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オレは魔族でも魔王でもねぇ!  作者: 結城ゆき
1章 金黒眼の少年と魔法少女
21/68

15話 ズボンにインってダサいですか?




 エリシアとガレイが出会う少し前――。

 

 


 オレとレナは工場から出てきた敵をすべて一掃して、堂々と正面から工場内へと足を運んでいた。


「これだけしか回収できなかったな」


「でも、無いよりマシっすよ」


 3つの聖天反射鏡(ミラーフォース)を手に愚痴(ぐち)をこぼすオレに、レナは何を満足したのか、ニコニコと答える。


 レナの放った爆裂魔法【惨劇の爆裂風(エクスプロージョン)】で鎧を着た敵をすべて倒したはいいが、彼らが持っていた聖天反射鏡(ミラーフォース)はすべて砕け散っていた。

 あの爆発の被害にあわなかった見張り番たちから拝借できた聖天反射鏡(ミラーフォース)は、たったの3個だけだったのだ。


 そのすべてをレナに渡すと「ユウも1つ持っておくっす」と言って、レナは2つの聖天反射鏡(ミラーフォース)を懐にしまい込む。

 オレも返された聖天反射鏡(ミラーフォース)をポケットにしまい込もうとして、問題が発生した。


 オレはこの世界にはないGパンなるものをはいている。

 Gパンの生地は伸縮性に乏しく、ポケットのサイズが小さいことは言うまでもない。


「は、入らねぇ」


「へ?」


 オレの情けない言葉に、レナは目を白黒させて「マジっすか」といった表情でオレを見ている。

 しばらくして、レナが何かを思い付いたのか代案を出てきた。


「服をズボンの中に入れて、その中に入れるとかどうっすか?」


「Tシャツをインしろって言うのか?」


「いん? まぁよくわからないっすけど、それだったら下に落ちないっすよ」


「確かにそうなんだが......」


 渋々レナの案を受け入れたオレは、Tシャツをズボンにインして服の中に聖天反射鏡(ミラーフォース)を入れてみた。


「ぷっ、い、いいんじゃない...っすか?」


 レナはオレの格好を見るなりプルプルと肩を震わせて、そっぽを向いて感想を言ってきた。


 わ、笑ってやがる。


 この世界での服装の常識というのものは知らないが、ズボンにインはどの世界へ行ってもおかしなファッションなのだろうか。

 確かに、元の世界でもズボンにインというファッションはダサい部類に属していたが。

 今回は、それに加えて聖天反射鏡(ミラーフォース)が1つ入っているので、お腹の一部が奇妙に突出しているのだ。


 そんな姿を見たらオレも笑う。

 レナは悪くない、悪くない、のだが。

 さすがに、肩を震わせすぎだろ。

 いつまで笑ってるんだ?

 このやろーめ。

 あまりにも悔しいので、オレもレナの姿に一言モノ申してやる。


 と思ったが、できなかった。

 あまりにも可愛かったから。


 先の戦闘でレナの服は、目のやり場に困るほどぼろぼろに破け、焼け焦げていた。

 見かねたオレは、着ていたフーデッドローブをレナに無理やり着せたのだ。


 レナは何やら「ユウが着ていたもの♡」などと言って下を向いてしまったが、もしかしたら、散々走り回って汗まみれになった男が着ていたものなんか着たくなかったのかもしれない。

 しかし、そうは言ってられない。

 見る人が見たら、いつぞやのセクハラ行為と勘違いされてしまうくらいレナの格好はエロ(ひど)かった。


 オレが渡したフーデッドローブは元々、エリシアから借りてたものだ。

 そこまで身長に差がないオレには問題なく着れたが、エリシアより20センチ程背が低いレナにはぶかぶか過ぎて色々と引きずっている。


 ローブの色が白なら、雪山のゲレンデを彷彿させるレナの白銀に染まる髪と相まって、まるでお化けのような姿だとからかってやれるのだが。

 あいにくとローブの色は茶色。

 ダーク系統の衣装に包まれるレナは、反対色である白雪のような肌と白銀の綺麗な髪が、オレの目を余計に奪う。

 その上、所々からちょこんと出ている手は、レナの可愛さをより助長させている。


 これで、猫耳とか付けたらもう......。

 元々、美少女なのに完全無欠の超絶無敵モード、レナにゃんの誕生かっ!


