女子会
第22章
その宿は立派な建物だが、ミートスの、現代版ホテル形式の別荘とは比べられないほどの。不便さがあり、毎日、屋敷の家族風呂に入っているアリエルには少し辛そうだ。
「あの入浴方法は我が家の特別だから仕方がないね。でも、このバスタブに、ボディシャンプーを少し入れて泡勢いよくお湯を入れる。しばらくすると泡が湯舟いっぱいになる。そこに、香りのコロンを足すと素敵でしょ!」
「素敵!いい考え!やってみる」
「本当はバラの花びらとか浮かせると、とってもいいよ。私たちのバラは嘘つかない・・!!」
「うん!」
トントン、バッサムがノックする。
「失礼します。この宿で知り合いに会いまして、夕食を一緒に取ることになりました。皆様には、なるべくならお部屋で食事をお願いしたいのですが・・いかがでしょうか?ご領主様が亡くなったばかりなので・・王都では貴族に会われるのを避けた方がいいと思いまして」
「いいわよ。ルームサービスもいらない、キッチンもあるので、こちらはどうにでもなります」
「あまり飲み過ぎないでね。明日はまた5時に出発しますので・・・」
「わかりました」
「ミートス様、お茶です。時間が早いのでお菓子を召し上がりますか?」
「ルシア、ここでは、ミートスでいいわよ。今日は3人でこの部屋を使うから、たくさんおしゃべりして、領主様をしのびましょう。あなたたちは、お腹が空いていたらなにか先に食べてください」
「もう、その様に呼ぶことはありません。今の生活が幸せ過ぎて・・・ずっとミートス様のそばで暮らせたら、それで充分です。テーブルの上にお茶とお菓子をお出しします」
「----では、今日はこのテーブルで一緒に3人で食事をして、眠くなったら、そのまま眠る」
「いいね、婚期を過ぎた3人のお食事会」
「女子会って、言います」
「いいね、でも、まずはご領主様のご冥福をお祈りして、食事を始めましょう」
「そうね、でもお茶ではなく、今日はご領主様の為にお酒にしましょうよ。献杯、ご領主様に感謝して‥」
「あなた・・お酒・・持ってきたの?」(アル中‥)
「アリエル、お酒好きにも程があるわよ。結婚もしない、本当に親不孝。そのために屋敷に避難して、3年も過ぎて、ご両親に申し訳ないわ」
「でも、考えてみてよ。私より稼いで、ミートスのように許容範囲が広い人いるかしら・・??それなら、ルシアはどうなの?大体、ルシアは何歳??なの?」
「24です」
「いや・・・・同じ年・・24歳はもう再婚相手を探している人くらいしかいないって、うちの親が言ってたよ。なんで、結婚しなかったの?」
「結婚とかは考えられません。もしも、ミートス様の近くを離れて生きるのなら、その方が怖い・・・」
「ーーー私の父親のせいなの・・・暴力を小さい時から体験したから・・私たちの今の部屋も、前の家の部屋もドアに見せかけてある布一枚で繋がっている。それは子供の時の知恵で、ドアを閉めると音が漏れる。だからクローゼットの扉を布にして一瞬で隠れるようにしていた・・声を殺して、唾も飲み込まないように存在を殺して、そうやって生きて来たから、だから、本当に、ルシアを大切にしてくれる人ができるまでは一緒に生きて行こうって、ルシアに誓った」
「二人でおばあさんになるのもありだから・・でも、アリエルは、素敵なご両親のもとで過ごして家庭に憧れはないの?」
「憧れって・・うーーそうね。ロケッサとアムミツのような子供がいるのは憧れる。でも、あの二人のような子供って・・・私に授かる気がしないよ、体系は崩れるし、お肌はどうなるの??いやーーー無理だわ。でも、サリー様は父親からは妊娠するために側室に送りこまれたって、それを聞いたらなんだかかわいそうだった・・・。それから自分の両親は、結婚を、強制しないから、少し優しくした」
