防を削っていく。
「…ねぇ。なんで何も言ってあげないの?」
「……」
「何かあるなら言えばいいじゃん」
「……」
「言えないならせめて普通にして」
「……」
まただ。
昨日も。今も。
ずっとこの有様。
まるで、"自分には話す価値もない"と言われているみたいだった。
菫は唇を噛んだ。
痛いほど強く。
「……ねぇ。聞いていいのかわからないんだけど」
香織が恐る恐る口を開く。
「昨日の夜。やっぱり何かあったんでしょ?」
誰も答えない。
重い沈黙だけが残る。
隆志も、ペグを回しながらその様子を見守っていた。
「……貴子ちゃんたち、朝から全然目を合わせないし」
「……菫も変だし」
「……ゆうかもずっと貴子のこと見てるし」
香織は必死だった。
責めたいわけじゃない。
ただ知りたかった。
みんなでいたいだけだった。
「今日で最後なのに、一番まとまり悪いよ……!」
声が震える。
地下室が静まり返る。
貴子は俯いた。
啓一は何も言わない。
南も黙ったままだ。
その光景を見て、
菫の胸が締め付けられる。
違う。
まとまりが悪いんじゃない。
最初から一つじゃなかったんだ。
昨夜からずっと考えていた。
同じ場所を見ていると思っていた。
同じ音を鳴らしていると思っていた。
でも違った。
貴子と啓一だけが知っていること。
南も何かを隠そうとしていること。
自分たちだけ知らないこと。
仲間だと思っていたのは、
自分だけだったのかもしれない。
その空気を切ったのは隆志だった。
張り替えた弦を軽く弾く。
ピロ、と音が響く。
「……詮索してもしゃあないだろ」
低い声。
「何があったかは知らねぇけど、今やるべきことってこういうことじゃねぇの?」
もう一度弦を鳴らす。
迷いと苛立ちを、そのまま音にしたような響きだった。
けれどそれは、
前へ進め。
そう言っているみたいだった。
「……そうだね」
南が頷く。
香織も小さく息を吐く。
啓一もベースを持ち直す。
貴子も立ち上がる。
だが、ただ一人。
菫だけが動けなかった。
「……うん」
静かな声。
「隆志の言ってることは正しいよ」
全員の視線が集まる。
「だからこそ、私は消化したいの」
「……菫」
「このまま何も知らないまま、何もなかったみたいに続けるなんて無理」
「おい」
隆志の声が低くなる。
「それは今じゃねぇだろ」
「じゃあいつなの?」
菫は笑った。
笑っているのに、
全然笑っていなかった。
「また何も知らされないまま終わればいいの?」
「お前優先順位わかんねぇのかよ!
……大体、それが解決したらお前の音は良くなるのかよ」
隆志が言う。
「お前が一番音に出てるじゃねぇか」
その瞬間。
何かが切れた。
「そうだよ」
菫は即答した。
「出てるよ」
全員が固まる。
「だって傷ついてるから」
地下室が静まる。
「隆志だって、何か知ってるんでしょ!?
