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愛犬を愛しすぎたら、人間になって愛を伝えに来ました  作者: 鳶雫
一章 僕が変人ですか…?
3/33

(3)

扉が勢いよく開かれて、ひまわりがすっきりした顔でこっちに来る。いやぁ…母さんが居て助かった。元犬とは言え、今は女の子だし。流石に一緒に着いて行って教えてあげるとか…考えただけでもぞっとする。

 僕が気づかない間に、ひまわりは僕の脇に居た。驚いて椅子を引く。びっくりした…足音しなかったよな?

 「寄人!良い匂いだね!」

 「?別に何もしてない…寧ろちょっと臭いんじゃない?」

 「なんで?」

 「昨日風呂入ってないし…」

 ああ、昨日の事は思い出したくもない。あの冷たくなって、硬くなっていく姿を想像してしまうから…。首を振ってイメージを払拭する。まだまだ、思い出すだろうな。何回も…何回も…。

 急に僕は柔らかいものに包まれる。それと同時にお日様のような匂いが包み込んでくる。ひまわりが日向ぼっこしていた時と同じ匂い…。一緒によく日向ぼっこしながら寝てたよね…。不意に涙が溢れだした。

 「寄人…女の子に抱き着かれて嬉しくて泣いてるの……?」

 「なっ?!違うって!もう二度と嗅がない匂いだと思ってたから…」

 「寄人嬉しい?」

 「違うって!」

 もう感情がめちゃくちゃだ。どうしてくれるんだよ。横目で時計を見ると、午後の17時になっていた。台所から料理をしている音が聞こえる。ひまわりは…大人しく隣でお座りをして待っている。お座り…?

 「ひまわり?椅子に座りなよ」

 「いす?」

 隣の空いている椅子をぽんぽんと叩く。ひまわりは人間とは思えない勢いで飛び乗ってきて、椅子の上にお座りする。いや、座り方違うじゃん。僕の真似すると思うじゃん…。こりゃ大変だ…

 「僕みたいに座ってみて?」

 「う~ん?こう?」

 「そうそう、偉いね!」

 頭を撫でると気持ちよさそうに目を瞑る…ってこれじゃあまるで犬に接する時みたいじゃないか。あ、元々犬か。う~ん…困ったな。見た目は同い年なのに、何か幼児を相手している気分だ。

 母さんが台所から顔を覗かせる。何をやっているんだろ?様子を見ているのかな?僕は隣のひまわりを見る…居ない?!え、台所に居る…瞬間移動?すごいな…手品みたいだ。

 「ねぇ、犬が食べちゃ駄目なものって今はいいのかしら?」

 「あぁ…?どうなんだろ?」

 「食べれるよ!食べたい!」

 え、いいのか…?まあ、妖怪みたいな感じだし…でも、試しに食べさせるのも人体実験みたいで気が引けるよなぁ…。犬だった時、一度大変な事になってるし。よし、やめておこう!大事になってからじゃ遅いからね。

 「やめておこう」

 「え~。寄人、いじわる」

 「しょうがないわね、ひまわりちゃん」

 「分かった…。」

 大体は食べられるはずだけど…ネギ、ブドウ、コーヒー、ココア、アボカド、チョコ、は避けよう。ブドウはひまわりが食べてしまったあの日から家では絶対買わないようにしているから大丈夫だ。

 ひまわりがまだ犬だった頃、ブドウを食べてしまった。ブドウ系は犬にとって甚大な被害を及ぼす事を知らなかった。すぐに病院に行って、吐き出させてもらい、その後点滴で通院して事無きを得た。

 ブドウがなんで犬にとってダメなのか、なぜ腎臓に多大な被害を及ぼすかまだ分かっていないらしい。あの時を機に、家では犬が食べられないものを食べないように徹底した。あの時、医者に言われた「吐かせなければ死ぬし、吐いても助からないかもしれない」という言葉はトラウマだ。実際、獣医は大変だと言うことはわかる。それでも言葉には気を使ってほしかったな…。

 「寄人…?」

 「ああ、ごめん。何でもないよ」

 「そっか!」

 はは、そっくりだ。感情の機微に気づく速さ、傍に寄り添う姿勢。本当に出来た犬だったなぁ…。よし、この話は終わりだ。過剰にひまわりを心配させるのは良くない。ひまわりのストレスになってしまうだけだ。

 「ごはんできたわよ、持って行って?」

 「分かった」

 テーブルの上にご飯を並べる。味噌汁に若竹煮、ごはんとサラダ。ひまわりは今か今かと待ちわびている。ごはんを凝視して目を離さない。ちょっと面白いな…器を目の前で行ったり来たりさせると、着いてくる。なんだかかわいいな。

 「いただきます」

  みんなで声を揃えてごはんを食べる。ひまわりは顔を突っ込んでごはんを…え?そういえば教えてないじゃんか!

 「ひまわり!フォーク使って!」

 「ふぉーく…?」

 「これだよ」

 僕がひまわりの前から手に取って見せる。ひまわりは首を傾げながら受け取った。そりゃそうだよな、犬はごはんの時、顔突っ込むもんな。目の前の皿からフォークでタケノコを取ってもう一度渡す。ひまわりはニコニコ笑顔で「おいしい!」と喜んでいた。


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