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オレは魔族でも魔王でもねぇ!  作者: 結城ゆき
1章 金黒眼の少年と魔法少女
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16話 分かれ道




 コツコツコツと歩幅の違う足音が地下水路に響き渡る。


(ホントにこんな道があるなんてな)


 元の世界では、下水道の蓋(マンホール)の中は人が一人やっと入れるくらいの大きさしかないのが普通だった。

 だが、そこはやはりファンタジー世界。

 あるではないか、壁一面をレンガで覆っている地下トンネルらしき水路が。


 昔、プレイした某ゾンビゲームの地下マップを連想させる地下水路が広がっていた。

 緩やかな水の流れと、密閉された地下独特の肌寒さとカビ臭さ。

 そして、ご都合主義ここに極まりない、人工的な灯りが灯っている。


 何度とも知れない程、右へ左へと歩かされるが、一本道レールウェイなので迷わずここまでやってこれた。

 しかし、ここに来て初めて分かれ道に出くわした。


「どうするっすか?」


「どうするって言われてもな。レナは何か思い出さないか?」


「うーん......痛っ!」


「お、おい。大丈夫か?」


「へ、平気っす。ちょっと思い出せそうにないっすね。ごめんなさいっす」


 人は心に重度の負担がかかる出来事があった時、脳がその記憶を無理やりなかったことにすると言われているらしい。

 もしかしたら、レナは忘れようとしていた記憶を無理やり思い出そうとしたので、頭に痛みが走ったのかもしれない。


 額を押さえながら苦悶の表情から、苦笑しながら謝るレナにオレは「いやいや、気にするなよ」と返す事しかできなかった。


(あぁもう、レナに嫌な事思い出させてどうするんだ!)


 バカすぎる自分に嫌気がさすが、今はこれからどうするかを考えないといけない。

 より効率的に考えるなら......。


「ここからは二手に別れないか?」


「え!? でも、それだとユウが危ないっす」


「そうかもしれないけど、二人一緒だと効率悪いし、情けない話、戦闘になったらオレはレナのお荷物になる」


「そんなこと......」


「そんなことあるんだよ! 戦えないオレは戦場では逃げ隠れするしかないし。もし、オレが敵に捕まったりしたら、優しいレナのことだ、相手の言いなりなっちまうだろ?」


「......」


「それに、これだけ時間が経ってるのに先に行ったエリシアからの連絡もない。魔力を探知できるあいつがこうも時間がかかるなんて、敵と交戦している可能性が高い。なら、今、敵に見つかっていないオレたちの方がルミナを探しやすいだろ?」


 レナがオレに気を使って反論しようとしたが、オレは正論で有無を言わさずまくしたてる。

 悲しそうな顔で黙り込むレナに、オレは思いっきりいい笑顔で情けない事を言った。


「大丈夫さ、もしオレが戦闘になったら全力で逃げる。それに、この地下水路は密閉空間だ。レナの耳なら戦闘が起きたらすぐわかるだろ? そん時は助けてくれ」


「っ!」


 レナは口をぱかんと開いたまま、黄金に輝く眼を何度もぱちぱちと瞬きをする。

 そんなレナの頭にぽんぽんと手をやり、白い歯を見せた。


「......わかったっす」


 少し赤くなったほっぺを膨らませてうつむくレナは、不承不承という感じで頷いてくれた。

 それからオレは、ポケットから小石のような道具(アイテム)を取り出す。


双子石(ツインストーン)


 二対一組からなる表面がつるつるした小石。

 とある鉱山から採れるソレは、採掘される時には手のひらサイズの平べったい石なのだが、二つに割り特殊な加工をすると、魔力と聖法気に反応し、どんなに離れた場所にいても石が発光する道具(アイテム)だ。

 理解力のないオレは、着信と受信は出来るが通話は出来ないケータイ電話みたいな物と思っている。


 エリシアがルミナ救出の為に道具屋(アイテムショップ)で買ってきた双子石(ツインストーン)を再度確認する。

 炎を連想させる赤い双子石(ツインストーン)はエリシアと、魔族の瞳を連想させる黄色の双子石(ツインストーン)はレナと繋がっている。


 レナもオレに倣って自分の持つ双子石(ツインストーン)を確認する。

 オレと繋がる黄色い双子石(ツインストーン)と、もう一つ。

 黒曜石を連想させる黒い光沢のある双子石(ツインストーン)はレナとエリシアが繋がっている。


『瞳の色で誰と誰が繋がっているのかわかるようにしたから、頭の弱い誰かさんの為にね』


 作戦会議で哀れな者を見る目でエリシアが言っていた事を思い出してしまい、ここにいない彼女に「うっせさいわ」と小さくつぶやいて二つの石をポケットにしまい込む。

 それから、オレと同じように双子石(ツインストーン)を確認しているレナに、決意の意思を灯した眼で右手を突き出す。


「絶対にルミナを助けて、みんなで帰ろうなっ!」


 レナは一瞬キョトンとするが、すぐににっこり笑って同じようにグーにした手を突き出す。


「了解っすっ!」


 コツン!


 それからオレたちは二手に分かれた水路をそれぞれ歩き始める。


 ふとレナが進んだ水路の方を向くと、先ほどまでのオレを心配する眼ではなく「絶対にルミナを助ける」と感じられる頼もしすぎる顔をして歩いていくのが見えた。

 その姿が壁によって見えなくなる直前。


「気をつけろよ」


 レナには聞こえない声でレナの無事を口にして、オレももう一つの水路を進む。




 オレの姿が見えなくなったレナは、オレの進んだ水路側の壁に手を当てて「気をつけるっすよ」とオレの無事を祈っていたことをオレが知ることはなかった。






最後まで読んでいただいてありがとうございます。


地下水路で思い出すのはやはり、あの秘密結社Cによる、映画化までされた超人気ゾンビゲームですよね?

え? 何のことを言ってるのかわからない?

そっ、そそそそ、そんなバカな!?

それなら「アンブレラ社最高」と検索してみなさい!


次話、ユウのちょっとカッコいいシーンが見れるかも!?


次のページでお会いできることを祈りつつ......。


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