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最凶  作者: なっしー
56/130

056 釣り

マッタリ回です。

「ユキさまぁ〜、釣りに行こう?」

「釣り?」

「うん、こないだオジイちゃんが教えてくれたの!」

「釣りかー」


村の子供達と四季の森へデザートを取りに行こうと思っていたのだが…。


「釣りだと釣竿が必要だぞ?」

「うん!オジイちゃんが作ってくれたの!」

「俺も持ってる!」

「ユキ様は無いの?」

「釣竿は持ってないなー」

「ええー、行こうよー」

「わかった、わかった。ちゃんとお母さんに言うんだぞ!」

「「「はーい」」」


私は子供達と世界樹の南の湖へ向かう。湖から小さな流れがあり、小川になっているところで釣りをすることにした。

小川の水は澄んでいて、小さな生物も沢山いる。


「ユキさま、トンボ!」

「水がつめたーい」

「あっ、魚がいる!」


子供達は竿とバケツを持ってはしゃいでいる。

やっぱり元気いいなー。


「ユキさまー、エサつけて!」


なん…、だ…、と…?

餌っていうとアレのことか?

無理無理無理ムリっ!どうしよう…。

子供の前で虫に怯えるとか、情操教育に良く無いし…。

はっ!こんな時こそっ!

私は口に手をやりピーーー、っと高い音を出す。


「なにそれ!」

「すごーい、どうやるの?」


向こうから土煙が上がっている。


「来たか!」

「ユキ様、何事ですか!」

「アレ?オジイちゃん?」

「ん、ツバキ?」

「いいところに来た、シグレ。子供達の釣り竿に餌を付けてやってくれ!」

「…おお、なるほど!合点がいきました。よし、ボウズども!一緒に餌をとるぞ!」

「わーい!」


シグレは子供達と川に入り石をひっくり返し川虫を取っている。うわぁーよく触れるな!


「ユキさまはやらないの?」


ツバキが無邪気な顔で言う…。


「うん、私は見ていてあげるから行っておいで」

「はーい!」


シグレは孫達と一緒に大はしゃぎで釣りを教えていた。

…うみゅ、おじいちゃんになったなー。


「いっぱい釣れたー!」

「やったー!」

「それじゃあ、みんな家に帰ってお母さんに見せてあげよう!」


私はみんなを村に転移させる。


「アレ?ウチについてるー!」

「なんでなんで?」

「スゴいだろう?」

「すごいスゴい!」

「ユキ様…、こんなことで転移為さらずとも…」

「かたいこと言うなシグレ。子供達もはしゃいで疲れてるだろうし、何より喜んでるからいいだろう?」


今日の夕飯はシグレのお裾分けの川魚であった。

ユキ様も虫は苦手の様です。

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