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Vol.1

 4月――。

 真新しい制服を身に纏い1人の長身の女が教室に入ってきた。

 彼女は本編の主人公。

 名は吉岡未散よしおかみちる

 まだ15歳だというのにすでに身長は176センチある。

 そのせいだろうか、普通に歩いているだけなのに何となくまわりは目を伏せる。

――やっぱりあたしは高校でも『怪物』扱いなのね……。

 もう慣れたとはいえやっぱり切ない。

 中2の頃からめきめきと身長は成長し続け、気がついたら校内一のデカ女になっていた。

 そのせいで大半の女子先輩には『ナマイキ』と目を付けられ、後輩の女子や男性陣からは『コワイ』とヒソヒソ言われ続けてきた。

――デカいのはあたしのせいじゃないもん、かってに大きくなっただけだもん……。

 はぁ、とため息をついて空いていた席に着いた。

「未散?……よかったぁ、同じクラスだぁ!」

 おはよーと未散に挨拶し未散の席の前にちょこん、と座ったのは小橋衣こばしきぬ

 彼女は未散の中学からの親友だ。

 こちらの方はというと身長153センチ。

 おまけに顔も目もまんまるなので、未散とは違って「小さなかわいらしい女の子」という言葉が似合う。

「あぁ、おはよ」

 未散はほっとして衣に挨拶を返した。

「おはよー!」

「ひゃあっ!」

 ハイテンションで挨拶し衣の頭をしゃぐしゃと撫でるのは並木優太なみきゆうた

 彼も未散の中学からの部活仲間。

 そして衣は思わぬ災害に悲鳴を上げていた。

「……おはよ」

 未散がそう言うと優太はニコニコしながら未散の隣の席にどかっ、と荷物を置いた。

「優太、なにその荷物」

「なに、って決まってるだろ。俺の商売道具。もう今日から練習に行くもんね」

 お前も行くだろ?と優太は未散に聞きながら椅子に座る。

「入るつもりはあるけど、今日は行かない」

 未散は机に頬杖をつく。

「なんだよ、やる気ないなぁ」

 いいよいいよ俺一人行くから、と優太は少しむくれた。

 そんなやり取りを2人がしている間に衣は手鏡を見て髪を直していたが、

「あーもう直んない、優太のばかっ」

 あたしトイレ行って来る、とブラシを片手にプリプリしながら衣は教室を出て行った。

「優太さぁ、もうちょっと愛情表現変えたら?」

 何も怒らせなくても、と未散は優太を見る。

「何言ってんだよ、怒ると可愛いから怒らせるんじゃんか」

 わかってないねぇ未散さんは、と優太はイヒヒヒと笑った。

――やれやれ。

 そう思いながら優太を見て未散は肩を少し竦めた。

「そうやっていつまで意地悪ばっかりするつもり?」

 未散はさりげなく優太の脛を蹴った。

「早いほうがいいと思うよ?だってさ……衣がここに座った途端教室中の男がみんなこっち見てるし」

 早くしないと誰かに取られちゃうかもよぉ、と未散は優太にけしかけた。

 そうなのだ。

 衣が未散の前に座ってからは男子達の熱い視線は2人に注がれていた。

 それは紛れもなく彼らが衣を見ようとしていたとしか言いようがない。

 残念ながら未散は……衣を見ようとすると視界に入ってくるだけでそれ以上の意味は無い。

「そ、それは困る!衣が他の男に取られるなんて!」

「……あたしがどうかした?」

――げっ。

 いつの間にか戻ってきていた衣に2人はぎょっ、とする。

「あ、俺、トイレ行って来るわ」

 動揺しまくりの優太は机の角に足をぶつけては「いてっ」とか言いながら教室を逃げるようにして出て行った。

「……どうしたの?」

 何も知らない衣は普通に思ったことを未散に聞いた。

「あ、あぁ……ココでも衣は男の注目の的だって言ってただけ。でも衣は優太以外の男にはいくら言われてもダメだもんね」

 いつか優太は衣に言ってくれるのかな、と未散は、イヒ、と笑う。

「また未散は変な事言う!優太がそんなこと言うわけないでしょ!」

 そう言うと衣はぷいっ、と前を向いてしまった。

――あらら、また怒っちゃった。

 いつものこととはいえちょっとだけ気まずくなる。

 そう。

 このややこしい状況を未散が知ってもう2年半になる。

 衣と優太は実を言うとお互いがお互いの想い人。

 なのに優太の言動は小学生レベルだし、衣は衣で優太の言動を真に受けているので「優太はあたしのことなんて嫌いなんだよ」とかってに勘違いしているので実に中途半端なままココまできている。

――一体この2人、いつになったらくっつくんだろう……。

 また3年間見守らなきゃいけないのだろうかと未散は腕を組みながらため息をついた。

 はじめまして、愛梨です。

 たくさんある小説の中からお越しくださいましてありがとうございます!


 私には1つこだわりがあります。

 ジャンルがジャンルなのであまりに突飛過ぎたり内容がてんこ盛りでは臨場感がないような気がするし、あまりに過激だと私が書けない(それだけヘタレなんです……すみません)ので読んだ方には「あぁそれ、わかるわ」「そんなときもあるよね」「こういう展開、現実でもあるよね」と一種の親近感あるいはもう10代ではない方には懐かしい感じになるようにしたいなと思ってます。

 「計算」や「打算」ができない、うまくやれない……そんな頃の恋愛を綴っていこうと思います。

 よかったら最後までお付き合いいただければと思います。


 さて。

 今回は半分登場人物の紹介でした。

 読んでわかったと思いますが、まずは未散でなく彼女の友たちのひと騒動を展開していきます。

 最初はこんなふうにするつもりはなかったんですけど、書いているうちにこうなっちゃいました(汗)。

 変わった形かなとは思いますが、応援していただければと思います。


 では、またです。

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