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目指すは、古代遺跡

大河川フルーメンの湖にて、古代遺跡が発見されたらしい。

 ようやく、また、ここに来ることが出来た。俺達は、王城の大会議室にいる。今回は、大河川フルーメンの湖の底から発見された『古代遺跡』についての報告に来たのだ。

 前回と違うことは、俺とアイザックとレオナルドとギルド長の四人に、神官が加わっている。さらに、今、この大会議室には、大臣『ベネット』が同席していた。


「それで、大河川フルーメンの湖の底に、古代遺跡があったと?おかしいな。それなら、何故今までの発見されなかったんだ?」


 大臣は、ギルド長の報告を聞いて直ぐに、悪態をつくように質問してきた。


「それは、巨大なアナゴンダが、湖の底を掘り返したからだと思います。底の土を大量に掘り起こしたことで、埋もれていた古代遺跡が顔を出したのだと思われます。」


 ギルド長は、冷静に回答した。冷静な態度が気に食わなかったのか、大臣は続けざまに質問をした。


「まあ、古代遺跡の発見を報告してくれたことはいいだろう。だが、直径2メートル以上のアナゴンダなど、我は今まで聞いたことがない。そんな嘘みたいな報告を、どう信じろと言うのだ?第一、そんな巨大なアナゴンダがいたのなら、どうして今まで発見されなかったんだ?ギルド長、お前の言うことには、現実味がまるでない。」


 大臣は、古代遺跡のことは信じているが、巨大なアナゴンダのことは、信じてくれそうにもない。ずいぶんと、都合のいい解釈だ。


「それで、ギルド長は、巨大なアナゴンダとやらの報告をする理由は何なんだ?」


「はい。大臣が今言われた通り、現実味のない状況が、ここ最近では色々と起こっているのです。ですから、何故、最近、このような事が起こっているのか、国を挙げて調査する必要があるのでは、と思い、今日報告をしに参ったということでございます。」


「ふーん。」


 大臣は、俺達を何度もチラ見しながら、何かを考えているようだった。


「それで、その巨大なアナゴンダとやらは、そこにいる3人の冒険者が討伐したと言うのか?」


「はい。その通りでございます。」


「ふーん。直径2メートル以上あるアナゴンダを、たった3人で、か。ふーん。」


 大臣の人を小馬鹿にした態度は、見ていて物凄く腹立たしいものだった。そんな状況に我慢ならなかったのか、今まで黙っていた神官が口を開いた。


「大臣様、いい加減にして貰いますか?今、ここに来ている4人は、一週間ほど前にも、巨大なアナゴンダの報告に来たのです。ですが、ここ、王城の職員達は、話その物を聞いてもくれなかったのです。でも、こうやって再び報告に来たのです。それほど、巨大なアナゴンダが急に出現したことは、脅威だと思ってのことなのです。

 今は、誰が偉いのか、誰が誰に対して、どういう態度を取るべきなのか、とか、そういった事は、どうでもいいです。今は、発生した異常事態の原因を突き止め、再発を防止することが優先事項なのではないでしょうか?」


 正論中の正論を聞いた大臣は、神官の迫力に圧倒されたのか、うろたえるだけだった、


「う、うるさい。神官とはいえ、元冒険者風情が、我に口答えをする気か?身の程をわきまえるんだな。」


 うろたえる姿は、とても国の政治を取りまとめているような人物には、全く思えなかった。これでは、何も考えていない子供と同じではないか?こんな人間が大臣を勤めているとは、この国の政治は、どうなっているんだろうか?


「それで、大臣はどうなさるおつもりなのでしょうか?」


「どうするとは、何をかね?」


「全く、今までギルド長の説明を、まともに聞いていなかったのですか?誰が聞いても、巨大なアナゴンダの出現は、異常事態だと分かります。それこそ、幼い子供でさえも。それに、古代遺跡があるところに巨大なアナゴンダが出現した。今回発見された古代遺跡と、巨大なアナゴンダは、何か繋がりがあるかもしれません。

