Case 121(最終回)「卒業式、そしてボクの未来」
「ビチャビチャビチャビチャビチャビチャビチャビチャビチャビチャ…」
今乙ノ峯に住むお母さんに会ってから実に半年以上。とにかくいろいろなことがあったが楽しかった。あっという間に3月になり、今日は卒業式の練習の初日。そんなボクは体育館でおもらしをしてしまった。
「出ちゃった…」
「赤砂君、保健室行こう。」
「はい…」
いつものように保健室に連れて行かれるボク。
エクシパ「―そうだ。赤砂君は卒業式でどんなアクションする予定?」
未青「アクション…ですか?」
エクシパ「そう。―」
「卒業式でのアクション」。それは舞嗣遠魔法専門学校、もとい全国の魔法専門学校の卒業式で恒例となっている、卒業証書授与のタイミングで魔法を用いた一芸披露のことだ。去年は魔法を用いたアクロバットや花瓶の花をさらに咲かせたりするということがあったという。
保健室から戻ってきたら卒業式の練習はもう終わっていた。帰りのHRに合流した後家に帰ったボクは、センセイにそのことを相談した。
未青「ボクはどうすれば… ってかどんな芸を披露すればいいのかな?」
フレイン「う~ん。未青くん魔法のスキル高いから、それを活かしてみんながびっくりするようなのがいいんじゃないかな?」
未青「うん。―」
その後ボクはスマホで過去の卒業式のアクションのスゴ技集的な映像を見たりしたが、どれもボクの身体能力ではできそうなものではなかった。そして迎えたある祝日。午前中にテレビを見ていると…
未青「!!」
ボクは何かをひらめいた。
未青(ボクって分身魔法使えたよね!?)
部屋に戻り、鏡の前に立ち、分身魔法を発動させる。
未青「できた!」
ピンク色のシャツを着て水色のスカートを履いているボクが鏡の前に2人いる状態。
未青(じゃあ… 分身と同時に別の服を着させるってのは…)
ボクはそんなことを思いついた。しかしボクはまだやったことのない未知の領域。その後は勉強は就職の準備と並行して、練習が続いた。
フレイン「未青くんとっても練習頑張ってるわね。」
まりあ「お兄ちゃんのアクション、本番でたくさんの人がびっくりしそうだね。」
シャピアフェ「そうだわね。」
そしてそれから数日が経った日曜日。今日はカレンデュラでアルバイトだ。練習の末分身魔法もかなり上達したということで、カレンデュラのバイトも今日が最終日だ。
ベルーザ「未青君本当に5年間お疲れ様。よかったらお店にも来てね。」
未青「はい!」
シフトが終わって着替えている最中、ボクはルキちゃんたちに練習の成果を見てもらった。
未青「えいっ!」
ルキ「わー凄いじゃん未青ちゃん!」
ハミン「これ未青ちゃん一人でここまでできたの?」
未青「そうだよ。結構練習しててお腹空くけどね…(苦笑)」
レクファニー「でも凄いよ。卒業式楽しみになってきた。行っていい?」
未青「うんボクはいいよ。」
セレスティーヌ「私も行きたーい!」
ルキちゃん・ハミンちゃん・セレちゃん・レクファニーちゃんも当日卒業式に来てくれるということで、なおさら楽しみになってきた。
ルキ「―楽しみにしてるから!」
未青「うん!楽しみにしてて!」
その後もボクの卒業式のアクション練習は続いた。転送魔法などとも組み合わせる必要のあるボクのアクション。非常にタイミングは問われることになりそうだ。
そして迎えた卒業式本番。人生で初めてまともに参加する卒業式。モルウェンナ先生は卒業式の移動直前に特別にボクをトイレに行かせてくれた。
未青「なんかこのスタイルでトイレするの久しぶりだなぁ…」
卒業式ということで男子の制服を着ているボク。小便器の前に立っておしっこするのもそうだが(女子制服を着て小便器の前で漏らしてしまったことは何度かあった)、男子の服に身を通すこと自体ももうかなり久しぶりだ。
体育館に着いた。センセイたちやベルーザさんをはじめ、ボクが今まで出会って来た人たちの多くが卒業式に来ていた。
未青(こんなに来てくれるのは予想外だったなあ…)
そして、卒業式本番が始まった。いろんな人が様々なアクションを繰り出し、その度に拍手が上がったりどよめいたりしている。中には卒業証書を受け取った後ポーズを決めて、特撮ヒーローのような爆発を魔法で表現する人もいた。
校長先生「赤砂未青。」
未青「はい。」
体育館の舞台への階段を上がり、卒業証書を受け取ろうする。その瞬間。
未青(えい!)
ボクはアクションを始めた。
ボクがもう一人分身するのだが、分身体がまだ光だけになっている状態のところに転送魔法で家から女子の制服を転送させ、分身体に着させた。
生徒A「すげえ!」
生徒B「面白いこと考えたなあいつ。」
ボクと分身体は、完全に連動して動いている。その様はボクがいつか見たヒーローの最強フォームのような感じだ。
校長先生「卒業おめでとう。」
校長先生はその場で卒業証書を2枚に一時的に複製してくれた。ボク(ボクたち)は分身体と一緒に卒業証書を受け取った。
生徒C「なんか懐かしいな。」
それからしばらく経って、卒業式は幕を閉じた。
ネルル「―これからも休みの日とかに会おうな!」
カロル「うん!」
コトレフ「じゃあ今度のゴールデンウイーク一緒に遊ぶ?」
未青「いいねそれ!」
魔法専門学校で過ごした3年間。本当にあっという間だったが楽しかった。ボクの送りたかった学校生活を全う出来て非常に満足している。思えばボクがこの世界に転生してきてもうじき5年になるがそれ自体ももうあっという間にも思えてくる。
さああさっては、テイキングスイーツの入社事前説明会だ。ボクの未来…人生には、これからどんな楽しいことが待っているのだろうか。
(ぐしょ…)
まりあ「あーお兄ちゃんおねしょしたー!」
未青「えへへ… もう1年以上連続記録更新中だよ…」
<お知らせ>
少々唐突な形となってしまいましたが、新作小説執筆準備のため今回で「弱くて緩いボクの、大好きな癒師。」は完結とさせていただきます。
およそ5年間、本当にご愛読ありがとうございました!
未青くんの物語(人生)は、これからもまだまだ続いて行きます!