「それって、ある意味、虐待に近いよね・・」
「でも、ご領主様は全然相手にしてくれなくって、あの手この手で誘ってもダメだったらしいよ」
「それは、辛いね。ご領主様は根本的に子供が欲しくなかったから、あの双子は奇跡だって、言っていたわ」
「でも、そんな妊娠のために貴族を側室に送る両親って、どんなご両親なのかしらね?」
「ミートスは、世間に疎すぎる。・・サリー様は北の宰相の5番目だよ」
「そんなに凄い人のお嬢様なの?それなのに側室って・・うーーーわからない」
「それだけご領主様の遺伝子が欲しかったのでしょう。でも、ご領主様は、貴族大学校で、奥様と学生結婚して、すぐにフリル様が生まれて、幸せに暮らしていて、奥様がご病気でもう出産できなくても仲良く暮らしていたらしいよ」
「しかし・・国益にかかわるとか言って、宰相の命令でサリー様を側室にして、王都に滞在させられて・・二人ともベットを共にしないはずだよ」
「共にしてないの・・?」
「酔った時にサリー様が言っていた。一生、処女だわ!」 (あ、あ・・サリー様にもお酒を・・)
「でも、よくご領主様、了承した・・」
「なんだか奥様の実家に問題があったらしく・・そこを宰相が突いたらしい。それだけではなく・・サリー様も、本当にご領主様を好きだったって、でも、素直になれず意地悪とか・・嫌がらせとかして、気を引きたくて・・って、泣きながら飲んで、飲んで、泣いて・・それから、泥パックして、可愛い人だった。だから、しばらく、素直なフリルを貸してあげて、大切にすると思うよ。フリルは誰からも好かれるから・・」
「そんな・・・・再婚とかあるじゃない・・・?まだ、お若いし・・お綺麗で・・」
「ミートス様、寡婦は再婚できない法律、知らないの?」
「そんな、法律あり?だって寡婦って、側室や3側室も寡婦なの?」
「あなた未亡人の称号受け取っていたでしょう!!」
「寡婦よ、寡婦!」
「寡婦って、なにそれ!!税が安くなるの?」
「あなた!税は取っている方・・・安くなるとか、ないよ。何を考えているの・・もう!!」
「そんな・・一生・・・・わ・た・し・・・」
それから、飲んで、泣いて・・歌って、マッサージ、また、飲んで、ミートスとアリエルは、ベットに倒れこみ眠った。
しかし、しばらくするとなんと、スライム携帯が鳴った!
「ミートス、フリルから電話・・ミートス・・るるるるる・・」
ルシアは飛び上がり‥(どうしよう・・どうしよう・・)
「はい、こちらは・・ミートス様の部屋です。フリル様・・」
「あっ!本当に電話できたね。ルシア、ミートス様は・・??」
「ミートス様は今、お疲れになって横になっておられます。何かご伝言があれば承ります」
「そう、無事に着いたと伝えて、ねえ、その部屋どこ?後ろの風景が見慣れないけど・・」
「はい、今は王都に向かう手前の宿にいます。ミートス様とアリエル様はお疲れで・・」
「やはり・・来ると思っていたけど・・思っていたよりは早く出発したね。ありがとう。ミートス様に伝えて、夜9時にはいつも自室にもどるようにするので、9時以降に電話しましょう。って、お願いね」
「はい、かしこまりました」
まだ早い夜、静かな寝息のする部屋で・・・
「ミートス、風邪ひきますよ・・・」ルシアが呟く・・・
ミートスは半分目を開けて、
「ルシア一緒にねよう!眠って忘れる・・・眠って・・一緒に・・生きて・・・グーーーー」
ーーールシアは唇を噛み微笑み、そして涙ぐむ・・・「ミートス・・・生きようね」
一方、宿のレストランでは・・・ただならぬ雰囲気の男性が二人・・・
「あなた、3皇子の側近・・・3皇子はパレス領主様の代わりに前線に立たれる、このような場所でお会いするのには・・・」




