026 蹂躙
物質を使わない電磁砲だとどうしてもこういう使い方しか思いつきませんでした。某中学2年生に似ているのはごめんなさい。
また、専門用語が飛び交ってますが、ご容赦ください。
さて、戦争である。
本来私が国と国のいざこざに関わるコトは無い。
が、今回はバーン帝国とドワーフ王国の戦争。異種族間の争いは今後の世界運営に関わるとの事で収めにきた。例によってムスターファの依頼である。
今回私はドワーフ側につく。
戦争の発端がドワーフ側に義があるからである。
バーン帝国は軍備強化の為ドワーフ王国に対し特産である武器の輸出をバーン帝国経由で行うという法律を勝手に作り違反すればバーン帝国に叛意があるとして戦争をふっかけたのである。
もともとドワーフ王国は豊かである。国の山脈はいたるところが鉱山で金、銀、鉄、銅、錫。またミスリルやアダマンタイト等も取れる。それを1流の職人であるドワーフが鍛えるのだ。売れないはずがない!
おそらくバーン帝国はその財を求めたのだろう。
バーン帝国とドワーフ王国の間にはガナッシュ大河がある。川幅は3km。その川に大きな橋が架かっている。300年前にドワーフたちが作った石橋である。これを壊せば戦争は終わる。が、今後100年は往来ができなくなる。それを踏まえて私はバーン帝国側の橋の入り口に陣取った。
今回は実験中の『電磁砲』を試してみる。
「マール、コレは新術だ!よく観察しておくように!」
「ハイ!」
まずは…。『拡声』を使い警告を成す。
「バーン帝国の騎士に告ぐ!コレより新術の実験を開始する。巻き込まれたくなければ即刻退去せよ!コレは演習では無い!」
「なにをふざけたコトを!騎士団突撃!」
「第1騎士団、第4騎士団、第5騎士団突撃!!」
さて、空気中の酸素、二酸化炭素、窒素などの陽子をイジって…2cm幅の螺旋状に誘導電子を正極へ変えて、ドワーフから分けて貰った2cm程の鉄球を負極へ…そして加電して指で弾けば…!
キューーーーーーーーン
一瞬光の線ができて次の瞬間には
ズドドドドドドっ!!
誘導通りバーン帝国側の山脈貫きその後、吹き飛ばした!
今回は空気中に砲身を作って鉄球を打ち出した。加速に電磁気を使っている。そんなイメージだ…。まあ一部空気抵抗の為ジュール熱が発生してプラズマ化していたが、光の線の正体はコレである。周囲はオゾンの匂いがしている。…多分音速は軽く超えている。
「マール、この技は90%科学の技だ!」
さて、騎士団を見ると騎馬も兵士も竦んでいた。
まだ1発目なのだが…。
「次に喰らいたいのはどいつだ?」
2射目の準備をすると…。
「ひぃぃぃぃぃ」
「やはり天魔の魔女には敵わねぇー」
…騎士団は蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。
せっかくの実験が台無しにである。
電極の反転や球の大きさを変えたり…やりたいコトはいっぱいあったのだが…。
どさくさでもう1回くらい…?
と考えていると、
「ユキ様、また派手にやりましたね!」
ムスターファからの念話である。奴め、何処からか見ていたな!
「わかった、撤収するから!行き先はドワーフ王国でいいな?」
「お待ちしています」
ふん、とりあえず向かうか…。
「マール、帰るよ」
「ハイ!」
私は転移した。
『電磁砲』はほぼ成功したので次は『荷電粒子砲』にチャレンジして見るか…。
ちなみに荷電粒子砲は素粒子を加速させる技です。




