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Case 14「お兄ちゃんなんだから」

レプリンを新しい家族に迎えた2日後のこと。

「お母さーん。レプリンのごはんよろしくねー。」

「はーい。任せて。」

ボクはセンセイの買い物の手伝いに行く。今日も今日でいつものように食べ物から日用品、新しい服をいろいろと買う予定だ。


しかしその途中。

「うわぁぁぁぁん…」

家まであと大体500mくらいというところ。道の隅の建物の陰になっている場所で、女の子が一人で泣いていた。髪の毛は短めのツインテールで、赤いオーバーオールを着ている。


ボクはセンセイと一緒に、その子のもとへ行った。

「ねえ、あなたお名前は?」

センセイはその子に話しかけた。

「うぅ… ル、ルイーザ…」

「ルイーザちゃんね。どうしたの?そんなところで?」

「えぅぅ… お母さんが…」

「お母さん…ってことはもしかして迷子?おうちはこの近く?」

(涙目の状態で首を振る)

「お母さんといつまでは一緒にいたか。覚えてる?」

「うぅ… ちょっと前。あっちのお店がいっぱいあるとこ。」


その子はどうやら、今ボクたちがいるところのすぐ近くにあるT字路を曲がったところにある商店街にお母さんと一緒に来ていたところ、いつの間にかはぐれてしまったようだ。

その様子を見ていてボクは、自分が小さい頃、入院していた病院に併設されていた公園でお母さんと一緒に遊んでいた時にいつの間にかはぐれてしまった時の事を思い出した。


商店街は人がいっぱいいる。その様子を見ていて困ったような様子のセンセイ、ただ泣いているだけの女の子を見ていて、ボクは決意した。

「ねえ…ルイーザちゃん。」

「?」

「お兄ちゃんと、一緒に遊ぼう。」

()()くん?」

「ボクがこの子の面倒を見たい。」

ボクの中でいつの間にか、「この子から見たらボクは立派なお兄ちゃんだ。だからお兄ちゃんらしいことをしたい。」と思っていた。


「そうなの?ありがとう。じゃあ私、あっちでルイーザちゃんのお母さんを探してくるね。」

「うん。」

「お兄ちゃん。」

ルイーザちゃんはなんだか嬉しそうだ。その脇でセンセイは一人商店街の方へ向かって行った。


「まず何して遊ぶ」

「お絵描きー!」

ルイーザちゃんはそう言って、すぐ側に落ちていた小さな石を拾ってきた。

地面は舗装されていない。お絵描きをするにはうってつけの場所だ。

陽夏ちゃん以外の年下の子と一緒にお絵描きをするのは、もしかしたら初めてかもしれない。そう思いながらボクは、ルイーザちゃんと一緒に地面に絵をいろいろ描き続けた。花・車・電車・スパゲッティ…

ルイーザちゃんが地面に大きな丸を書いたときのことだった。

「そうだ!」

「どうしたの?」

「お兄ちゃん、けんけんぱしよ!けん、けん、ぱ!」

「けんけんぱ?お兄ちゃんも好きだよ。やろう!」

「わーい!」

ルイーザちゃんは地面にいくつもの丸を書く、ボクも手伝うことにした。

「お兄ちゃんも手伝うよ。」

「ありがとう!」

けんけんぱの輪っかの並びが出来上がった後、

「お兄ちゃん先でいいよ。」

「いいの?」

「うん!」

「ありがとう。」


「けんけんぱ。けんけんぱ。けんけんけんぱ、けんぱ。けんぱ。けんけんぱ。」

「けんけんぱなんていつぶりだろう。」と思いながら、ボクはけんけんぱをやった。

「お兄ちゃん上手―!次あたし行くー!」

ルイーザちゃんもボクに続けてけんけんぱをやる。

「けん、けん、ぱ!けん、けん、ぱ!」

ルイーザちゃんのけんけんぱ、なんだか一生懸命な感じがする。

ボクよりは時間がかかってしまったが、ルイーザちゃんも上手にけんけんぱができていた感じがする。

「ルイーザちゃんも上手にできてたね。」

「ほんと!お兄ちゃんありがとう!」


ボクたちはそれから何周、けんけんぱをやっただろうか。

ルイーザちゃんはその後、近くの建物の陰にあった水飲み場で水を飲んでいた。

「ボクも喉乾いちゃったな。」と思ったボクは、ルイーザちゃんが戻ってきた後に水を飲みに行った。


水飲み場から戻ってくると、ルイーザちゃんはまた地面に絵を描いていた。ボクも合わせて、いろいろな絵を描く。

しかしその最中…

(あ、トイレ…)

