Vol.20
「……じゃ、そういうことでよろしく」
理は佳佑にそう言ってノートを閉じた。
「了解」
佳佑は理にそう答えると椅子から立ち上がる。
「……でも、ほんとにいいのか?ここまで頼んでおいて今更だけど」
理は机の上に散らばった紙を集めながら佳佑に聞く。
今の理はなんとなく申し訳なくて佳佑の顔を見れなかった。
今から生徒総会を始めるのだが、理は臨時で提出する議題についての段取りをしていたのだ。
もちろんそれは優太と衣のこと。
しかし、取扱い1つ間違えるとみんなには理の職権乱用という解釈にもなりかねないのでそうならないように考えなくてはならなかった。
そうなるとどうしても『佳佑の過去』を引っ張り出すのが一番手っ取り早いのだ。
しかし佳佑のその過去はあまりにも酷すぎた。
目の前でそれを見ていた理さえできれば思い出したくない出来事だった。
それを当事者の佳佑が聞いている場で自分が朗々と語るのはどうも気が引けてしまうのだ。
「……約束したからさ『俺が守ってやる』って。俺はもう俺や理みたいな過去を持つ人間を作りくないだけだから」
佳佑は少し笑った。
「理は好きに喋っていいから。俺のことは気にしなくていいから。2人のこと、守ってやって」
佳佑は笑って片目を閉じる。
理はそれを見て何も言わずに切なく笑い返して頷いた。
そして今朝まで集めた「証拠の品」が入ったゴミ袋全部を抱えて部室のドアを開けた。




