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ー4章ー 14話 「迫る魔の影、結ばれる同盟」

真剣な表情のオスカーさんが語ろうとしている情報共有というのは何なのか。


何となく脳裏を掠める嫌な予感でなければ良いのだが……。


しかしその願いは口を開いたオスカーさんによって、虚しく消え去った。


「どうやら我がアステルド連合国の付近でも魔物が度々目撃されるようになりましてね……」


正直、森の外の世界は人伝てに聞いた話しか知らないが、察するにこれまでアステルド連合国付近に魔物はいなかったのだろう。


だが今このタイミングで目撃され始めたのには、何か理由があるはずだ。


この森には魔物がずっと存在していたようだが、それでも最近は普通の魔物ではない魔王種と遭遇している。


これは魔王復活と何か関係があるのではないか?


もしそうなら、いよいよ残された時間が限られてきたという事だろう。

そうでない事を願うが、やはり楽観的には捉えられない。


「ここに来るまでの道中に、二度魔物と遭遇しました。……幸い大した魔物ではなかったので問題はありませんでしたが」


オスカーさん一行の物々しい警護体制にはそういう意図があったのかもしれない。


一国の国家元首であるオスカーさんの立場を考えれば、これが普通でもおかしいとは思わないが、平時に友好的な場所へ赴くなら、もう少し警護を緩めていても不思議ではない。


そうしなかったのは魔物が出現し始めているという情報を掴んでいたからに他ならない。


するとオルセアがオスカーさんの耳元で、重い口を開き小声で囁いた。


「これはここだけの話に留めてください。実は……魔王復活の時が迫っています」


やはりそうか……隣に居た僕の耳にはその小声がハッキリと聞こえた。


何となくそうなのではないかと思っていたから、それほど驚きはしなかったが、オスカーさんは違っていた。


目を丸く見開き、少しだけ体が震えていたように見える。


……無理もない。


この事はオルセアを始めとした僕たちしか知らない事実なのだから。


時折勇者パーティのメンバーが、森の外へ情報を集めに行っているが、拾えていない情報も多分にあるのだろう。


こうして他国の信頼できる情報を得る事は、今の僕たちにとっては非常に重要な事だ。


「……そうだったのですか…分かりました。そういう事でしたらアステルド連合国とこの森の間の地域は、我々が魔物の対処を致しましょう。英雄と呼ばれたあなた達は、きっとやる事があるのでしょう?」


オスカーさんはオルセア達を英雄と呼んだ。


それはグランゼル王国のような歪んだ見方ではなく、純粋な畏敬の念である事が言葉から素直に伝わってきた。


「こちらでも警備体制をできるだけ整えようと考えています。自分の街くらい守れないといけませんからね」


今よりももっと警備体制を強化しなければ街は守れない。

そういう事態になりつつあるのだろう。


ここへ来てボルン商会だけの繋がりだったアステルド連合国と、魔王復活に対する対策が持たれ、より強い信頼が築かれようとしている。


何もなかった森に街ができて、他国との繋がりが生まれる。


話している内容は穏やかではないが、少しずつ、一歩一歩前に進んでいる気がした。


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