石板の古代遺跡
3人は、古代遺跡の調査をつづけていく。
俺達3人で、とにかく台座を破壊した。台座が光ることで、石像が出現することを阻止するためだ。全ての台座を破壊するまでに、そうは時間はかからなかったのだが、何度か石の先像が出現してしまった。しかし、石像が動き出す前に破壊することができたから、再び石の怪物と戦うことにはならなかった。全ての台座を壊したことで、神殿のようなフロアは、静寂に包まれた。
「これで、終わったのか?」
「いいえ、アイザック大師匠。まだまだ、下から『強敵察知』の反応が多数あります。」
「はあ、マジかよ。」
アイザックは、石の石像の破壊にて、相当な疲労が溜まったようだ。レオナルドに、『強敵察知』の反応があると言われて、ガックリと肩を落としている。
「なあ、カイン。『鑑定』って、建造物にも出きるのか?」
「なんだよ、アイザック、急にどうした?」
「いや、下にまだまだ『強敵察知』の反応があるって聞いたからな。あとどれくらい進まなければいけないのか、今のうちに知りたくなったんだ。」
なるほど、アイザックの言う通りだ。確かに、終わりが分からないのでは、余計に疲れるし、何より不安だ。少しでも、終わりの形が分かる方が、やる気にも繋がる。
俺は、この古代遺跡に『鑑定』のスキルを使ってみた。
『石板の遺跡 全5階層』
第1階層 石像の間『ガーゴイル』
第2階層 石像の間『リザードマン』
第3階層 石像の間『ケルベロス』
第4階層 挑戦の間
第5階層 石碑の間
なんと、建造物にも『鑑定』のスキルは有効だった。
「アイザック。色々分かったぞ。この古代遺跡は、『石板の遺跡』というらしい。全部で5階層あって、ここは、おそらく1階層。つまり、あと4階層あるらしいんだ。」
「マジかよ。しんどいな。少し、休憩してからにしようぜ。もう、ここは安全だと思うし、急ぐ理由もないだろうから。」
アイザックはそう言って、荷物から簡易ベッドを取り出したかと思うと、直ぐにベッドの上に寝転がった。よほど疲れていたんだろう。
アイザックが休憩を取ったことで、レオナルドもその場に座り、荷物の中から、菓子を取り出し食べ始めた。菓子を食べているレオナルドは、嬉しそうな表情をしている。おいおい、レオナルドよ。遠足じゃないんだぞ。
2人が休んでいる間、俺は、ここまでのことを整理することにした。
まず、この古代遺跡は、何の目的で作られたのだろうか?どうして、湖の底にに眠っていた古代遺跡が、急に地上に姿を表したのか?何度も石像が出現する台座には、何の意味があるのだろうか?どうして石像が動きだすのだろうか?石の怪物は、どうしてこれほどまでに強いのだろうか?この古代遺跡と巨大なアナゴンダには、何か関係があるのか?
