閑話 ██の転換点
私の友達は、ずっと私の上にいた。
「███!ゲームするぞ!」
そんな中で、私が唯一彼に勝てると思ったのが、ゲームだった。
「██家の面汚しが!」
彼に何かで負ける度に、いつも父に罵倒された。自分の努力が足りないの?ずっと努力しているのに。
「ゲームなんかいらないっ!お前はいつもいつもいつも...」
また怒られる。またゲームをさせてもらえなくなる。あっちでしか私は彼に勝てないのに。
けれど、いつまでたっても続きの言葉が話されない。
どうして?何かに驚いているの?そんなことを思いながら、ちらりと父に顔を向けると、
「...お父様!?!?!?!」
父は倒れていた。結局、そのまま死亡した。死因は不明。傷跡も毒物反応もなく、事件は完全に迷宮入りになった。私は心のなかで歓喜した。やっとあのクズがいなくなった。
少しずつ、ゲームをやる時間が長くなっていく。勉強も両立させている。というか、父がいた頃よりか成績が良いのだ。あの爺がストレスを与えていたから成績が落ちていたのかもしれないねと、姉が言った。私も姉もお父さんのことは嫌いだった。お母さんには内緒の同盟。二人でずっと耐えてきた。
お姉ちゃんは、█████高等学校に進学した。私も行きたいと思った。もっともっと勉強に熱が入った。流石に主席は私だろう。そんなことを考えながら合格発表を見に行った。
「...どれだけ邪魔すれば、気が済むの?」
一番上にあった名前は、私の一番の親友のものだった。
二位が私。また負けてしまった。点差もまた驚くほどに離されているんだろうな...やるせない気持ちで結果を見る。すると、そこには予想外の数値が書かれていた。
███ █ 500点
██ ██ 498点
たったの二点。鳥肌が立った。もう目の前だ。彼を抜かすまで、あと少しだけ。あと少しだけ努力したら。ゆっくりと、彼が近づいてくるのが見える。彼はさぞ気分がいいんだろうなと思って、笑顔を作って彼の顔を見た。
彼の顔はぐちゃぐちゃだった。
涙が次から次へと落ちている。周りにいる人もギロリと睨みつけている。服についてしまったのだろうか。手で払うような仕草をする人もいる。けれど、私はそんな彼の顔を見て、自分に疑問を持った。
どうして私は、彼をずっと追っているんだろう?
ずっと、化け物だと思っていた。天性の才能。神様から才能の詰め合わせを何個ももらったかのようなその存在に、私はずっといつの間にか抜かさねばならないという使命感を抱いていた。けれど。
彼も一人の人間なのだ。
私の目からも、涙が溢れる。嗚咽を響かせながら、彼の所まで歩いていく。
その瞬間、私は閉じられていた何かを開けた気がした。周りに人がいる。でも関係ない。
私達は、一つになった。