 ということは、一刻も早く古代遺跡を調査する必要があるとは、思えないのですか?」


 完全に、神官のペースだった。やはり、今回神官に同席して貰ったことは正解だった。俺達とギルド長だけでは、また前と同じ繰り返しになるところだった。


「ええい、言わなくても分かるわ、無礼者!直ぐにでも、国の調査団をフルーメンの湖に派遣する。それで、いいだろう!」


 神官のペースに苛立っているのか、精一杯の強気の態度を崩さない大臣。あまりにも愚かとしか、言いようがなかった。


「それで、どのように調査されるおつもりなのでしょうか?今回の古代遺跡は、湖の底なのですよ?」


「それは、調査団が考えることだ!我の知ったところではない!」


「それは、管理者としては、あまりにも無責任ではないですか?良ければ、今回は、神官であるこの私に一任して貰えないでしょうか?見つけた物は、全て大臣にお渡ししますので。さらに、失敗したなら、責任は全てこちらで負います。費用も、私が全て持ちますので。」


「ほう、費用も責任も持つとな?面白いではないか!ダニエルよ!そこまで言うのなら、その成果、待ってみようではないか!」


 神官が費用も責任もを全て持つと言うことに、凄く機嫌が良くなった大臣は、笑いながら大会議室を出ていった。大臣に続いて、王城の職員も出ていった。


 王城の職員がいなくなったことで、ギルド長は、神官に恐る恐る質問した。


「なあ、ダニエルよ。大臣に対してあの態度、大丈夫なのか?」


「問題ないさ。所詮は親の代から続いている、名ばかり大臣なんだ。プライドが高いだけの小さい男なんだ。俺に言い負かされたなんて、恥ずかしくて誰にも言えやしないさ。

 そんなことより、神官として、ギルドに古代遺跡の調査の依頼を出したい。

 出来れば、そこにいるレオナルド、アイザック、カインの3人に調査を依頼したいのだが、いいか?」


 神官の急な提案に、ギルド長は驚いていた。


「え、ええっ?どういうことだ?」


「巨大なアナゴンダと古代遺跡。無関係ではあるまい。もしかしたら、巨大なアナゴンダと同じくらいの強さのモンスターが出現する可能性があるのだ。その時に、対応できるのは、この国には3人以外は考えられない。」


「そういうことか。それならば、3人に調査に行って貰うとしよう。」


 ギルド長と神官が勝手に話を進めてしまい、俺達3人はフルーメンの底へ調査することが決まってしまった。だが、どうしろというのだ?海の底を調査する手段など、俺は知らない。

 アイザックも、どうすればいいか考えているようだ。

 レオナルドは、古代遺跡に行けるとわかった途端に、テンションが上がって喜んでいた。うん。レオナルドはいつも通りだ。


 そもそも、『古代遺跡』とは何なのだ?どうして、『世界の謎』と言われているんだ?俺は、「謎」という部分が、妙に引っ掛かった。


        ◇◇◇◇◇◇◇◇

 調査の依頼を神官から直接受けたことで、一時的ではあるが、俺達は国の調査団という肩書きになった。

 国の調査団になったことで、使える予算が莫大に増えた。その予算を使い、調査団として使えそうな道具を、一気に揃えることができた。

 その道具の中には、俺が初めて見るものがある。


「これは、なんだ?」


 金属製の円柱形の頂上から、ボースが延びており、この先にはフェイスマスクの様なものがついている。また、変わった感触の上下一体型の衣装があった。

 アイザックも、レオナルドも、それらが何なのか、全く分からないという感じだ。アイザックにも分からないのであれば、俺に分かるはずがない。


「お前達3人には、これらを使って古代遺跡の調査をして貰いたい。」


 神官は、2つの道具について、説明を始めた。


「これは、酸素ボンベとウェットスーツという物だ。酸素ボンベは、水中でも息をすることが出来る便利な物だ。スウェットスーツは、水をほぼ100%弾くため、身体が濡れず、長時間水中にいても、体温が低下しない。」


 道具の説明を聞いて、俺達は驚愕した。こんな物があったら、王城の周りの堀が、防御の意味をなさなくなってしまう。堀があることで、城へ入る方向が限定されていたのだが、こんなものが出てきてしまうと、堀の何処からでも城への侵入が可能になってしまう。

 そんな物騒な代物を、神官が持っているということが、なお驚きだ。


 ただ、今回は、湖の底にある古代遺跡へ入るためには、必要不可欠な物だ。細かいことは考えず、利用できるものは、利用させて貰うとしよう。

 準備ができたことで、俺達は3人で、大河川フルーメンへと出発した。目指すは、『世界の謎』とされている『古代遺跡』だ。

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