F1
「それで、これからどこに行くんだ?」
なんか、いきなり旅に行くって言い出して、そのままついてきたわけだが。
「それはもちろん、次の街、『リブネ』です」
「・・・『次の街』ってどういうことなんだ?」
俺は、メラに訊いた。
「リブネ」が街の名前なのはわかった。
でも、「次の街」というのが、よくわからない。
「えーっと、とりあえず簡単に説明すると、
冒険の旅をするときに、大体の人が決まった順番で街を回って旅をするんです。
そして、今から向かうのが二番目の街、というわけです」
なんか途中、説明端折ってたけど、
つまり、その「決まった順番」とやらで旅をしようってわけか。
「・・・というか、一応、道決めてたんだな」
何も考えてなかったと思ってた。
「失礼ですね。私だって、そんなバカではないですよ」
「いや、いきなり旅に出るとか言い出してる時点でバカだろ」
「・・・何も言い返せません」
メラは、悔しそうにしながら俯いた。
「・・・というか、ずっと手に持ってるそれ、なんですか?」
メラが、俺が手に持っているキーボードを見ながら、尋ねてくる。
実は、最初に能力を発動した時から、ずっと持ったままだ。
まぁ、キーボードの消し方がわからなかったんだから、仕方がないっちゃ仕方がないんだが。
でも、ずっと手に持ってるのって結構きつい。
片手がずっと塞がってるわけだし。
しかも、「身体能力強化」がなぜか発動しないから、
ろくに役に立たないという。
もうね、控えめに言って、
これ捨てたい。
「・・・これは、ゴミだ」
俺は、迷うことなく答えた。
「なんでゴミを持ち歩いてるんですか!?」
メラが、驚いた顔をした。
「これは、価値のあるゴミだからだ」
ほんの少しだけ。
「価値があるゴミはゴミじゃないと思います」
言われてみればそうだ。
「少し言い方を間違えた。
今は価値がないゴミだが、
いつか価値が高くなるかもしれない」
今の所は、ほとんど役に立っていない。
なんで「身体能力強化」使えねぇんだよ!
「なんだかよくわからないですね」
メラが、不思議そうな顔をした。
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「・・・で、ここどこ?」
無事にゴミの話が終わったところで、メラに尋ねる。
実は今、紫に枯れ腐った木が大量に生えている暗い森の中を歩いている。
なんか出てきそうで本当に怖い。
「ここは、『狂った森」という場所です。
その名の通り、地面も木も空も狂っています」
「・・・地面と空?」
木はなんか変な色してるけど・・・
不思議に思った俺は、まず地面を見てみる。
「うわ!何これ!?」
すると、突如として地面がぬかるみ始め、足が沈み埋まっていく。
やばいってこれ。
どんどん沈んでいく。
「未來!目を瞑ってください!」
メラが叫んだ。
目を瞑る?・
「本当に目を瞑っても大丈夫なのか?」
そんなことして死んだりしたら嫌だ。
「絶対に大丈夫です!」
メラは、自信満々のようだ。
「死んだら責任取れよ!」
俺は、叫びながら、目を瞑った。
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あれからしばらく目を瞑っている。
しかし、特になにかが起きた気配はない。
・・・メラが何か魔法を打って助けてくれると思っていたが。
でも、なんか少しずつ地に足がついているような感覚が蘇ってきた気がする。
少なくとも、地中に埋まった感じはしない。
「メラ、もう目開けていいかー?」
さっきからメラの声が全く聞こえないので、近くにいるのかもわからない。
が、居ることを願って大きめの声を出した。
「いいですよー、多分」
居た。
おいて行かれたかとちょっと心配した。
というか、「多分」ってなんだよ。
怖いなオイ。
俺は目を開けた。
「ああ……あああああ〜〜っ!目がぁぁ〜!目がぁぁぁぁあっ!!」
やばい。
ずっと目を瞑っていたから世界が眩しい。
「いきなり素っ頓狂な声を出されると怖いのでやめてください!」
メラが少々キレているが、眩しいものはまぶしいから仕方ない。
あと、某大佐の名言を「素っ頓狂」と言うのは許せないと思いますこれ。
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