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日本は全部、日本です。

 アマテラスは、第二日本列島を縦横無尽に走り続けた。すると、マックス・ターンをした場所が隆起して、大噴火をした――



 〝 ゴォゴォゴォゴォゴォゴォゴォゴォ―――――――――――――ッ、ドッカ――――――――――――――――――――ンッ! ″



「お―――っと、マックス・ターンをした場所は、噴火口だったぁ―――――っ! 信じられない事ばかり起こってますっ!」


「もしかしたら、もしかしたら、そうなのかしら? UFOっ!?」


「圧倒的な噴火量ですっ! 溶岩が溢れ出し、川の様に流れております。上空から見えるその光景は、あたかも京都大文字焼を思わせる風情でありますっ!」


「第二日本列島の丁度、真ん中位でしょうか?」


「はぁい。漆黒の闇に、真っ赤な溶岩が幻想的且つ、正に、スぺクタルの様相を呈しておりまぁ――すっ! さて、余談では有りますが、京都の『大文字焼き』は、正式には『京都五山送り火』と呼ばれる、毎年八月十六日二十時に開催されるお盆の伝統行事で、東山の『大』を皮切りに『妙・法』『船形』『左大文字』『鳥居形』が約三十分間、夜空を彩ります。先祖の精霊を送る灯りで、京都の夏を締めくくる一大イベントですっ!」


「夏を先取りする情報を差し込むのが、ナイスですよ!」


「お―――っと、ヘリは一旦、離れないと危険な状況です、それでは、スタジオへお返ししまぁ――すっ!」


「富田さん、有難うございましたぁ。気を付けて取材を続けて下さい。緊急特番で緊急事態になりました。それでは皆さん、さようなら」


 めぐみと七海は、突然の出来事を固唾を飲んで見守っていた――


「終わりかぁ――――いっ!」


「尻切れトンボだお。噴火がハンパじゃないお」


「箱根外輪山的な?」


「ちげーよ。富士山みたいな山が出来るんよ」


「あぁ……神様だけになぁ……」


「なんつーの、能登半島から富士山・箱根舐めの、伊豆半島みたいな?」


「コピペ?」


「つーか、日本って大体そんな感じじゃね? 個人的には、指宿みたいな温泉が良いなぁ……」


「うむ、火山有る所、温泉在りっ!」


「ビーチに温泉。最高だお」


「早く観光旅行が出来る様になると、良いねぇ」


「うん」


 スタジオにて――


「吉岡君っ!」


「はい」


「君ねぇ、勝手に番組を終わられたら困るよ」


「はい。しかし、中継も出来なくなりましたし、この場合、終了する以外に無いと?」


「は――ぁ、これだから女はダメなんだ。君、入社何年目? 数字取れているのに、繋ぐ事くらい出来なくちゃダメだよ」


「しかしですねぇ、セオリー通り……」


「反論は要らない、結果だから。それに、スポンサーが、激おこなんだ」


「いえ、正確な情報を伝えるのが……」


「まぁ、次は無いからね」


「はい……」


 吉岡は、泣く時はトイレだった――


「あ、先輩お疲れ様です」


「本当に疲れたよ」


「泣かないで下さい……」


「泣かないよっ! 何が『スポンサーが激おこだ』よ。 ったく、ライバル会社の社名と車種を連呼するなとか? 中継なんだから、仕方ないでしょ――うにっ!」


「そうですよねぇ……」


「大体、ホンダもケツの穴が小さいって云うか、悔しかったらV―MAX 以上のバイクを作れって云うのっ!」


「いやぁ、でもホンダは、世界的に……」


「あ――――ぁ、スポンサーの肩持つんだぁ? へぇ、世渡りが上手になったのねぇ……あなたっ!」


「先輩……」


「女子アナってのも、因果な商売よね。アナウンスどころか接待ばかりじゃないの」


「山崎アナは、七割が接待だと……」


「可愛い顔してあの子。ヤリ手よね」


「四月からレギュラーが七本。帯が三本ですよぉ」


「はぁ―――ぁ。でも、私。羨ましく無いのよねぇ」


「そうなんですか?」


「私、こう見えて東大出てるでしょう? 論理破綻した馬鹿に相槌を打つの、苦痛なのよ」


「あぁ……」


「この間なんて、有名なインフルエンサーとかいう女が出て来て『人を傷付けるような事を言ってはいけません』なんて、偉そうに、良い人ぶって説教するのよ?」


「はぁ……」


「それで、スタジオのゲストとお客は、一緒になって感動しているのよ? 馬っ鹿じゃないのっ!」


「そんなぁ……」


「あのさぁっ! 傷付くか傷付かないかは、相手の受け止め方であって、何でアンタが決めるのよっ! って、なるでしょう? 相手の気持ちを1㎜も考えられない傲慢な女だって、思うでしょ? それを『素晴らしい御意見ですね』って言うしかない、私が嫌なのよっ!」 


「あぅ……」


「女子アナ。それは、朝から晩まで、公共の電波で、シレっと嘘を垂れ流すお仕事。言っとくけど、私の責任じゃないからね? 国民は分ってる? 視聴者は馬鹿だからどーでも良いの? どうなのよっ!」


「いや、そんなぁ……」


「自己憐憫はビンビンだぜ」


「先輩、そんな事、言わないで下さいよぉ……」


「まぁ、ホンダのバイクも乗ると本当に良いのよ。もう、次元が違うのよ、ホンダだけは。けど、私は、KAWA乗りでしょう?」


「えぇ? そうなんですか?」


「乗り易さって……直ぐに飽きちゃうのよねぇ。ZX命だから」 


「あぁ……」


「まぁ、V-MAXは別格だけどさぁ、ヤマハはさぁ……おしゃれ感を出しているのが鼻に付くのよ。ワイズ・ギャァ―――――――ア! って感じ。プラザの匂い知ってる? 私は、それを纏って走るのよ。ムフフ」


「私はバイクとか、無理なんで……」


「そうなの? 私ね、そっちの界隈では『プラザを着た悪魔』って言われているのよ」


「そうなんですかぁ? でも、先輩、バイクとか、怖くないですか?」


「怖く無いよぉ。気持ち良いんだよぉ! 最高だよ? バイクで走ると、嫌な事、全部忘れるから。私、第二日本列島が解禁になったら、ツーリングに行くんだ」


「うわぁ、良いですねぇ」


「その時は一緒に行く?」


「タンデムで!」


「OK!」



 ―― 三月十四日 赤口 辛未


 喜多美神社は、神聖な空気と静寂に包まれていた――


「めぐみ姐さぁ―――ん!」


「ピースケちゃん、どうかしたの?」


「あの、掃除が終わったら、本殿に来てくれって、伊邪那美様が」


「伊邪那美様が? 何だろう? 嫌な予感がするなぁ……分かった。もう少しで終わるから」



 めぐみは、掃除を終えると竹箒を片付けて、本殿に向かった――











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