愛、まだ男子です
諸般の事情で、CEOの娘の名前は、「真綾」になります。
あらすじ
エミは、男子であることに甘んじていれば、経験することなかった出産の痛みと苦しみで失神寸前までいった。
出産直後、愛と、勇子は、エミから離された。
その事に、悲しみはなかった。
全てから解放された。
それのみだった。
エミの脳は、男子なのか?
CEOの妻は、白人だった。
愛と、勇子の、卵子の母、真綾は、瞳は紫色。
勇子(鈴)の瞳も紫色。
だが、愛の瞳は、右目の瞳こそ紫色だが、左目の瞳は茶色だった。
フランケン・シュタイン「言いにくいことですが、愛様は、ISです。具体的には…」
医師として、保護者には、事実を話さなければならない。
CEOは、優しい悪魔。
愛を孫として受け入れた。
愛、満二歳。
その頃から、妹の勇子に買い与えたワンピースを欲しがるようになった。
しかも、勇子は、お気に入りだった筈のワンピースも、兄が勝手に着てしまったら、洗濯したとしても、汚いもののように着なくなった。
養育係が当惑していると、CEOは、
CEO「愛には、構わないからピンク色の女の子の服を買い与えなさい。それから、勇子には、必ず、青系統の服にしなさい」
愛と、勇子が、三歳のとき、勇子、フィギアスケートを始める。
愛「私もスケートをやりたい」
祖父は、男子として習うことを条件に認めた。
愛は、男子のウェアを素直に着用した。
もちろん、カラーは、ピンク色だ。
何故か、ワンピース、ツーピースのスカートは、欲しがるが、下着、水着の類いは、女子用を欲しがらなかった。
楽しいばかりではなく、つらいこともあったが、乗り越えていった。
中学三年生の時、ある種の災難は、始まった。
指導者「愛ちゃん、勇子ちゃん、アイスダンスをやってほしいんだけど」
愛「私達、むちゃくちゃ仲悪いから」
勇子「そうそう(`Δ´)」
指導者「漫才コンビは、皆、仲悪いから」
有無を言わせなかった。
祖父は、お気楽によろこんだ。
二人にとっては、規格の合わない歯車が、軋みをあげて、お互いをすり減らしいくような思いを重ねてきたが、皮肉にも、レフェリー、ジャッジの心証はよかった。
地域の予選とはいえ、入賞することが多かった。
優勝したことさえあった。
もちろん、祖父の七光りではない。
実力で勝てなければそれまでと、厳しかった。
愛「じい…祖父の決めたことだから…」
指導者は、何度も、ウェア(衣装)のカラーを変えることを進めたが、愛は、時には、声をあらげてまで反対した。
勇子は変えることにまんざらではなかったが…。
愛と、勇子は、高校三年生になっていた。
勇子は、他の男の子とペアを組まされた。
愛も、シングルから転向した女の子と組まされた。
勇子は、うれしそうに、その男の子と練習していた。
愛は、乱暴に独りで練習していた。
まゆか「いい加減、私と練習してください」
愛は、無視。
まゆか「妹さんでないと、ダメなんですか?」
愛は、まゆかをにらみつける。
ふて腐れて、アイスダンスにやる気を無くしたのは、そうではない。
時間は、少し戻る。
勇子の養育係「……ピンク色は、愛様の色ですが、せめて、赤い色にしませんか(;´∀`)」
勇子「私が、いいと言ってんだから、いいの」
勇子の養育係「かしこま」
パートナーチェンジ、勇子が、それをいいことに、ピンク色のウェア(衣装)を作ってしまったのだ。
もちろん、愛は、激怒して、勇子に抗議した。
勇子「何を何時までも子供みたいなこと言ってるの」
愛「ゆぅこお」
養育係「愛様、おやめください」
愛「放せぇ、この女を殺させろおおおおお」
養育係「愛様、お怒りをお沈めください」
愛「あんな奴、分かれてせいせいした。気に入らないのは、ピンク色は、わ…俺の色なのに、それなのに、それなのに、あいつは…」
愛の怒りに震えた態度に、まゆかは、恐怖すら感じた。
まゆかは、恐怖に震えながら。
まゆか「それなら、アイスダンスで、妹さんを負かせばいいじゃないですか」
愛「妹が、してくれないことをしてくれれば、アイスダンスの練習をしてもいい」
まゆかは顔を赤らめて。
まゆか「妹さんが出来ないことって…」
愛「一緒に風呂に入ってほしい」
まゆか「まさか、アワオドリとか?」
愛「阿波おどり?」
まゆか「忘れてください。一緒に風呂に入るだけでいいんですね?」
愛「ちゃんと真っ裸になってもらうぞ」
まゆか「それだけでいいんですか?」
愛「それだけだ」
まゆかは、顔を赤らめたまま、考えた。
まゆか「二人きりは、ちょっと、私の父と3人でもいいですか?」
愛「いいけど」
愛にとっては、祖父と何度も風呂に入っているので何でもなかった。
まゆかの父親は、長身のハンサムな男だった。
一番当惑していたのは、まゆかの父親だったようだ。
娘のアイスダンスのパートナーに他人の男が、それだけでも、十二分に当惑しているはずだ。
そんな男に、大事な娘が、身体を露にする。
それよりも、一緒に風呂に入ることを拒否されるようになってから、長い年月がたっているはずだ。
それを大人になったといってもいい、微妙な年頃になって、今更一緒に入るのだ。
まゆか「おとうさんと、愛さんは、先に入っててください」
おたがい裸で、まゆかの父親は、悪い感情を持って、愛を見る。
まゆか「入ります」
まゆかの父親は、娘の成長を知りたいという思いで、娘の身体を見てしまった。
まゆか「嫌」
まゆかは、前を押さえる。
まゆかの父親は、目をそらす。
身の危険を感じての選択だったはずなのに、むしろ、父親に裸を見られることに抵抗があるようだ。
愛「前、隠すのやめて」
まゆか「いっ」
まゆかは、手をどける。
まゆかの父親は、チラ見。
身体を洗って、まゆかは、石鹸を洗い流すために、父親と、愛に、背中を向ける。
二人揃って、まゆかのお尻を見つめる。
これが、愛にとっては、なりたい自分、女特有の丸みを帯びた身体なのか。
まゆかは、自分のしてしまったことに気付き、大きめの湯船に飛び込む。
湯船の奥に愛
愛の横に、まゆかの父親。
まゆかの父親と向き合うように、まゆか。
まゆか「私がいいと言うまで、そこにいてください」
脱衣場への扉を開けると、愛に対して前を向いて、後ずさりして脱衣場に消えていった。
愛は、吹っ切れたように、まゆかとのアイスダンスの練習に励んだ。
まゆかの父親が様子をみにきた。
まゆかの練習用のウェアは、スカートないタイツだった。
まゆかの父親は、顔を赤らめた。
まゆかは、思わず、前を押さえる。
そして、予選が終わる。
化学アカデミアのライバル企業代表の、令息『万里』、令嬢『千里』( =^ω^)のペアが優勝。
勇子のペアが、3位。
僅かな差で、愛と、まゆかのペアが2位だった。
その後、勇子は、友達と遊びたいばかりに、フィギアスケートをやらなくなった。
愛は、「夜の女王の娘」の一件での、家庭教師「喜多」との約束の地獄の特訓のお陰で、女子大への編入学に合格できた。
「今日から一緒にフィギアを練習することになった『佐藤愛子』さんです」