「こ、これが、萌え袖と猫耳の威力......なのか」


 オレが妄想に浸っていると、レナは一通り笑いつくしたのか、不思議なものを見る目でオレをのぞき込んできた。


「どうしたっすか?」


「え? い、いやいや、なんでもにゃいぞ......」


「にゃい?......そうっすか。それでこの部屋の中も調べるっすか?」


「あ、ああ、そうだな。ルミナがどこにいるかわからない以上、しらみつぶしに探すしかないだろ」


 オレたちは工場に入ってから部屋を見つけては、ルミナにつながる手がかりはないかと部屋を物色してた。

 ここの部屋でもう5部屋目だ。


 レナの隠れ家でのルミナ救出作戦会議の時に、レナは地下室のような所に捕えられていたと言っていた。

 逃げるのに夢中でどんな道を通ったかも覚えておらず、気づけばラビリンス通りに出ていたとの事。

 おそらく、ルミナも同じ地下室のどこかに囚われているはずだろうとも言っていた。


 そんな事を思い返しながら探してみたが、この部屋にも地下室への扉らしきものは無かった。


「うーん。やっぱそう簡単には見つからないなぁ」


「そうっすね。次、行くっすか?」


「だな......ん!?」


 その部屋を後にしようと、たまたま目線を下に向けた時、猛烈な違和感を感じた。

 レナはその場で立ち止まるオレに首を傾げる。


「どうかしたっすか?」


「なあレナ、下水道の蓋(マンホール)って普通は屋外に取り付けないか?」


「......確かに、言われてみればそうっすね」


「もしかして、ここから地下室に行けたりして」


「あはははっ、まさか。だって下水道、っす...よ......あっ!」


 オレは冗談のつもりで言ってみたが、レナは何かを思い出したように額に汗を浮かべている。


「どうした?」


「あっ、いや、その......っすね。捕まった所から逃げるときに、水辺を通ったなぁと。あはははっ」


「なっ!? まじか!」


「は......はいっす。すっかり、忘れてた......っす」


 レナは申し訳ななさそうに頭をさすって、上目づかいでこちらを見てくる。

 オレは「別に怒ってないさ」とレナの頭をぽんぽんとして、気にしてないよアピールをした。


「はうっ!?」


「ん? 大丈夫だって、ホントに怒ってないからさ。それに、その時はレナも必死だったんだろ? すぐに思い出せなくても当然じゃないか」


「うぅぅぅ......こういうのは反則っす」


 レナは下を向いていて顔は見えないが、何やら落ち込んでそうだったので必死にフォローするも中々顔を上げてくれない。

 まいったなぁ。

 こういう時に、何かうまい言葉が出てこないのが悔やまれる。


「それに思い出したんなら、ここからはレナが頼りだ。とにかくさ、行ってみようぜ?」


 レナは、うつむいたまま「はいっす」と頷いてトコトコと下水道の蓋(マンホール)まで歩いていく。


 何やら顔が赤らんで見えたのは気のせいか。

 オレもその後に続いた。






最後まで読んでいただいてありがとうございます。


「早く先に進めよ!」という声が聞こえてきそうですが、忘れてるでしょ?

レナの可愛さとか美少女さとか。

物語を進めていくと忘れがちになるのが、外見の描写なんです。

アニメと違って文字で進めていくので、頭の中に中々イメージが定着しません。

僕自身、思い出すためにも、(*´Д`)ハァハァするために.....げふんげふん。

さて、レナにゃんの可愛さを再認識したところで。


次話、彼らの進んだ先にルミナはいるのでしょうか?


次のページでお会いできることを祈りつつ......。

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