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最期の決意

白線で描かれた「戦場」にやや身の固さを覚えながら、踏み込んでいく。

心の中で落ち着けと言い聞かせながら、地面に踏み込む足の位置を決め、スパイクで削る。

ここままなら、プロでの対決は最後となる。下手をすれば、一生の最後の対決となってしまう。


何回も打ち取られ、何回も打ち、お互いに切磋琢磨し続けてきた19年が一瞬フラッシュバックする。

悔しさに一晩中バットを振り続けたときもあった。オールスターで共闘するときもあった。首位攻防戦での対決には、こみ上げる何かがあった。


単に野球をやっているだけでは感じられない『剥き出しの闘志』と『野球を通しての絆』を知った。

それも、今日で終わりとなってしまう。



手につけたばかりのはずのロジンがすでに感じられないくらい、汗で手が滑りそうだった。


それに、汗ばかりでなく自然と目頭が熱くなっていた。



―――このまま見逃せば、この打席を三振で終えれば、最高の幕切れで引退できる―――



ふと、そんな考えが頭をよぎった。

しかし、その考えを振り払うかのように、マウンドの好敵手を見つめた


監督がここで代打で出してくれた意味。

誰よりも平戸と戦い、そして誰よりも平戸に勝ってきた。


衰えが出てきて成績を残せなくなった俺を信用して出してくれている。



何よりも、『最後だから』という意味も大きいのだろう。



―――だからこそ、全力で打ちにいく―――




体全体の感覚が研ぎ澄まされていく。

肌全体に電撃を浴びたかのように重圧を感じる。

それすらも心地よかった。


バットを担ぐかのように構えを取る。

同時にボールの握りを確認した平戸がプレートを踏む。



ここから先は、二人の最後の『闘い』



二度と行われることのない『闘い』




そんなはずはないのに、直感的に悟った

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