ここに来てから、ゆうかとコソコソ話したり、貴子のこと気にしてたりしてたよね?」
震える声。
「…私は仲間だと思ってたよ」
啓一を見る。
貴子を見る。
南を見る。
「でも本当に大事な話は、全部別の場所で進んでた」
誰も言い返せない。
「誰にでも言いたくないことがあるのはわかる」
わかる。
本当にわかる。
けれど。
「それでも、何も知らないまま部外者みたいな態度取られたら、私はどうしたらいいって言うの!?」
菫の眼鏡の下から、静かに涙が零れた。
香織だけは状況を飲み込めず、
落ち着きのない様子で、全員の顔を順番に見つめることしかできなかった。
啓一が顔を上げる。
「……」
「何か言いなよ」
菫が言う。
「……」
「否定するなら否定して」
沈黙。
「違うなら違うって言えばいいでしょ」
それでも。
啓一は何も言わない。
まただ。
昨日も。
今も。
何も答えない。
私だけが知らない。
菫は堪らず、更に声を張り上げた。
「もうなんなのほんとに!!」
「貴子があの歌い手だったことも、
なんで隠してたのかもわからないし——」
しまった。
そう思ったときには遅かった。
口に出してしまったら、
もう止まることはできない。
「叔父様とか、私たちを巻き込むとか——」
違う。
本当に聞きたいのはそんなことじゃない。
「私たちだけ、何も知らないじゃん!!」
「どういうことなのかちゃんと説明してよ!!」
地下室が静まり返る。
誰も動かない。
誰も声を出さない。
その沈黙で初めて、
菫は自分が何を口にしたのか理解した。
とっさに口元を押さえる。
——安心して。誰にも言わない。
昨夜、自分で言ったはずの言葉。
それを、自分の手で壊してしまった。
急に足元から力が抜ける。
視界がぐらりと揺れ、手を離れたスティックが床へ落ちた。
からん、と。
その音だけが、
静まり返った地下室にやけに大きく響いた。
どうすることもできない雰囲気が続いている。
その長い沈黙を破ったのは、貴子だった。
ゆっくりと歩み寄り、菫へ手を差し出す。
「…菫ちゃん。少し話しましょうか」
その差し出された手は、
優しいはずなのに、どこか冷たかった。
顔も青白く、今にも倒れてしまいそうなのに。
なぜだか、逆らってはいけないような圧だけがあった。
菫は恐る恐る、その手を取る。
二人は静かに地下室を後にした。
出る直前。
貴子は南へ、無言で何かを託したようだった。
ドアが閉まる。
重苦しい音が、響き渡った。
残ったのは四人。
啓一は俯いたまま。
頭が追いつかない香織。
何もできない隆志。
何かを託された南は、小さく息を吐いた。
——バンド名通り、水面下で揺らいでいる。
「……え? ごめん。さっきから何の話してるの?」
香織の声が、空虚な地下室に響く。
「あちゃ〜。菫、言っちゃったかぁ」
南は苦笑した。
「……もう、隠しててもしょうがないね」
深く息を吸い、優しく口を開く。
♫♫♫
「…誰にも言わない。昨日そう言ってたのに、どうしてあの場で口にしてしまったのかしら」
「……」
「自分で言った約束ぐらい、ちゃんと守ってほしいのだけれど」
「…ごめん」
長い廊下を歩きながら、貴子は背後に圧をかける。
菫はただその背中を、見つめることしかできなかった。
「…まぁでも、気持ちはわからなくはないわ。
私でも、近しいことを言っていたかもしれないし」
菫は何も言わず、貴子の後を追いかけた。
足音が止まると、中庭に立っていた。
相変わらず眩しい日差しが、視線を眩ませる。
ガラス扉を出たすぐ側の植木に腰を下ろすと、ふわりと柔らかい風が吹き抜けた。
「…子どもの頃、何か嫌なことがあったら
こうして風に当たって空を見上げていたの」
「ここの風、気持ちいいでしょ」
「……そうね」
少しだけ、菫から笑みが溢れる。
「…隠していたことは、本当にごめんなさい。
いつか話さなきゃいけないときが来るとは思ってましたの」
近くの自動販売機で、二人分のジュースを買い、菫に手渡す。
「…こうなるなら、最初から話しておくべきだったわね。
あなたの言う通り、同じグループにいる以上は知る権利はあるわよね」
「……やっぱり私だけが知らなかったんだね」
貴子は少しだけ目を伏せた。
「……香織ちゃんもよ」
「でも、ゆうかと隆志は知ってた」
責める声ではない。
けれど、その事実だけで十分だった。
貴子は空を見上げ、静かにストローを指す。
「…そのときがきたら、二人にもちゃんと打ち明けるつもりでいたんだけれど、まさかこんな形になってしまうなんてね」
貴子は何度か深呼吸をし、グレープジュースで喉を潤わす。
「……あれは、中二の頃だったかしら——」
地下室では、
「……これは、貴子から聞いた話でね——」
中庭では、貴子自身の口から。
場所は違っても、二人は同じ過去を語り始める。
隠し続けてきた、あの日のことを。
ご覧いただきありがとうございます。
序盤に久しぶりにコンテストの時間軸を描写しました。
なんと九話ぶりの現在の時間軸でした笑
さぁさぁ。次回は遂に真相暴露回です。
貴子が一度音楽から離れた理由。
その核心に迫ります。
いつもより、少し長いかも笑
次回もお楽しみに。
夜留タクト




