四話 カフェ店員に忍者みたいなメイドさんがいた件①
異世界美少女達とスローライフ
バッテリー的に生まれ変わったスマホで、パズルゲームやレトロゲームなど、ひとしきりやってゴロゴロして重力を覚える。
買い出しや何か特別な事がない限りは、大抵このような状態になっては、適当に起きて昼間なら朝食と昼食を生成する。
因みに最近ではクロワッサンと目玉焼き、シリアルにブラックコーヒー、そして日替わりにフルーツジャムを少々。
シリアルとジャムは作り置きして、食器は陶器やガラス以外の物を洗い干ししたヤツを、ブラックは水出しのコールドブリュー。
コールドブリューはオススメで、通常なら九十度のお湯で抽出するのを、水でじっくり丸一日かけて抽出している。
だからコーヒー豆含有の甘い水分が、熱いお湯で酸化させることが無い分、ダイレクトに旨味を抽出するからハマっている。
シリアルにフルーツジュースと混ぜた牛乳は、液化した甘酸っぱいフルーツがよく溶けて、シリアルにもよく合って食感も良い。
食器や作り置き以外をセット若しくは一括生成して、意外にも百均グッズも売っていたので、それもフル活用しながら保存室に保管。
こちらの異世界には冷蔵庫といった物が無いのか、在ってもこの街には無いのか、いちばん涼しそうな場所に保管している。
ただし、足が早そうなのでなるべく早く消費、若しくは生成分量をコントロール出来れば、尚のこと申し分は無い。
大分レベルも上がって生成石が不要になってきたが、一部若しくは新規生成物等はまだ生成石が必要となっている。
昼はセットで生成して食しているが、店での担当生成商品の他に、僕とパッフェの期間限定商品を前述の通りトレースしていて、自宅でそれを再現出来るのは素晴らしい。
このお店の商品はトレース後の削除は不可能か、可能であっても消した後に、またトレースし直しするのもどうかと、マーフィンさんには許可を戴いている。
食事も済んでダラダラしてから、適当な時間に『Aille』へ出勤して、いつも通りにパッフェのつまみ食い付きでの生成作業。
ただこの時は何故か判然としないうちから、僕の誰かがいるような気配がして、理由も無しに気になっては気のせいにしている。
いや、やはり何か違和感が在るなと、僕は生成作業を少しずつに割って、その合間だけアンテナを伸ばしてみた。
絶対誰かいるなと憶測が確信に変わって、気配が一番集中しそうな所を、何もしないで集中しながら観ていたい。
「おっふぉ? おーぃぇい?!」
憶測を確信に変えたその人は確かにいて、フワリと音も立てないうちに、ブーツで着地?したその人はメイドさんでした。
その人は僕と目を合わせるとおたおたして、どうしましょどうしましょと、恥ずかしそうにフリフリするのが可愛かった。
青いショートヘアの美人過ぎるその人は、英風本格メイドを完璧に再現しているのか、その割には僕を見た途端に挙動不審になった。
「あっあっ、あのぉぅ……、ひと……み……知り……なん……です……」
その思い切ったカミングアウトは、相当な勇気を必要としているが、僕も似たようなものなのでよく分かるつもりでいる。
それを僕が話すと僕の手を取っては、長身にも鎧袖一触すら許さないその人は、僕を同類と認めて嬉々爛々としていた。
こんなにもスタイルが良くて声も顔つきも綺麗で、それでいて人見知りが強いせいか、某天下一武闘会にも出場出来そうな機動力を誇る。
「あっいや、別に気に触ったとか嫌っているとか、そうゆうのでは無いので、えっと……」
いつも通りに話の内容を話した途端に忘れながら、どうにか空気を壊さないようにと、それでも話は続かないのはいつも通りだった。
先方のメイドさんも気にしていないどころか、良い味方を見つけたと謂う様な調子で、仕事に戻ると謂いながら最早瞬間移動をしている。
僕もマーフィンさんくらいに超絶美人で、気立ても善くて本当は完璧では無かった割に、仕事が早いから何となく羨ましかった。
あれからあの人は僕にだけはニコニコしているが、まだ難易度が高いのか、他の皆様には涼しいお顔を向けている。
また何となく気配がしたから見てみたら、音も気配も無いうちに商品を持ち出しては、お客様にすら気づかれない程の速さで移動していた。
あまりにも気配を消しすぎて、今まで一度も認知されなかったどころか、マーフィンさんにすら忘れられ易い。
目にも止まらない速さで迅速且つ確実に、サーブアンドアウトしながら、鮮やかな動作で気配を消すおねーさん。
それにしても、黙っていればクール系美女のメイドさんは、何一つ何処へも引っ掛けない、なんと見事な体捌きなのだろうか、本当に気配その物が無い。
流石に雇い主のマーフィンさんは知っていそうだが、パッフェなら猫みたいにわかるかぬ、あっ今メイドさんがパッフェにっ。
実は一日一個ずつ持ち込むようにした生成石で、僕が間食用に生成したおやちゅを、ちょっぴりだけ拝借していたと見える。
なんせ早すぎて分からないうちに、頂戴してはパッフェのお口にすかさず入れて、僕やマーフィンさんの知らぬところで餌付けもしていた。
こんな人か従業員にいたのは驚きだが、悪くないどころか共感さえ覚える、有り難くも有意義ながら面白い者を見つけて仕舞った。
毎日日課にしてみてください。