整理しようにも、次から次へと分からないことが出てくる。第5階層に行けば、少なくとも、この古代遺跡について、何か分かることがあるかもしれない。
何故なら、第5階層には、石碑があるからだ。その石碑を見れば、何らかの情報を得ることが出来るだろう。
二人の休憩が終わり、調査を再開。この階層の一番奥へと進むと、下へと続く階段を発見した。階段を下りる前に、俺達は一度作戦を練ることにした。
「アイザックは、どうする?第2階層と第3階層は、おそらく、この第1階層と同じ展開になると思うんだ。すでに、動きだしている石像があるだろう。当然、戦えば、スキルの石板が出現するはず。ここで出現した石板のスキルは、どれもこれも強力すぎるものばかりだ。
さっきは、『次元斬』の石板を使わずに破壊したが、スキルの石板が出現すること自体に、何か意味があるのかもしれない。その意味が、第5階層の石碑を見ることで分かるかも知れないんだ。
だから、スキルの石板が出現しても、一旦は壊すことはせずに、石碑の内容を確認してから、どうするか考えようと思うんだ。いいか?」
「うーん。半分賛成で、半分反対かな。興味があるスキルなら、俺はそのスキルの石板を使いたいんだ。それくらいはいいだろう。なんせ、ここの石の怪物は、異様な強さを持っているんだ。それに対抗するには、やはりスキルは必要なんだから。不必要になったスキルの石板の扱いについては、お前の考え通りでいいと思う。」
「なるほど。確かにその通りだな。では、アイザックの言う通りの案で行くとしようか。レオナルドも、それでいいかな?」
「俺は、アイザック大師匠とカイン殿がそうしたいなら、それに従うだけです。」
方針が決まったことで、俺達は第2階層へと降りていった。階段を降りている時、急にレオナルドが質問してきた。
「お二人とも、不思議に思いませんか?」
「なんだよ、レオナルド。もう、作戦は決まったろう?」
「いえ、作戦のことではありません。この古代遺跡なんですが、何故、水浸しになっていないんでしょうか?この古代遺跡が地上に姿を表した時に水が抜けたとしても、この建物の内部は、濡れていた形跡がないものなので。」
レオナルドに言われて、周囲を改めて見直してみると、確かに、濡れていた形跡は全くない。それどころか、壁も階段も、全てが石造りなのだが、どれもこれも乾燥している。これではまるで、フルーメンの湖の底深くに封印されていたとしか思えない。
今回、地上に姿を表したのは、何らかの理由で封印が解けたと、そうとしか考えられないのだ。
そうなると、封印の解かれた原因について、考える必要も出てくる。でも今は、第5階層に行くことだけを考えるとしよう。
第2階層に到着すると、石の怪物が数十体、縦横無尽に動いていたのだが、俺達の姿を確認すると、一斉に襲いかかってきた。アイザックとレオナルドは応戦しようとしたのだが、ここは体力温存をしてもらいたい。
だから俺は、『次元斬』を使用して、一気に全ての石の怪物をバラバラにした。
手応え的には、さっきの第1階層の時よりも、若干強く感じた。おそらく、下へ進むにすれ、徐々に石の怪物達は強くなっていくだろう。
この第2階層も、第1階層と同じく、スキルの石板と、裏スキルの石板が出現した。スキルの石板は、第1階層と同じ物がほとんどだった。だが、有能な裏スキルの石板が出現した。
『成長素質腕力+1』
『成長素質体力+1』
『成長素質速力+1』
『成長素質魔力+1』
『成長素質精神+1』
『成長素質生命力+1』
なんと、成長素質にダイレクトに影響を及ぼす裏スキルだったのだ。しかし、アイザックとレオナルドは、レベル上限である100に到達してしまっている。二人にとっては、何の意味もない。俺には大きな意味があるのだが。
「アイザック、どうする?これ?ひとまず、石碑を見るまでこのままにしておくか?」
「ああ、そうだな。その方がいいだろう。それより、残っている石像が、動きだしたぞ。」
第1階層の怪物と違い、第2階層の怪物は、翼を持っていないため、宙を舞うことはないので、上下の警戒は必要ないが、この石の怪物は、相当な速度の突進力を持っている。さらに、第1階層の怪物よりも、防御力が高いみたいだ。見た目も、爬虫類のような鱗を身に纏っている外見だ。突進する際、大きな口を開けているので、俺達を捕まえ次第、噛み殺すつもりなのだろう。あの牙を見る限り、噛みつかれたら、アイザックとレオナルドは、確実に命を落としてしまうはずだ。
そうはさせまいと、俺は、『次元斬』と『剣の舞い』を同時発動して、台座も含めて、一気に石の怪物をバラバラにした。
やはり、『次元斬』というスキルは、とんでもないスキルだ。目視さえ出来ていれば、確実に斬ることが出来る。距離なんて関係ない。距離が関係ないから、相手は避けることも出来ないのだ。
一気に全ての石の怪物をバラバラにしたことで、俺のレベルはさらに上がり、15万になっていた。しかし、それでも『強敵察知』の反応は消えていない。どういうことなんだ?




