旅は思いのほか大変です。
第21章
「仕えるって、家令は領主の代行も行えるほどの地位なに・・・」
「ロケッサ様は優秀でありますが、ご年齢が低く、ロケッサ様が成人なされた時に一緒に歩ける家令が、必要になります。私とパレス領主のように信用し合える家令が必要です」
「そんな人いるのかしら・・・サムは・・王都に行ってしまって・・・ダメ出し・・」
「サムが3年貴族大学校に行く事は、とてもいいことです。私もパレス領主の従事者でした」
「そうなの?では、ロケッサはサムを次期家令にしたいの?」
「現在では、一番の候補者だと思います」
「でも、サスケたちもいるのでは?」
地震の後に孤児になった子供を集めて赤ずきんの家に住まわせていた。男の子たちが多くロケッサは自分でよく面倒を見ていた。面倒を見たと言うより、勉強、または戦術の訓練を行い、まるで戦士を育成するように厳しい指導でハラハラしていたが、当時は忙しく、そのまま任せていた。
ある日、一人の男の子が庭の木から木へ飛んでいるのを見た時に・・猿・・いやいや、サスケ・・・と思い・・そう呼んでいる。
「サスケは戦術、剣の訓練には優れていますが・・・サムのように自分で考えてより良い方向に導く力に欠けていると、言うか・・・」
「ーーーそうよね、あの子たち読み書き、計算ができてから、まるで軍隊のようにロケッサの作った寄宿舎と広場、川、山で訓練に次ぐ訓練だものね・・・」
「今更、スマートな家令にって、少し無理があるかな‥」
(そうなると、兄弟でサムを取りあうのではないだろうか・・・)
「私は、当分の間はロケッサ様付きの家令を務め、ミートス様の力にもなりたいと思っております」
(それは、つまり、ロケッサのスパイ・・・)
「いや、私にはルシアが居るけど・・・・」
「ルシアはメイドです」
サンドとは今後の自分の予定を話し合い夕暮れ前に別れを告げた。
夕食はメインはとんかつにして、唐揚げは明日のお弁当に、沢山の具を入れた味噌汁も多く作り、ミートス特注の魔法瓶水筒に入れて明日も持参する。サラダや果物、色とりどりの夕食になった。
ミートスはご飯を食べるが他の人はパンを食べる。
「ミートス様、このとんかつと言う食べ物は美味しいですね」
「初めて、食べました」
「気持ち悪い人にはどうかと思ったけど・・・欲には勝てずごめんね」
「サンドが油を沢山用意してくれていたのでつい・・・」
「本当はソースがあればいいのだけど・・・そこまで作れなかった」
「いいえ、美味しいです」
「明日はそれをサンドイッチに入れて持っていくために沢山用意してあります」
「今日のうちに明日の用意は終わらせるから、食べたらこのまま二人は眠ってください」
「そんな・・・」
「明日の二人の体調次第で途中で宿を探すか決まります。体調管理を第一にしてください」
「はい…」
「今日はおおむね順調に進みましたが・・体力を温存して明日の朝は4時に出発です」
「はい!」
霧がでている・・・
まずはこの霧の中、事故も起こさず山をこえるのが最初の難関と言える。
4時定刻に出発・・二人は2時には起きてお茶やお菓子の用意、お肌のお手入れなどをして、馬車では眠る作戦にしたようで、アリエルの席は屋敷の布団を拝借している。
「ミートス様、私たちのことは気にせず、王都まで行けたら行きましょう。危険は避けられたら避けたほうがいいです」
「では、バッサムに頑張ってもらいましょう」
それでも、初めて遠出をする女子3人は「ギャーギャー!!わーーーギャー!」と言いながら、バッサムの走らせる馬車に揺られお昼前に山頂に到達した。
「しかし・・この道はありがたい・・・バッサムの功績ですね」
「ミートス様の計画を聞いて・・自分にできるのは治水と道路整備でした」
「ロケッサ様からは豊富な資金の提供があり、この土地を開拓することができたのもあります」
「道ができていると、他国からの侵入も許してしまう・・とは、考えなかったの?」
「もちろん、考えました。一番に・・・」
ミートスはワクワクしながらバッサムを見る。
「うん、どんな仕掛けがあるの???」
「いえません」
「------」
「ミートス様、昼食の用意ができました」
「天気が良くて・・景色もいい、あちらに見えるのは王都ね。最高にすがすがしい、初めてよ!今、生きているって、感じられる!!最ーー高ーーーーー!!」
振り向くと、例の2人の女の子は話もしないし、食べてもいない、涙目だ。
「本当に大丈夫なの?」
二人は頷く・・
「はい、これからは下りですね…失礼ですが、眠って行かせていただきます。今は、水だけを頂いて・・」
バッサムとミートスは軽く食事をとり、王都へ再び揺れていく。ミートスは自分の三半規管に感謝をして、後ろの二人は抱き合い眠っている。
「こんな時は本当は音楽とかあったら気晴らしになるのよね。では、私が歌いましょう」
バッサムは一度こちらに顔を向けたが、そのまま前を向く。ミートスは適当にカラオケの十八番を歌い、時が過ぎていく。
3時頃にもう一度休憩をとる。最初に宿をとる予定の村までやって来た。今後をもう一度確認する為と、トイレ休憩。
しばらく、放心状態で3人で肩を寄せ合って休んでいる。
「ミートス様、このまま急げば王都に入れますが・・馬たちの疲労が激しくこのまま王都に向かうのは無理の様です」
「そう、ではここで1泊しましょう。フリルとの予定では別荘と、途中の宿と、この街で3泊の予定だったから1日節約できて助かります」
「では、宿を探しましょう」
「お願いします」
「どう?二人は?・・ここでもうい1泊するけど大丈夫?」
「
ありがとうございます」
しばらく街道のベンチでこの街の様子を観察してみる。この街は王都に向かう人たちが立ち寄る宿場のような感じで色々な人がいる。女3人でベンチでお茶を飲みながら話していると、むこうから宿屋の呼び込みを行う人が何人か声をかける。
しかし、3人とも初めての経験でどうしていいかわからないでいると、一人の若者が教えてくれた。
「この街は王都に入る前に泊まる人が多くいる。身分によって、泊まれる宿屋が違うから貴族以外はあちらの案内所に行って、登録しないと駄目だからね。もしも、今日、泊まる場所がないなら自分が特別にいい場所を紹介するよ。。」
(いやいや・・それ一番怪しいでしょう・・・)
「準備ができました」
バッサムが今日一番の低音で話しかける。
「そう、行きましょう」
「ねえ、私たちは登録しなくてもいいの?」
「ミートス様は庶民でしたが、領主様の名誉において、未亡人となられましたので貴族になります」
「え、未亡人の称号って、貴族に格上げなの?」
「未亡人の称号自体が貴族でなく、ロケッサ様の母上の称号となり、貴族となります」
「そうなんだ・・・宿は取れた??」
「はい、一番の部屋は取れませんでした」
「いいのよ、部屋なんてどんなでも・・泊まれて、安心なら・・」
「安心という面では少し不安です」




