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成長素質オール1の雑魚だったが裏スキルのおかげで世界最強  作者: 掘削名人
第二章 冒険者ギルド
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ピンチの後にチャンスあり

天然の薬草採取に向かうために、都市を出たカインだった、

 都市の外に出た俺は、まず周囲を警戒した。今のところはモンスターの姿は確認できない。都市の近くだからだろうか。この辺りは、危険がないと分かった。そうと分かれば、前方に見える森までは問題なく進める。俺はやや足を早めて森へ向かい歩き出した。


 早めに歩いたことにより、15分くらい歩いた程、もう森の入口は目の前というところまで、俺は森に近付くことができた。大分森にまで近付いたのだが、沢山の木々に隠れているために、森の中の様子を確認することができない。つまり。モンスターがどこに隠れていてもおかしくない、という状況なのだ。


 俺は、一旦足を止めた。そして、出来る限り目を凝らして、森の中に、影の動きがないか確認することにした。すると、木々の草がゆらゆらと他方向に動いていることが分かる。これは、風で揺らいでいるわけではない。森の中の獣達が動いている影響で草が揺れているのだ。森の外からでも確認出来たことから、森の中には沢山の獣やモンスターがいることが想像できる。剣と鎧を装備したからといっても、モンスターとの遭遇は命取りになる俺にとっては、この状況では、森に入ることは出来なかった。


 森のモンスターと遭遇せずに天然の薬草を採取する方歩を考えないと、無駄に時間が過ぎていってしまい、一週間後には、依頼の期限が過ぎてしまう。森に入るためには、ある程度のリスクを覚悟しなければならないのだ。だが、無闇に森に入るのでは無謀なこと。ならば、俺がいる周辺で、草の動きがない瞬間を狙って森に入る。この方法でなら、まだなんとかなるのではないか。

 

 作戦が決まった俺は、森に入るためのチャンスを待った。だが、何時間待っても、草の動きが途絶えることはなかった。気が付けば大分日が傾いている。俺は今日はもう、都市に戻ることにした。何故なら、夜になると、森の中にいる獣やモンスター達が、森の外に出てくる可能性があるからだ。明るい今は、森の外で、中の様子を伺いながら待つことが出来ているが、夜になってしまうと、この場所でも、モンスターに教われる可能性があるのだ。そんな危険なこと、出来るはずがない。こうして、俺の冒険者としての初めての出動は、収穫なしに終わってしまった。


 次の日も、その次の日も、同じようなことが続いた。これで、3日間、収穫なし。このままでは、残りの4日も何も出来ずに過ぎてしまうだろう。


 4日目、俺はついに、危険を承知で森に入ることを決心した。剣を構え、周囲を警戒しながら、ゆっくりと前進する。『ガサッ』という音がする度に、その方向を振り向き剣を向ける。何もいなくてホッとする。また、音がした方向を見る、ということを繰り返しながら、確実に森の中を前進していくことが出来ている。

 そして、ようやく、天然の薬草を発見することが出来たのだ。俺は嬉しくなりに夢中で薬草を採取した。ポーション100本分以上に採取することが出来たのだ。これで、依頼を達成することが出来る。初めての依頼達成、これは、今後に向けて大きな自信になる。


 もう、今はこの森に用はない。帰ろうと準備をしていると、妙な視線を感じた。恐る恐るその方向を確認すると、狼のような獣が一頭、俺を見ているのだ。薬草採取に夢中になってしまい、周囲の警戒を怠ったことに、俺は物凄く後悔した。

 

 この狼のような獣。色はやや青色っぽい。これは、間違いない。ブルーウルフというモンスターだ。ブルーウルフの毛皮は質が良く、防寒用の首巻き(マフラー)の素材として適していると聞いたことがある。ブルーウルフの牙は、結構な硬度があるため、ナイフ等の素材になるらしい。討伐ランクはE。ランクHであり、成長素質オール1の俺には、絶対に倒すことができない相手だ。

 普段ブルーウルフは単独で行動することはない。数頭でチームを組み、獲物を刈る時はコンビネーションな攻撃をして仕留める。このため、ランクEに設定されていのだ。

 でも、このブルーウルフは一頭だけ。しかも、良く見ると体のあちこちに傷があるようだ。ひょっとしたら、別の冒険者に討伐され、このブルーウルフだけ逃げて来たのだろうか?このブルーウルフは、こちらを警戒して襲ってくるような気配はない。

 これなら、俺でも倒すことが出来るのではないだろうか?手負いのブルーウルフ一頭だけなら、なんとかなるかもしれない。


 そう思った俺は、剣を構えて、ブルーウルフに少しずつ近付いていった。ブルーウルフは、俺の動きをじっと見つめ、様子を伺っている。お互いの距離が2メートルを切った。俺とブルーウルフの間に、ピリッとした緊張した空気が流れ込んでくる。


 「グルルッ」


 ブルーウルフは、前傾姿勢になった。確実に俺を敵と認識したのだろう。HPが1しかない俺は、相手に先に攻撃されると命取りになる。ここは、先手をとるしかない!


「やあっ!」


 俺は、一気に距離を詰め、ブルーウルフに向かって剣を振り下ろした。しかし、俺の攻撃は、難なくブルーウルフに避けられてしまった。


「くそっ!」


 俺はすぐに、ブルーウルフが避けた方向を見る。ブルーウルフは俺に向かって飛びかかり、大きく口を開けて首元に向かって来た。


ガキーーン!


 俺はとっさに剣を盾にすることで、ブルーウルフの攻撃を防ぐことが出来た。ブルーウルフの攻撃の衝撃は思ったよりも強く、俺は後ろ方向に吹き飛んだ。


「がはっ!」


 すかさず、ブルーウルフは次の攻撃をするために、俺に向かってきた。吹き飛ばされた衝撃で、身動きがとれない俺。まさに絶体絶命な状況だ。ブルーウルフは再びジャンプし、俺の首元に飛びかかってきた!


