表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最凶  作者: なっしー
9/130

009 帰らずの海域

ユキ様は正義の味方ではありません。

帰らずの海域…。

昔からカンゼ皇国の南のそのまた先にはそう呼ばれる海域が広がっている。

大海賊のダイ・ハーンの宝が隠されているとか、深海の魔女の呪いで船が沈むとか、人魚のパラダイスがあるとか…

いつも紫の霧で覆われた未踏破の海域である。


「帰らずの海域に出航した皇太子の捜索をお願いしたいっ!」


『大至急お越しください』と連絡を受けて来てみれば…。


カンゼ皇国の内務大臣以下の面々がすがるような目でこちらを見てる。

…皇王は寝込んでいる様である。


「私は便利屋を始めたつもりはないぞ!」

「そこをなんとかっ!もはやすがれるのは『天魔の魔女』様をおいて有りませぬ!」

「大体、貴国の騎士団なり、宮廷魔術師なりがいるだろう?何故私を呼ぶ?」

「そっ、それが…、騎士団の精鋭と魔術師団は皇太子と一緒に行方不明にございます!」

「はぁ?」


ダメだこの国…、おおかた海賊の秘宝とやらに目が眩んだか…?あそこには何も無いのに…。

怪しい海域であれば『封印の地』の可能性もあるので既に調査済みだったりする。

結果は単に海底から特有のガスが吹き出しているだけの海だった。まぁ、公表はしていないけど…。


「この話が他国に知れれば我が国は…」

「知るかっ!大体今更何故『帰らずの海域』に手を出す?皇太子を止めることができなかった己が不明を恨めっ!」


おそらく皇太子の乗った船は既に沈んでいるだろう。あそこは比重の重いガス溜まりなのだ。船である以上調理や灯に火を使う。当然爆発なり火災になるだろう。


「私は確かに知識や魔力が人並み以上だ。だが決して『全知全能』では無い!」


ガスの出る海域を探索となるとガスを強風で散らすか、海底から探索するかだが、前者の場合周辺諸国に多大な迷惑がかかる。戦争の火種になりかねない。

また、海域を広げる可能性が大きい。

後者は海中からのガスの為『水呼吸(レスピレイション)』や『風結界(バウンダリーウィンド)』は使えない…。

ガスをわざと引火させる手もあるが被害甚大である。

あとは…


「帰らずの海域を無くす方法が1つある。が、より脅威の災厄を生むことになるがどうする?」

「……、どの様な災厄でしょう?」

「紫の霧を拡散しない様に上空に運ぶ為、常駐型の巨大ハリケーンを発生させる。その被害は海流、季節風を考慮すると周辺諸国に大きな影響は無く、カンゼ皇国のみこの先、雨は降らず風に悩まされる事となる。要するに100年後には砂漠になる訳だが…それでもやるかね?」

「そっ、それは…」


「国を滅ぼす覚悟ができたら連絡をよこせ!」


とりあえず国をとるか皇太子をとるかの選択を突きつけてみた。無論最初から関わるつもりはない…。

しかし…、皇国の連中がこんなヘタレであるとすると…おそらく皇太子は生きている気がする…。



後日、カンゼ皇国皇太子発見のニュースが流れていた。

皇太子の船は海域手前の島に逗留していたらしい。

…海域手前でビビって隠れていたな?

誤字脱字があれば教えてください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