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オレは魔族でも魔王でもねぇ!  作者: 結城ゆき
1章 金黒眼の少年と魔法少女
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14話 魔族軍大元帥現る




 ユウが裏門から走り去って一人残されたエリシアは、工場の裏口から場内へと侵入していた。


 工場内には、大型のよくわからない機械や部品が至る所に設置されている。

 何を作っていたのか、家1軒はまるまる入るであろう巨大過ぎる大砲のようなものが目に飛び込んできた。


「何なの、これ......」


 これまで幾度となく戦地へ赴いてきたが、こんなモノは知らない。

 大砲にしては巨大過ぎるし、何より砲弾を発射するための導火線が見当たらない。

 エリシアは何か不気味な感覚を味わった。


 しかし、今はルミナを探すために動いている。

 これに構ってる暇はない。

 エリシアは、後ろ髪を引かれる思いでその場を後に奥へと進んで行く。

 いくつかの部屋を抜けた先に、地下への階段を見つけた。


「ここは......」


 階段を下りてしばらく歩くと、道が2つに別れていた。

 普通ならどちらに行こうか迷うところだが、エリシアは迷わず右の道を選択する。


 魔力を探知できるエリシアにとって、探し人が魔族なら道に迷うことはない。

 感知した魔力の方へ進むだけである。


 トンネルを掘っただけ、という岩盤がむき出しの道をしばらく進むと大きな空間に出た。

 およそ100メートル四方の大きな空間、いや、部屋というべきか。

 ここだけは、壁一面がレンガで覆われていた。


「ここは......っ!」


 辺りを見回していると、突如感じた強大な魔力にエリシアが反応する。

 薄暗くて先がよく見えないが、魔族がいる。

 それもエリシアと同程度の力を持った大元帥クラスの魔族。


「いやいや、まったく。本当に現れるとは......」


 暗闇から響く男の声と、こちらに向かって歩いてくる足音。

 エリシアの前に姿を見せた細身の男は、両手を上げて首を振っていた。


 短く切られた薄鈍色の髪、怪しく光る鋭い眼光は金色。

 モノクルのようなものを身に付けている事によって、まるで理知人のような印象を受ける。


 よりによってこんな大物に出くわすとは、とエリシアは盛大に顔をしかめる。


「......魔族軍大元帥、ガレイ・アインツィッヒ」


「ひょっひょっひょっ、お久しぶりだぁね。聖剣姫様」


「......狂気の魔族大元帥マッドマジックキャスター


「その呼び方は心外だぁね」


 エリシアにとっては仲間の(かたき)であるガレイに(にら)みを利かすと、ガレイはその視線を飄々(ひょうひょう)と受け流した。




 その男は、ただの一兵卒に過ぎない魔族だった。

 しかし、彼にはたった一つだけ誰にも負けない才能があった。

 その才能は、彼を魔族軍大元帥にまで躍進させた。


 その才能とは、魔道具(マジックアイテム)の生成。

 彼が作る魔道具(マジックアイテム)は魔族軍の力を大いに発展させた。


 中でも有名なのは手投げ弾(バーストブレット)

 これまで爆弾と言えば、大砲しかなかった戦場に突如として現れた手持ちサイズの爆弾。

 魔力の枯渇がなく、持ち運びに富んでいて、それでいて威力は絶大と三拍子揃った魔道具(マジックアイテム)は、聖十字騎士団を始め人間たちに猛威を振るった。


 ガレイは他にも魔族軍に役立つアイテムをいくつも創り出してきた。

 しかし、そんな彼にはもう一つの顔があった。


 ――人体実験。


 倫理的にも道徳的にも反する狂気の所業と呼ばれる人体実験は、世界で禁止事項(タブー)になっている。

 もちろん魔族であろうともだ。

 見つかれば厳しく罰せられ、最悪の場合は死刑になることもある。


 ガレイは、そんな人体実験をやっているという()がある。

 そう、あくまでも噂なのだ。


 たとえガレイの率いる軍と戦った人間たちの何人かが、まるで連れ去られたかのように忽然(こつぜん)と姿を消すことが度々あっても。

 爆弾で死体が消し飛んだと言われればどうする事もできない。


 過去にエリシア率いる聖十字騎士団の何人かがガレイ率いる軍と戦った時に、死体も残らず消え去ったことがあった。


 確かに戦場は過激だった。

 手投げ弾(バーストブレット)が飛び交い、多種多様な魔法と聖法気がぶつかり合い、砲弾の嵐が降り注ぐという爆発の絶えない戦場。

 死体が木っ端微塵になってもおかしくないものだった。

 だったのだが、それでも服の切れ端や肉体の一部は残るはずなのだ。

 まるで戦場から連れ去られたかのように、彼らの痕跡が一切見つからなかった。


 戦いの後、エリシアは8人の権力者(ロイヤルエイト)に消えた部下の捜索隊編成を求めたが「戦場で消えたのなら死んだのだろう」と一蹴された。

 聖剣姫といえど、ただの騎士団の一人に過ぎない彼女にそれ以上何かすることはできず、やるせない思いを持ち続けていた。


 しかし今、彼女の目の前には部下を連れ去ったかもしれない容疑者がいる。

 真相を知っているかもしれない人物が手の届く所にいる。

 エリシアは感情が抑えきれず、ガレイに向かって叫ぶ。


「私の、私の部下たちをどこにやったのっ!」


「あぁ、彼らですか......おっと、部下とは何のことかわからないねぇ」


「くっ、白々しい」


 エリシアは顔をしかめて歯噛みする。

 そんな彼女のことを醜悪(しゅうあく)な笑みで見つめるガレイは、のうのうと(のたま)う。


「ところで、聖剣姫様。こんなところにどういった御用だぁね?」


「それはこっちのセリフよ。どうして人間領に魔族がいるのかしらね?」


「ひょっひょっひょっ、答える必要などないのだぁね」


「そうだったわね。聞きたいことがあるなら......」


 モノクル越しに細められた金の瞳と、まっすぐ相手を射抜く意志の強さを宿した紅い瞳が交錯する。


「「魔法と聖法気(これ)で聞くまでっ!」」






最後まで読んでいただいてありがとうございます。


突然出てきましたね、ボス的な奴が。

実験大好き、研究オタクなガレイさん。

実験と言えば、学校での理科の実験を思い出します。

リアル友無し、コミュ障の僕は、いつも班の隅っこで、みんなが楽しそうに実験している姿を眺めていました。

女子生徒「これどうするの?」


男子生徒「これは、こうやるんやで!」


女子生徒「すごーい」

男子生徒の腕をつかんで目を輝かせる。


男子生徒「普通やって」(照)


僕(爆ぜろおおおおぉぉぉ!)


次話、エリシアとガレイとの激しい戦い......の前に彼らがどうなってるか気になりますね。


次のページでお会いできることを祈りつつ......。

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