ボクの体に、急に強い尿意が襲ってきた。

でもこの近くにトイレはなさそうだし、第一ボクがトイレに行ったらルイーザちゃんはまた一人になってしまう。そう思ってボクは、尿意がどんどん高まっている中でルイーザちゃんの側にいようとしていた。


しかしながら尿意は高まり続け膀胱の痛みは激しさを増し、次第におしっこがパンツに少し滲み出始める。

ルイーザちゃんと一緒に地面にお絵描きをしているボクの頭の中は、「おもらし」というものへの恐怖でいっぱいだった。


そしてついに…

「う… あぁ…」

(ジュジュ… ジュジュ… ジュ… ジュウウウウウウ―)

膀胱の出口あたりに激しい痛みが走った後、膀胱の痛みが引いてくるとともにルイーザちゃんの目の前でしゃがんでいるボクのお尻におしっこが流れこんでくる感じがする。


ボクはルイーザちゃんの目の前でおもらしをしてしまった。ズボンの股間やお尻が濡れていき地面におしっこが降り注ぐところを、ルイーザちゃんにずっと見られてしまったいた。


「お兄ちゃん…!」

ルイーザちゃんの前でおもらしをしてしまったボクは、ついさっきのルイーザちゃんみたく泣き出した。

「お兄ちゃんなのにおもらしをしてしまった。」ボクはそれが恥ずかしくて、その場で泣き続けた。

「うぁぁぁぁぁー…」


「ルイーザー!」

「お母さん…」

ルイーザちゃんのお母さんと思しき人の声が聞こえてきた。当然センセイも一緒だ。


「ルイーザ。そこにいたのね。」

「お母さん、お姉さん… お兄ちゃんがおもらししちゃった…」


ルイーザちゃんのお母さんとセンセイが戻ってきてもなお、ボクは泣き続けていた。

()()くん…」

「ルイーザを一人にさせたくなくて頑張ってたのね。本当にありがとうございます。」

ルイーザちゃんのお母さんが、そうボクに話しかけていた。

ボクは無言で頷いた。

「早くおうちに帰って着替えよう。」

「うん…」


そう言ってボクは、ルイーザちゃんと別れ家に帰った。

「お兄ちゃんがおトイレ我慢できなかったのは、ルイーザたちだけの内緒よ。」

「うん。」


着替えが済んだ後、センセイは一人で買い物に出かけて行った。


そして、その次の日の朝。

(ドアが鳴る音)

「誰かしら?」


誰かが家を訪ねてきたようだ。その直後…

()()くんきてー!」

センセイがボクを呼ぶ声がした。

玄関にいたのは…


「お兄ちゃん!遊びに来たよー!」

なんとルイーザちゃんだった。ルイーザちゃんのお母さんも一緒に来ている。

「ルイーザちゃん!」

「すみません…。ルイーザが『今日もお兄ちゃんと遊ぶの!』って聞かないもので… (苦笑)」


ルイーザちゃんのお母さんのカリンさんは、どうやらシャピアさんの魔法専門学校の後輩だったのだ。だからボクたちが住むこの家を知っていたという。


ボクは家でしばらくの間、ルイーザちゃんと一緒に遊んだ。


「お兄ちゃん、また遊ぼう!」

「うん!」


お兄ちゃんと認められたボクは、なんだか嬉しかった。


-新しい設定付き登場人物-

ルイーザ・ホーガス(Louisa=Hogas)

未青たちとはやや離れたところ(といっても徒歩圏内)に住む5歳の女の子。

魔法はまだ使えない。

性格:おちゃめで好奇心旺盛で、ちょっぴりわがまま。

身長:約107cm

誕生日:4月12日

趣味・特技:お絵描き・鬼ごっこ

好きな食べ物:ショートケーキ・カレーライス

苦手なもの:ピーマン・怒ったお母さん

一人称:あたし・ルイーザ


カリン・ホーガス(Calin=Hogas)

ルイーザの母親。36歳。癒師歴は30年強。

シャピアフェは魔法専門学校の先輩にあたる。魔法の実力と技術力は高め。

性格:細かいところにすぐ気づく性格。

身長:約163cm

バスト:B

誕生日:8月2日

得意属性:火・音

趣味・特技:料理・写真

好きな食べ物:スパゲッティナポリタン・うどん

苦手なもの:ルイーザの落書き

一人称:私

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