 ここまでか、と思った次の瞬間、ブルーウルフは右方向に吹き飛んで倒れた。どういうことだ?

 俺はゆっくりと立ち上がり、倒れているブルーウルフに近付いた。なんと、ブルーウルフの首元に、矢が刺さっていたのだ。


「ヒュー、ヒュー。」


 かろうじて生きてはいるが、虫の息のブルーウルフ。


「うあああっ!」


 俺は、最後の力を振り絞り、持っていた剣でブルーウルフの首を刈り、止めをさした。


「はあっ、はあっ。」


 俺は、ブルーウルフが生き耐えたことにより、どっと疲れが出て、その場に座り込んだ。とりあえず、助かった。危うく死ぬところだった。誰かがこの矢をブルーウルフに射ってくれなければ、俺は死んでいたかもしれない。


「おおい、大丈夫かー?」


後方から、声が聞こえてきた。おそらく、この矢を射ったものだろう。


「ああ、大丈夫だ。助かったよ。ありがとう。」


 俺が返事をしながら後ろを振り向くと、そこにいたのは、以前俺に文句を言ってきたあの冒険者だった。


「お、お前は!」


そう言いながら、この冒険者は、俺に近付き、俺の胸ぐらを掴んできた。


「馬鹿野郎が、お前、死にたいのか!なんでこんな無茶したんだ!お前は成長素質オール1なんだろう?モンスターと戦うのは自殺行為だ!」


 この冒険者は、かなり怒っている。言い方はキツいが、俺のことを心配してくれているのだろう。前に言ったキツい言葉も中々筋が通ってくれることを言っていた。悪い奴ではないんだろう。


「おい、何とか言わねーか!」


 いつまでも俺の胸ぐらを離さない。もういいだろう、と思った俺は、この冒険者の腕を掴んで振り払うことにした。

 すると、この冒険者の体はとても軽く、2メートルほど吹き飛んでしまった。


「がはっ。何するんだ、いきなり!ふざけんな。」


 この冒険者は、俺に対してかなり怒っていたが、全く迫力が感じられなかった。それどころか、とても弱々しく見える。それになんだろうか?得体のしれないとてつもない力が、俺の中に感じる。一体、何があったというんだ、この俺に?


「おい、お前!本当に成長素質オール1なのか?とんでもない腕力じゃないか!ランクDのこの俺を軽く吹き飛ばすなんて。どういうことなんだ?」


 驚くのはこっちだ。こんなにも弱々しく見えるのにランクDだと?


 そういえば、ブルーウルフに止めをさしたのは俺だ。その時にレベルが上がったのかもしれない。ということは、レベルが2になったんだ。それなら、今まで分からなかった3つの裏スキルが分かるはずだ。


 俺は、裏スキル『自分自身の裏スキル診断』を使い、残りの3つの裏スキルを確認した。


裏スキル『レベル上限なし』

裏スキル『モンスター撃破時取得経験値100万倍』

レベル2から発動、現在発動済裏スキル

『スキルラーニング(見るだけで、見たスキルを習得可能。裏スキルは、その人物を見るだけで取得可能。ただし、悪影響を与える裏スキルは取得しない。)』


 確認出来た3つの裏スキルは、とんでもないものだった。つまり、今俺がブルーウルフを倒したことにより、普通の人間なら、ブルーウルフ100万頭分の経験値を一気に手にいれたことになる。お陰で、レベルがとんでもなく上がっているんだ。普通の人間のレベルの上限は100だ。だが俺にはレベルの上限はない。ブルーウルフ100万頭分の経験値を得た俺は、レベル100なんて、軽く越えているだろう。

 これだけでも信じられないことだが、これからは、他人のスキルを見ただけで覚えられるばかりか、裏スキルなら、その人を見るだけで取得出来るのだ。

 しかも、モンスターを倒す度に毎回経験値を100万倍取得できる。これからは、際限なく強くなることができるのだ。


「おい、何か言わねーか!」


 冒険者は、ゆっくりと立ち上がり、俺に答えを求めてきた。実際、この人は命の恩人だ。無下に扱うのは良くない。俺は、自分の裏スキルについて教えることにした。


「なんじゃあそりゃあ!そんな裏スキル、反則じゃないか!ふざけんな!卑怯だぞ!」


 卑怯、反則と言われても無理もない。実際、俺だってそう思っているんだ。ちなみに、この冒険者の裏スキルは、『視界良好』だった。『視界良好』の裏スキルを持っているのだから、弓を射つのが得意なのだろう。当然、『視界良好』の裏スキルは取得できた。


「まあ、あんたには感謝している。俺の命の恩人だ。何かの形で恩返しできると、いいなと思っているんだ。」


 俺は、この冒険者に命を救われたばかりか、そのおかげで一気にレベルアップすることができたんだ。何か恩返しがしたいと本気で思ったんだ。


「あ、ああ、そうか。それなら、俺の冒険者ランク上げを手伝ってくれないか?少しの間でいいんだ。せめて、ランクCまででも。」


 冒険者のランクがCになると、ギルドの移籍が可能になる。つまりは、拠点を変えることができるのだ。色々な世界を見て回りたい者にとっては、大きな魅力だ。この事を目的にランクCを目指している冒険者は実際多いのだ。


「それぐらいなら、喜んで協力するよ。」


「ありがてえ。それじゃあ、暫くの間、よろしく頼むよ。俺の名前はアイザックだ。」


「俺はカインだ。よろしく。」


そう言って、俺達は固く、力強い握手を交わした。

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